Bosch Diesel for Environmental Protection 燃料噴射システム

コモンレールシステム
コモンレールシステムは乗用車用としてはボッシュが1997年に初めて実用化したディーゼル燃料噴射システムです。エンジン回転数が低くても燃料圧力の安定化が可能で、噴射量、噴射圧、噴射タイミングを電子制御し、レールと呼ばれる部品に蓄圧された超高圧の燃料を高精度でインジェクタから噴射させることによって燃焼をきめ細かくコントロールすることができ、クリーンでパワフルかつエコノミーで静かなディーゼルエンジンを実現しています。
コモンレールシステムの燃料噴射圧力は現在、最大2000気圧で(乗用車用)、さらなる高圧化を目指しています。また、そのインジェクタのアクチュエータにはピエゾ素子とソレノイドが採用されています。ピエゾインジェクターは従来のソレノイドタイプに比べて165gの軽量化を実現しました。6気筒エンジンならば約1kgの軽量化になります。同時に噴射弁を動かす長い軸をなくし、可動部の重さも従来比4分の1と軽くなったため、速度にして2倍の応答性を実現しました。よりきめ細かい燃料噴射と制御が可能になったのです。
また、ソレノイドタイプの新しいインジェクタも現在開発中で、同等の応答性の実現を目指しています。
右の図表はヨーロッパ(Euro)、アメリカ(Tier/Bin)、日本の排出ガス規制値とボッシュの燃料噴射システム、排出ガス後処理装置を装着したことによるPM、NOx の削減の方向性を表したものです。一般的にディーゼルエンジンの排出ガスは、NOx と PM のトレードオフの関係にあるといわれています。現在、ヨーロッパで発売されているディーゼルエンジン搭載車にほとんど装着されている DPF (ディーゼルパーティキュレートフィルター)により、矢印1のように PM を劇的に低減できます。そして、矢印2は更なるコモンレール噴射系の高機能化と EGR、ターボチャージャーの改良、その上、低温時の燃焼改善による圧縮比低減等により NOx を Euro6 や日本のポスト新長期規制に合致できるようにし、さらに、NOx 吸蔵触媒や NOx 還元触媒による更なる NOx の低減によって、現在最も厳しいと言われている US Tier2 Bin5 の規制値をクリアしています。
インジェクタの応答性のよさは、さらなる排出ガスのクリーン化と低騒音・低振動化に貢献します。コモンレールシステムは、1回の運転サイクルごとに5回の複数の噴射を可能としており、ノイズ低減やNOx削減のためのプレ噴射 (パイロット噴射)、理想的なパワーを得るためのメイン噴射、PM削減のための アフター噴射、排ガス後処理装置再生のためのポスト噴射に分けられています。また、従来のソレノイドタイプでは応答性の問題から噴射間隔は900μsまででしたが、ピエゾタイプや新しいソレノイドタイプは、理論的には「0」に近づけられます。こうした応答性の良さによって、さらなる NOx 削減やノイズの低減が可能になります。クリーンで静かなディーゼル乗用車を実現する技術のひとつです。
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