経営情報/自動車機器テクノロジー Robert Bosch GmbH のプレスリリース(日本語訳)

アンドレア・ウルバンとフランツ・レーマーに栄誉
ボッシュの研究者が「欧州発明家賞」を受賞

  • 欧州委員会と欧州特許庁による発明家への最優秀賞
  • 半導体センサ製造工程における先駆性が評価される

ボッシュ・グループの研究者、アンドレア・ウルバン(Andrea Urban)とフランツ・レーマー(Dr. Franz Lärmer)の二人が、欧州委員会と欧州特許庁(EPO)が主催する「欧州発明家賞」を受賞しました。このほどミュンヘンで行われた表彰式でギュンター・フェアホイゲン欧州委員会副委員長とアラン・ポンピドー欧州特許庁長官により賞を授与されました。研究・先進技術開発担当役員で Robert Bosch GmbH 取締役会副会長のジークフリード・ダイスは、「この賞は、ボッシュ・グループの多数の研究者たちによる広範囲に及ぶ研究結果への評価といえるでしょう。」と述べました。

この賞は、ヨーロッパおよびそれを越えた地域での技術的進歩だけでなく、ヨーロッパの経済的地位を高めるために多大な貢献を行った研究者と技術革新を称えるものです。アーバンとレーマーは、 MEMS (=micro-electro-mechanical systems、メムス)と呼ばれる機械要素部品、センサ、アクチュエータ、電子回路をひとつのシリコン基板上に集積化したデバイスの製造工程における革新的プロセスを開発しました。この技術なしでは、たとえばエアバッグのような車両セーフティ技術は成り立ちません。またこれらは ESC (エレクトロニック・スタビリティ・コントロール)や ABS、さらには横転保護装置にも使われています。

「ボッシュ・プロセス」 ~ マイクロシステム技術における先駆的な開発

アーバンとレーマーが開発したのは、シリコン用の特殊プラズマ・エッチング・プロセスで、このプロセスがなければ、高い生産効率を維持したままセンサを量産することはできなかったでしょう。この生産プロセスは現在、一般に「ボッシュ・プロセス」と呼ばれており、マイクロシステム技術には欠くことのできないものとなっています。世界中で生産されているほとんどすべての MEMS がこの生産プロセスをベースにしているといっても過言ではありません。程度の差はあるにしても、カリウム溶液中でシリコンをウェット・エッチングするなどの他のプロセスからこのプロセスへ、完全に切り換えが行われました。

基本的なシステムの特許の出願・登録は1992年に遡りますが、それ以降、絶え間ない開発が進められて改良がほどこされています。今日では、この技術に関連した約40の一連の特許と350以上の個別特許が登録されています。ボッシュのロイトリンゲン工場だけでも、ボッシュ・プロセスによって生産される MEMS センサは年間で1億3000万個以上です。この数字はさらに伸びると予想されます。 MEMS センサを搭載する製品分野は拡大していて、自動車分野だけでなく、携帯電話、ノート型パソコン、ゲーム機などにも採用されるようになっています。ボッシュは今年、ロイトリンゲンに新しい半導体製造設備の建設を開始します。この計画に投資される資金は総額で約6億ユーロで、2009年中頃には生産が始まる予定です。

研究開発への投資額をさらに増やす

ボッシュ・グループにおいては、技術革新は最も優先順位の高い項目です。昨年、投じられた研究開発費は33億ユーロにのぼっています。これは昨年度の売上高の7.7%に相当する金額です。ボッシュの研究開発部門には約25,300名の従業員が従事しています。そのうちの300名以上が MEMS の開発のために働いています。ボッシュ・グループの昨年の国際特許出願件数は前年比で9%増加して3,056件にのぼり、このうちの36%が環境保全および資源保護関連のものでした。うち半分は、燃料消費と CO2 排出を低減するための技術です。

MEMS と「ボッシュ・プロセス」

ボッシュは MEMS 分野における研究開発を1988年から続けており、MEMS コンポーネント関連の特許をすでに350件以上も出願しています。これまでは、ボッシュの MEMS 製品は主に自動車産業の分野で使われてきました。MEMS センサは、ABS、ESC、エアバッグなどのセーフティシステム用センサ、電子式エンジンマネジメントシステムやドライバーアシスタンスシステムの制御用センサなど、車両の感覚器官として使われています。これらのセンサは数個のチップから構成されたもので、その大きさは指の爪よりも小さいものです。ミドルクラスまたはラグジュアリークラスの車両には、このような制御エレメントが平均で100個~200個搭載されています。

これら MEMS センサのほとんどは、ボッシュ・プロセスによらなければ量産することはできません。1992年に開発されたプラズマ・エッチング・プロセスにより、極めて精確に、しかも高速でシリコンウエハ内に垂直壁を持った深溝構造を構築することができるようになりました。このプロセスが開発される前は、メタルベースでコストが高い、 LIGA (X 線リソグラフィー、電鋳、モールドによる微細部品製作プロセス)プロセスによってしか製造できませんでした。産業へ広範囲に応用するには、このプロセスは複雑で高価すぎたのです。シリコン内に LIGA プロセスを用いたのと同様の複雑な構造を比較的単純で安価に製造することを初めて可能にしたのがボッシュ・プロセスだったのです。

MEMS 技術の世界的な権威でボストンの MIT (マサチューセッツ工科大学)で教鞭を執るスティーブン D. セントゥリア(Steven D. Senturia)教授は、その著書『Microsystem Design (マイクロシステム設計)』に、「ボッシュ・プロセスは、マイクロマシニングの世界でプロセス開発と製品設計に革命をもたらした。」と記しています。今日のマイクロシステム技術は、ボッシュ・プロセスなしでは考えられないといえるでしょう。世界中で、ほとんどの MEMS はこのプロセスに基づいて生産されています。程度の差はあるにしても、カリウム溶液中でシリコンをウェット・エッチングするなどの他のプロセスからこのプロセスへ完全に切り換えが行われました。

MEMS 技術に基づいたセンサの一例として SMB 360 があります。これは3方向の加速度を検知できる汎用の加速度センサで、民生市場向けに開発されたものです。このセンサは、ゲーム機など娯楽用電子機器類、携帯電話、コンピューター技術などの分野のみならず、セキュリティ分野、医療分野に使用することも可能です。たとえば誰かが倒れたり地面の上で動かないままだったりした場合や、ノートブックパソコンが許可なく取り外されたりした場合に、このセンサによってアラームを作動させることができます。加速度センサのほかにも、現在、ボッシュは多数の圧力センサやヨーレートセンサを供給しています。

ボッシュ オートモーティブ・エレクトロニクス事業部の本部であるボッシュのロイトリンゲン工場だけで、毎年1億3000万個以上のセンサが製造されています。そして需要はますます増え続けています。ボッシュは今年、ロイトリンゲンに新しい半導体製造設備の建設を開始します。投資総額は約6億ユーロです。生産開始は2009年中頃が予定されています。新しい生産設備では最高1,000枚のシリコンウエハを日産する予定で、これはマイクロチップ100万個に相当する量です。


このプレスリリースは2007年04月に Robert Bosch GmbH より発行されました。原文をご覧ください。>