経営情報 Robert Bosch GmbH のプレスリリース(日本語訳)

ボッシュ・グループの事業戦略:
世界中の多様な分野で成長を拡大

Robert Bosch GmbH 取締役会会長
フランツ・フェーレンバッハ

Robert Bosch GmbH 取締役会メンバー
ゲルハルト・クンメル

2008年5月8日、年次決算報告記者会見にて

ご来場のみなさま、
2007年度の好業績によって、ボッシュ・グループの基本戦略が正しいことが再度、裏付けられました。私たちはその戦略的目標へ向かって順調に歩みを進めています。本日、そのことについてお知らせする年次決算記者会見にお越しいただきましたみなさまには、厚く御礼申し上げます。本日は3つのセクションに分けて弊社の事業活動について、ご説明させていただきたいと考えております。

・ まず最初に、2007年度の決算報告をさせていただきます。私たちは売上高、利益ともに目標を達成いたしました。この後、クンメル取締役より数値の詳細をご報告申し上げます。

・ 続いて、今期の足元と先行きに関して、ご説明いたします。今年度はボッシュ・グループにとっておおむね好調な年になると予測されます。企業を取り巻く経済環境は依然として低調と予想されますが、今年度、世界の景況が深刻な落ち込みに至るとは私たちは考えておりません。

・ 最後に、全世界かつ全事業セクターにおける私たちの強みとなっている革新力についてです。このことによって、私たちは強固な位置づけを維持しています。コーポレート・スローガンである「Invented for life(独創を、みんなのものに)」をモットーに、私たちはエネルギーの節約、環境保護、人々の生活をより安全にする手助けを行っています。これらの要素はすべて、百数十年にわたる私たちの企業理念である技術革新力を形作ってきただけではなく、未来へ向けた私たちの継続的な成長を牽引するものです。

けれども、私たちのこのような長期的戦略は、一流のエキスパートの力があってこそ具現化されるものです。We need “the best and the brightest.”-「最良にして最も聡明な人材」というのはケネディの言葉ですが、この言葉は有能な人材を求める現在の私どもの人事戦略に最も当てはまるだけでなく、人材獲得と育成はこれまで以上に急務な課題となっています。

・ 多くの先進工業国において人口動態が変化しており、才能ある有望な若い人材の数がこれらの国々では全体として減少していきます。

・ 他方、新興成長市場でも人材獲得に関する状況は同様です。有能な人材の争奪戦はさらに厳しいのです。

グローバル化の時代である今ほど、教育が重要な時代はありません。国際競争が激しくなると人間が行う仕事は重要性を失う、という考えは誤っています。それどころか、その反対に、最良の人材の獲得競争は日々、その激しさを増しているのです。このような才能ある人材の争奪戦においては、ボッシュの社会的評価の高さは寄与しています。けれども、当社にとってそのことが重要な問題であることに変わりはありません。
たとえばドイツでは、熟年エンジニア100名に対し、若い世代のエンジニアの割合は90名にしか満たないという状況です。他の工業国の平均は約190名です。このことは国際競争の中で、革新力を武器にし、なおかつドイツに拠点を置くすべての企業にとって、まさにアキレス腱と言えます。技術者、エンジニア、科学者抜きで、温暖化防止のようなイノベーションに取り組むことは事実上、不可能なのです。
一般論として、教育は長期的に成長を後押しする最良の投資です。人材育成への投資を維持することは、今日だけでなく、明日のための有能な人材についてつねに考え、そのために行動することを意味しています。

このテーマについては、後ほどお話しさせていただくことにし、まずは2007年度の業績を振り返りたいと思います。ここで私はいったん、クンメル取締役と交代いたします。

2007事業年度: 健全な発展

ご来場のみなさま、ただいまフェーレンバッハ会長から申し上げましたように、2007年はボッシュ・グループにとって好調な年となりました。

昨年度のボッシュの良好な発展は、全般的に好調であった経済情勢に支えられました。
エネルギー価格の高騰や一層のユーロ高、世界的な金融危機の兆候にもかかわらず、世界経済は全体で当初の予想を超える4%の成長を遂げました。このような状況においても、ほとんどの新興成長市場が飛躍的な成長を示しています。ボッシュにとって未だ最大の市場であるヨーロッパでも、上昇基調は継続しています。このように好調な発展は、成長貢献度が低下しつつある北米市場の分を補って余りあるほどの勢いです。

世界の自動車生産高も予想を上回り6%弱の成長となりました。とはいえ、地域によって成長の度合いは大きく異なります。著しい成長を遂げるアジア・太平洋地域、そして景気の上向いたヨーロッパが、北米地域での落ち込みを補う形となっています。また、世界的な資本財への投資も好調さが持続しました。しかし対照的に、消費財市場と建設業界は地域によって大きく状況が異なりました。

昨年度の業績に大きな影響を与えた主要要因のひとつに、特に対米ドルや対日本円などいくつかの主要通貨に対するユーロの高騰が挙げられます。米ドルも日本円も、ボッシュにとってはユーロと並んで事業における重要な通貨です。米ドルはこの1年の平均で約9%ユーロに対する価値を下げており、日本円に至っては10%以上の下げです。
しかしながら、私たちのグローバルな購買活動、およびグループが3大経済地域のすべてに製造拠点を有していることにより、付加価値の創造を世界中に分散させたことにより、私たちはその競争力を限界まで保つことができました。
とはいえ現在、再びユーロが高騰しており、そのことが米ドル経済圏でのボッシュの競争力に大きくマイナスの影響を与えていると言わざるを得ない状況ではあります。

ユーロ高は2007年にボッシュ・グループが発表した売上成長を2%押し下げました。昨年度の売上成長は為替調整後で8%の伸びを示しています。この成長は私たちが設定した長期目標と一致しています。ユーロ換算では463億ユーロで6%の成長となります。この成長のうち1.4%は昨年度、買収により新たに連結された分に相当します。3つすべての事業セクターが比較的、小規模な企業買収によって売上高を伸ばしているのです。いくつかの例を挙げてみましょう:

・ オーストラリアに本拠を置くブレーキシステムのサプライヤー Pacifica Group、および自動車整備機器の会社 Beissbarth GmbH の買収は、ボッシュの自動車機器テクノロジー事業セクターの製品ポートフォリオ拡大に寄与します。

・ 消費財・建築関連テクノロジー事業セクターは Florida Heat Pump Manufacturing の買収により、ボッシュのヒートポンプ事業を北米地域に拡大させました。

・ 産業機器テクノロジー事業セクターのパッケージング・システム、オートメーション・システムの各事業部においても、消費財・建築関連テクノロジー事業セクターにおいても、同様にさらなる企業買収を行いました。

昨年度、ボッシュは合計約8億ユーロを企業買収および既存関連会社の増資のために投じました。このような慎重な姿勢は、ひとつには、いくつかの会社の市場価値は明らかにその内容より過大評価されているという私たちの判断に基づくものです。

昨年度、ボッシュの収益は改善しました。税引前利益は前期の約31億ユーロから約38億ユーロに増加し、税引前利益率(売上高比)は2006年の7.1%から8.2%に上昇しました。この改善は、営業利益が前期の約24億ユーロから約32億ユーロに増加したことによるものです。これにより、ボッシュの営業利益率は5.5%から6.8%に上昇しています。ボッシュは約6億3,000万ユーロという再び高い財務収支(financial result)を達成しましたが、これは前年に比べ若干、下回っています。

私たちは引き続き、税引前利益率(売上高比)で7~8%というゾーンを目標として設定しています。また、長期的な成長を確保するために、高収益が見込まれる分野へさらなる先行投資を行います。これらの投資はまた、ボッシュの事業分野の拡大、国際的な事業拡張、革新的な製品の開発、従業員の能力開発と教育のために用いられます。

昨年度だけでも、ボッシュは研究開発に約36億ユーロを投じています。この記録的な金額は売上高の7.7%に相当します。また、2007年度の設備投資額も26億ユーロに達しており、高額だった前年を3,000万ユーロほど下回っただけでした。今年度は30億ユーロを超えると予測しています。その主な投資先としては、たとえば、ここ数年間で総額6億ユーロを投じる予定のロイトリンゲン工場の半導体施設の増設、風力発電用の油圧機器およびコンポーネントの生産能力の拡大などが挙げられます。

事業セクター別に見ると、3つの事業セクターがそれぞれ好調に発展していることがわかります。

・ 自動車機器テクノロジーの売上高は名目成長率で4.5%伸び、284億ユーロに達しています。為替調整後の成長率は6.7%となります。これにより、ボッシュは世界最大の自動車サプライヤーの地位を固守することができました。成長を牽引した主役は、新世代のディーゼルおよびガソリン燃料噴射システムへの需要増、さらにエレクトロニック・スタビリティ・コントロール(ESC)装備車のシェアが拡大したことです。

・ 産業機器テクノロジーの成長率は3つの事業セクター中で最高となり、売上高は9.4%増の約60億ユーロを達成しました。為替調整後の成長率は12%となります。ボッシュのオートメーション・テクノロジー事業は世界的な好景気と当社の幅広い事業運営から利益を得ました。パッケージング・テクノロジー事業も前年よりもはるかに改善し、力強い成長を記録しました。

・ ユーロ換算で成長率6.5%、約117億ユーロの売上高を達成した消費財・建築関連テクノロジー事業セクターにとっても、昨年度は堅調な1年でした。為替調整後の成長率は8%となります。私たちは特に電動工具、住宅機器、セキュリティ・システムの各事業で好成績を上げることができました。しかし、サーモ・テクノロジーは競合他社には勝るものの、ドイツ国内での消費の落ち込みにより伸び悩みました。消費者の買い控えの原因は、市場において将来的な排出規制と政府による奨励金が不透明であったことです。現在はこの点が明確になったため、今年度、この市場は再び盛り返すと私たちは予測しています。

ここで地域別の売上高を見てみましょう。ボッシュがその世界規模での事業展開からどれほど利益を得ているかがはっきりとわかります:

・ アジア・太平洋地域および南米地域での売上高は、名目成長率、実質成長率ともに再度、2桁の成長を達成しました。

・ 北米自動車産業の成長が弱まったにもかかわらず、私たちの米国における売上高はドルベースで6.5%増加しています。しかしユーロ換算では、売上高成長率はわずか1.6%となります。

・ ヨーロッパでもボッシュは著しい成長を達成し、売上高は約6%伸びています。

このプラス成長は各事業セクターの業績にも反映されています。

・ 自動車機器テクノロジーセクターでは、研究開発のための先行投資が事業セクター売上高の10.2%と大きく膨らんだにもかかわらず、営業利益率は前年の4%から5.8%に増加しました。

多くの分野において、設備稼働率の向上により業績が改善していますが、世界中のすべての生産拠点で実施したコスト削減や生産性向上のための対策も奏効しています。
これらの対策は北米地域でも実施され、大口顧客からの売上げ低迷にもかかわらず損失額を縮小することができました。けれども、ユニットインジェクタの段階的な製造打ち切りが、2007年の事業活動の足をなおも引っ張りました。私たちはディーゼル・システム事業部における資産価値の減損が8,600万ユーロに上ることを認めざるを得ません。シャシー・システム・ブレーキ事業部でも、1億3,600万ユーロの臨時減損を記録しています。順調とは言い難いこれらの事業内容の要因として、全般的な値下げ圧力、そして北米における市場の低迷が挙げられます。

・ 産業機器テクノロジー事業セクターの営業利益率は7.8%から8.4%へと上昇しました。世界的な好景気により資本財への需要が堅調であったことから、ボッシュのオートメーション・テクノロジー事業はそのすばらしい設備稼働率によって利益を得ました。さらには、改善の諸施策の実行により、パッケージング・テクノロジー事業部の収益も好転しています。

・ 消費財・建築関連テクノロジー事業セクターの営業利益は高いレベルに達しています。営業利益率は7.5%となっています(前年は8.2%)。先ほどご説明したように、この要因はドイツの暖房市場における消費の落ち込みにより、サーモ・テクノロジー事業部の売上げが伸びなかったためです。電動工具、セキュリティ・システム、住宅機器など他の分野では良好な業績を上げています。

昨年度の好業績により、ボッシュはさらなる成長の条件となる財務体質をさらに強化することができました。このことは、非営利団体であるロバート・ボッシュ財団が株式の大半(92%)を所有するというボッシュの定款に大きく関係しています。この定款によって私たちはボッシュ・グループが財務上の独立性を守ることが義務付けられており、そのことにより長期的な経営戦略に立って事業活動を行なうことができるのです。

ここからは、キャッシュ・フロー計算表における流動資産の推移、ネットでの財務状況、貸借対照表上の自己資本の3枚のチャートを用いて、ボッシュの財務状況をご説明したいと思います:

・ キャッシュ・フローの表では、当社のキャッシュ・フローが前年の約45億ユーロ(売上高の10.3%)から約51億ユーロ(売上高の10.9%)に増加していることを示しています。営業活動によるキャッシュ・フローは41億ユーロ弱に達しています。この数字は投資活動によるキャッシュ・フローの約35億ユーロを大きく上回っています。財務活動によるキャッシュ・フローを差し引くと、2007年度末の流動資産は約28億ユーロとなります。そのため、キャッシュ・フロー計算表にある流動資産は前年とほぼ同額となっています。ただし、本財務報告の記載規則が一部変更になり、期間が90日以下の有価証券は流動資産には含まれなくなりましたので、この控除分を組み入れて前年と比較すると、ボッシュの流動資産は前年を約1億2,000万ユーロ上回っています。

・ チャートにある「現金および現金等価物の合計」というのは、貸借対照表の流動資産合計にあたります。これは現金に預金(期間90日以上)、有価証券、現金等価物などを加えたものから構成されていますが、2007年度は8億ユーロ増加し、約120億ユーロとなっています。長期借入金と(退職給付)年金引当金などの固定負債を差し引くと、ボッシュの正味資産は前年の22億ユーロから39億ユーロに増加しています。また、資本市場の動向に対応して割引率が高くなっているために、年金引当金が圧縮されていることに言及しておきます。

・ 次に、貸借対照表を見てみましょう。自己資本比率は前年の48%から51%へと上昇しています。その主たる要因は良好な業績によるものです。貸借対照表の資産の部では、その構成はほとんど変化していません。しかしながら、資本の部、負債の部には大きな変化が見られます。まず、経営上の要因により、流動負債、特に支払債務に関する負債が増加しています。これに対して長期の固定債務は、主に年金引当金の圧縮が原因で減少しています。

全体としては、技術的強みやマーケティング上の強みに加えて、ボッシュは財務面でも健全な体質であり、ボッシュの事業をさらに拡大して長期目標を達成するのに十分な体制であると言えます。

それでは、ここでフェーレンバッハ会長にバトンをお返ししましょう。会長より今年度の事業の見通し、特にボッシュの事業戦略について説明させていただきます。

2008年度の展望: 私たちは慎重ではあるが、成長を確信している

クンメル取締役、ありがとうございました。さて、ここから今年度の足元と先行きについて、私からお話させていただきます。
ご来場の皆さま、会見の冒頭で申し上げましたように、経済面でのあらゆる不安材料が周囲に溢れているにもかかわらず、私たちは2008年度の業績について自信を持っています。企業を取り巻く経済環境は低迷することが予想されますが、私たちは世界規模で景況が悪化するとは考えておりません。このような背景を踏まえ、ボッシュ・グループの業績は全体として良好に成長すると予測しています。

とはいえ、混乱している経済状況には当然、ここしばらく、注意が必要です。

・ 米国でのサブプライムローン問題が引き金となって生じた金融危機は見通しが立たず、統制のとれない金融政策によってさらに悪化しました。その影響は米国国内に留まらず、世界経済にマイナスの影響を与えています。

・ この金融危機は主に対ユーロで大幅なドル安を招きました。このような状況は国際競争を大きく損なう結果となっています。

・ さらに、さまざまな原材料や食材において、理不尽かつ爆発的な価格高騰が発生しています。市場からその要因がもたらされるかというと、市場においては、要因をごく一部しか見つけることができません。私たちは現在、激しい投機による局面に立たされており、どれほど耐えられるか限界まで試みられている状態であるということは明白でしょう。このことに対して、私たちが成す術はありません。しかし前述したように、いくつかの政治判断、あるいはその欠如に責任がないとは言えないでしょう。たとえば、食材をもたらす貴重な農地がバイオ燃料生産の投機目的に転用されたり、高騰を続ける原油価格に対応できる説得力のあるエネルギー政策は無いに等しいのですから。

これらの問題が包括的に、北米経済に最大の痛手を与えています。問題は、これによって米国以外の世界経済がどの程度まで影響を受けるのかということです。米国経済がこれまでの数十年間ほど支配的ではなくなったことが、問題の深刻さを和らげていることは確かでしょう。しかし、マイナスの影響を完全に避けることはできません。世界的な景気後退は2009年に加速するという現実的な不安があるのです。

私たちは、今年度の世界経済の成長は約3%と見込んでいます。また、ドイツの GDP 成長率は引き続き2%程度と予測しています。これまでと同様、世界経済の最大の牽引力は、国自体もますます成長を続ける新興成長国の地域でしょう。私たちは、チベット問題による混乱が中国の成長プロセスを大きく損なうような大きなリスクであるとは考えていません。

このような状況下で、ユーロ高のマイナス影響が継続するにもかかわらず、私たちはボッシュ・グループは今年度も約5%の売上成長を達成すると予測しています。今年度、最初の4ヶ月間の売上高は前年同期比で名目成長率で約4%増(為替調整後7%増)と、私たちの予測を裏付けるものでした。私たちは今年度も、売上高の7~8%の営業利益をあげるという設定目標を達成できると自信を深めています。

とはいえ、現在の私たちを取り巻く状況を鑑みると、事業がつねに安定して発展していく保証はありません。そのため、私たちのすべての事業分野において、既存事業での競争力を保ちつつ、中・長期的な成長のチャンスをねばり強く追求していくことが、ますます重要になってきます。そこで、事業戦略というテーマに話を進めましょう。

ボッシュの未来のビジョン: 鍵となる3つのトレンド

現在と未来のビジョン、私たちが進むべき方向をきわめて明確に理解することなしに、事業戦略を立てることはできません。それでは、ボッシュの成長を牽引する重要な鍵となる世界的趨勢とは何でしょうか?明白な傾向として3つ挙げられます。

・ 1つ目は、世界経済のさらなるグローバル化の加速です。アジアの新興成長市場は特に急速に追い上げています。これに関連した2つの面があります。新規販売市場の拡がりによる需要の増大と、ワールドワイドな供給の潜在力が増すことです。私たちは今、この2つの局面を同時に経験しています。

・ 2つ目は、世界全体で環境保護と資源保護の重要性が高まっていることです。その結果、排出ガス規制はヨーロッパだけでなくアジアやアメリカでも厳しさを増しています。気候変動とその原因に関する議論が置き去りにされたまま、環境政策だけが現実のものとなっています。いくつかの政治目標には無理があるとしても、すでにコースは定まっています。そしてそのことはボッシュにとって、新しい技術的ソリューションの提供によってさらなる差別化を図るチャンスなのです。

・ 3つ目は、エネルギー資源の不足とコストの増大です。エネルギー効率が向上しているとはいえ、新興成長国、特に中国とインドのエネルギー需要は急激に伸びています。しかし、新たな採掘を計算に入れても、化石エネルギーは有限です。この事実と、世界の環境目標を合わせて、エネルギー効率における新たな側面が求められていることは確かでしょう。

私たちの戦略: 3つの主要目標

今ご説明した3つの傾向には、1つの共通点があります。私たちの製品の世界だけでなく、産業界における私たちの顔も長期的には著しく変わるだろうということです。私たちはこれらの変化に正面から取り組み、私たちが注力すべき3つの主要戦略目標を練り上げました:

・ 第1の目標は市場とともに動くことです。
ボッシュ・グループは100年以上前から国際化を進めていますが、引き続きグローバルな事業展開をさらに高いレベルにまで進めていきます。2015年までに売上高の半分以上をヨーロッパ以外で達成することをめざしています。その場合でも、ヨーロッパは依然として私たちのイノベーションを生み出す重要な市場であり続けます。そして現在ある、あらゆる問題に関わらず、私たちは米国経済の長期的な強みも重視し続けます。
とはいえ、私たちの最大成長地域はアジアです。ボッシュの目標は、2015年までにアジア・太平洋地域における売上高を現在の3倍にすることです。そのために2008~2010年に19億ユーロ弱の金額を投資する予定です。これは過去3年間と比較すると5億ユーロ以上増えています。2009年初めまでにはアジアの2カ国における従業員を増員し、中国で約23,000人、インドで20,000人弱を雇用する計画です。これほどの従業員数を擁する国は、ドイツを除くと他にありません。

・ 第2の目標は、ボッシュ・グループの事業の多角化にフォーカスしていくことです。
私たちは引き続き、売上構造のバランスを取ることに注力していきます。すなわち、自動車機器テクノロジーにおける成長のチャンスを最大限に利用するだけでなく、同時に消費財・建築関連テクノロジー、産業機器テクノロジーにおいても平均以上の成長を達成していきます。そのためには、私たちのコア・コンピテンス(企業力、強み)と企業文化に合致する企業の買収を続けます。
「フォーカスしていく(焦点を合わせる)」という表現は、私たちのビジネスをむやみやたらと拡張するのではなく、私たちのコンピテンス(強み)と結びつけることのできる分野で拡大していくということを意味しています。
ボッシュは最近、小規模な企業買収を多数、行いました。先ほどクンメル取締役からご説明したとおり、私たちが2007年度に企業買収および増資のために投じた金額は8億ユーロを超えています。潤沢な資金により、今年度以降もボッシュはなお一層その事業を強化するため、昨年度を超える金額を投じることが可能です。

・ 第3の目標は、コーポレート・スローガンである「Invented for life(独創を、みんなのものに)」が示す技術革新力という私たちの強みに焦点を合わせることです。
クンメル取締役が述べたように、2007年度の研究開発費は36億ユーロ、売上高の7.7%に達しています。自動車機器テクノロジー単独ではその割合は10.2%にもなっています。これは新記録です。研究開発費の40%以上が環境と資源を保護する製品のために使われています。2007年度だけを見ても、優に15億ユーロを超えているのです。
エネルギー効率の追求に留まらず、私たちは再生可能エネルギーの開発・実用化を強化しています。これらのシステムによって生み出される今年度の売上高は2桁成長の7億5,000万ユーロ、2010年には12億にユーロ達する見込みです。多くの技術が求められている環境保護問題に大きな経済的チャンスがあると私たちは考えています。

市場とともに動く: アジアへ、そして激化する競争の中で

実際のところ、これらの戦略的アプローチは互いに補完し合い、強化し合っています。
世界中で販売されているボッシュ製品は、資源を節約する製品です。これらは国際的に、そしてアジアの新興成長市場で成功を収めるための主張な牽引役になっています。
その一方で、費用対効果に優れたソリューションが必要です。そしてここでも私たちは、これらのソリューションをグローバルな開発と製造のネットワークによって生み出すことができるのです。
その一例が、タタモータースのナノです。このインドの超低価格車両の装備品の主要サプライヤーは、ハイテク企業であるボッシュです。エンジンマネジメントや燃料噴射システムなど、ボッシュのシステムがこの車両には多数、搭載されています。
この例は、顧客のいる現地で私たちのエンジニア、技術営業が対応することによって、私たちがどれほど多くのメリットを得ているかをよく示しています。現在、私たちの研究開発スタッフのおよそ4人に1人がアジア・太平洋地域で働いており、全世界に292箇所ある製造拠点のうち65箇所がアジア・太平洋地域にあります。
私たちはこのような地域進出の強みを、従業員と付加価値の両方の観点からさらに強化していきます。いくつか例を挙げてみましょう:

・ インドではガソリンおよびディーゼルシステムの生産能力を大きく拡張しています。さらに、新たな生産も始まりつつあります。包装機器が2007年末からゴア(Goa)で、アンチロックブレーキシステムが2008年末からチャカン(Chakan)で、コントロールユニットは2009年からナガナタプラ(Naganathapura)で生産を開始します。

・ 大規模な投資は中国でも予定されています。2010年までに、上海にボッシュ中国の新本社社屋、長沙に物流センター、そして内モンゴルに冬期テストコースが建設されます。また、ボッシュのセキュリティ・システムも珠海に新工場を建設します。私たちは中国で生産する製品レンジを拡張しており、蘇州と無錫で生産しているコントロールユニットとディーゼルシステムの製品ポートフォリオも拡大します。

・ 韓国では昨秋、京畿道/龍仁市に本社新社屋が完成し、技術センターも増設されました。
ベトナムでは新工場設立のための用地を確保したばかりですが、この春、100%出資の現地子会社を設立しました。またその直後に、インドネシアでも子会社を設立しています。

・ 最後に、戦略的に最も重要な国のひとつである日本の子会社についてです。
日本のボッシュは約1,200名の開発エンジニアを擁しており、ボッシュは日本でも世界中のどの地域でも、その強力なチームワークによって、日本のカーメーカーとともに成長していくことができます。ボッシュは2008年4月23日、日本の子会社であるボッシュ株式会社の完全子会社化(100%出資子会社化)に向け、発行済株式のすべてを取得する目的で公開買い付けを実施することを発表しました。この目的は、日本のボッシュ(株)を完全子会社化することで経営の柔軟性が高まり、ボッシュ・グループの日本における成長を加速化することが可能になるからです。

これらすべては、アジア地域で拡大し続けるボッシュの姿を鮮明にしています。私たちはアンチロックブレーキシステムをブラジル/カンピナス(Campinas)で、また住宅機器をロシア/サンクトペテルブルク(St. Petersburg)で生産開始するなど、ブラジルやロシアにおいても新たな操業を開始し、新市場を開拓しています。2007年だけでボッシュのワールドワイドな生産ネットワークに22の拠点が加わっています。

しかしながら、アジア地域における私たちの成功は、けして一方通行の国際化ではありません。新興成長国はまた、競争圧力の増大の源でもあります。そして私たちは既存市場でもこの圧力を感じています。
このことは、きわめて競争の激しい電動工具事業における業績でとりわけ顕著です。2007年、ドイツ国内ではノーブランド電動工具の売上高が3分の1に激減しました。この要因のひとつには、ボッシュ電動工具事業部による新製品の攻勢もあります。私たちは驚異的なペースで市場に新製品を導入しており、昨年だけでもその数は100を超えています。最初に製品のアイデアが生まれてから市場に導入するまでの平均期間はわずか12~18ヶ月です。新たな市場も開拓しています。DIY用レーザーメジャーリングツールなどがひとつの例です。この成長分野をさらに拡大するため、ボッシュは2008年初めに香港のメジャーリングツール製造会社 Robotoolz を買収しています。
アジア地域であれヨーロッパであれ、新興成長市場による競争激化に直面しており、私たちはその中で、まさに攻撃態勢にあるといえるでしょう。

事業の多角化に焦点: 明確なプラットフォームをベースに幅広く展開

ボッシュ・グループの事業の多角化には多くの側面があります。事業セクター間のバランス調整だけでなく、個々の事業セクターにおけるビジネスでバランス調整を図ることにも焦点を当てています。
たとえば自動車機器テクノロジーでは、車両用の代替駆動システムの開発を進めています。ボッシュの持つハイブリッド駆動システムに関する専門技術には、これまでにないほど大きな需要があります。ボッシュではこの分野ですでに400名近いエンジニアが従事しています。ガソリン・ハイブリッド車だけでなくディーゼル・ハイブリッド車の量産プロジェクトも進めており、さらに一連のエンジニアリングの業務も受注しています。
これに後押しされ、ハイブリッドシステムのプロジェクトとは別に、バッテリーシステム専門のプロジェクトを設置しました。ここでは、駆動システムにおける電気モーターの利用を増やすために必要な、さらなるコア・コンピテンスに焦点を当てています。開発の目標は、ボッシュがメーカーとして初めて電動工具に導入したリチウムイオンバッテリーを車両用に使用することで、これに向けてパートナーとともに開発に取り組んでいます。複数の共同プロジェクトがすでに始まっており、いくつかはテスト段階に入っています。電気自動車は長期的な課題です。その実現に向けて、ボッシュはすでにあらゆる種類の準備を開始しています。

他の事業セクターでも、同じような事業拡大を続けています。
たとえば、セキュリティ・システム事業を見てみましょう。2000年頃にはまだ主にドイツ国内の設備事業に注力していましたが、現在までに11の企業買収によって組織的にも成長・拡大を続けています。今日、ボッシュは国際的な製品事業、特に成長著しいビデオ監視システムの分野においては主要サプライヤーの1つに数えられるまでになりました。ここでの重要な要素のひとつは、画像コンテンツのソフトウェア支援型分析です。この分析は、たとえば空港や鉄道の駅に放置されたスーツケースなどに危険があるかを検知するために役立ちます。この目的のために、ボッシュの研究者は基本アルゴリズムを開発しました。
これはセキュリティ分野のビデオ監視システムだけでなく、 ドライバーアシスタンスシステムのビデオセンサにも用いることができます。このことは、ボッシュのノウハウがどれほど用途が広いかを示しています。

2000年から行ってきた大規模な企業買収で格段に規模を拡大した次の2つの事業部もダイナミックな発展を遂げています。

・ サーモ・テクノロジー事業を担う100%出資子会社の BBT Thermotechnik GmbH は、市場拡大のためのテクノロジーの開発に注力しており、その能力を拡大させてきました。ボッシュのサーモ・テクノロジー事業は今のところ暖房システムが主力ですが、将来的には暖房、換気、冷房、空調のコンビネーションを図ったシステムの需要増が見込まれます。このコンビネーションはすでに「ソーラーデカトロンハウス」などで実現されています。これはボッシュが支援したダルムシュタット工科大のプロジェクトで、現在、ここシラヘーエで見学することができます。この家はすべてのエネルギーを太陽によってまかなっています。この記者会見の後で皆さまにぜひご覧いただきたいと思います。

・ Bosch Rexroth もまた、エネルギー効率向上のためのソリューションの製品レンジを拡大しています。来年度、流体静力学ブレーキ回生システム(HRB)を市場に導入する予定です。これにより、頻繁に発進と停止を繰り返すごみ収集車やフォークリフトなどの車両で、最大で25%の燃料を節約することができます。その原理は、減速(ブレーキ)時に走行中の運動エネルギーを油圧システム内に一次的に蓄え、スタート時の運動エネルギーの補助として再利用するというものです。これは車両の電子制御システムと連動しての相互作用でしか実現することはできません。電子制御システムは私たちのコア・コンピテンスのひとつです。これも付加価値を生み出す多様性の良い例です。私たちの事業はさまざまな市場に焦点を合わせていますが、テクノロジーによって相互に有益な刺激を与えることができるのです。

「Invented for life(独創を、みんなのものに)」: ボッシュの戦略の焦点

ハイドロリック・ハイブリッド・システムの例のように、ボッシュでは多くのテクノロジーが環境保護というゴールにつながっています。その意味で、「Invented for life(独創を、みんなのものに)」は単なるスローガン以上のものなのです。研究開発にとっては中心テーマであり、実際には全体を通じた戦略的アプローチでもあります。その一例が、ボッシュの子会社である Bosch Rexroth による再生可能エネルギー利用への貢献です。

・ Bosch Rexroth は風力発電産業における世界最大のシステムサプライヤーの一社です。その生産能力は今後行われる3億ユーロ以上の投資によって、さらに大幅に拡大されます。今年度、Bosch Rexroth は風力発電タービン用ハイドロリックシステムとギアユニットの売上を倍増させ、3億3,000万ユーロに達する予定です。2010年には6億ユーロを上回ることをめざしています。

・ ボッシュ・サーモテクノロジーは、ヒートポンプの世界的なマーケット・リーダーであり、近年はソーラー技術の生産能力を大幅に拡大しています。私たちの目標は再生可能エネルギーシステムのシェア拡大であり、2007年の12%から2015年には30%に増やしていきたいと考えています。遅きに失したとはいえ、現在の欧州の暖房システムの近代化の停滞を解消するためには、法的枠組がさらに明確にされることが求められるでしょう。同時に私たちは教育活動にも努めます。2007年だけで75,000名の暖房設置技術者がボッシュのトレーニングセンターで研修を受けました。暖房が設置される住宅の所有者にボッシュの最先端技術を納得していただくよう努めるのが、この技術者たちです。

クリーンで経済的なシステム。これに関しては、長い間、自動車分野に焦点が当てられてきました。そしてそのために、私たちは新しいソリューションを開発し続けています。その一例として、ディーゼルエンジンの NOx 触媒コンバーター用尿素水噴射システム「DENOXTRONIC」が挙げられます。私たちは今年度、このシステムを約40万ユニット販売する計画です。この数字は2012年には約260万ユニットにまで増大するでしょう。このうち約100万ユニットは米国で販売します。
明確なスローガン「クリーン・ディーゼル」によってディーゼル車は米国でも普及していくはずです。そのために、私たちは米国やヨーロッパ、アジアのメーカーと協力してプロジェクトを進めています。厳しい米国の排出基準をベースにしたディーゼル燃料噴射システムは2008年から量産が開始されますが、2010年にはさらに規制が厳しくなり、「軽量商用車(Light Commercial vehicle)」や「SUV」だけでなく乗用車にも拡大されます。米国でのディーゼル車のシェア拡大の予想は、顧客との開発プロジェクトにすでに反映されています。

その動機がエネルギー政策であれ気候変動への政策であれ、北米地域やヨーロッパの立法者は燃費と二酸化炭素排出を低減するためにますますます野心的な目標を掲げています。これら2つの地域では、ボッシュの経済的な直接燃料噴射システムがガソリンエンジン用およびディーゼルエンジン用の両方でその売上げを増やしています。
一方、オートマチック・スタート/ストップシステムなどの補助機能も、市街地交通で最大8%の燃費低減に効果を発揮します。ボッシュは今年、このシステムを約50万ユニット販売する計画で、来年度はさらに150万に増加させる見込みです。
将来は、出力は現行モデルと同等に維持したまま小型化された次世代エンジンによって、さらに一段とエネルギー消費が節約できるようになるでしょう。このようなダウンサイジングにはターボチャージャーが必要となります。そしてまさしくそのために、ボッシュはドイツで Mahle と合弁会社を設立しています。
しかし、ダウンサイジング・エンジンは法的枠組が明確になって初めて量産が開始されることになります。そのために、欧州連合(EU)はその燃費低減目標を2009年の議会選挙の前に採決する必要があります。そしてそれまでに、ドイツも新車購入者に対して課税する、気候変動保護を促進するCO2ベースの車両税を導入しなければなりません。
しかしながら、より急を要するのは、この税金についてヨーロッパ全体で調和を図ることでしょう。今のところ14もの異なった国別規制があり、自動車産業界にとっては費用のかさむパッチワーク状態になっています。果たしてこれが、ヨーロッパ共同市場と言えるでしょうか。共通の環境保護目標ですらないのが現状です。

けれども、テクノロジーの「Invented for life(独創を、みんなのものに)」は環境保護以上のものです。自動車に関する場合、これは事故からの保護でもあるのです。技術の発達に伴って死亡事故が減少しているという長期的な傾向が見られます。しかしながら、最近はこのグラフも緩やかになっています。そこで私たちが出した結論は、より高度な技術をさらに向上させるべきだ、ということです。2008年現在、世界では新車の乗用車の3台に1台しかエレクトロニックスタビリティコントロール(ESC)が装備されていません。それが2011年には2台に1台になります。そして次の拡張段階はボッシュの衝突予知セーフティシステム(PSS)で、2009年にオートマチック緊急ブレーキと共に導入されます。もしドイツのすべての乗用車にこの衝突予知セーフティシステムが装備されたと仮定すると、すべての交通事故のうち20%を回避することができます。けれども、単に道路だけでなくテレマチックシステムも含んだインフラを拡張するためには、政府が行動をおこすことも求められます。私たちの共通の目的は、事故のない道路交通なのです。

すべてのための前提条件:高い能力を持った従業員

ご来場の皆さま、最初に私が申し上げましたように、私たちの戦略意図がいかなるものであっても、私たちの目標は高い能力を持った従業員があってこそ達成できるものです。私たちのグローバルな成長には、それぞれの国で専門能力を有したエキスパートが必要不可欠です。そして現在、気候変動への対策が公の場で議論されていますが、この野心的な CO2 削減目標を21世紀に達成するためには、十分な数の専門家を擁する必要があります。それについて深く考えられることはなく、議論もなされていません。
実際、困ったことに、ドイツでは教育に GDP の5.3%しか使われていません。OECD (経済協力開発機構)加盟国の平均はおよそ6%です。本来であれば、ドイツは教育の分野でトップの座を占めていてもおかしくはないのです。私たちはこのことについて政府関係者に要請を行っています。
一方でボッシュは、技術アカデミー「Acatech」などの民間活動をドイツで実施しています。ボッシュはまた、幼稚園から高校まで、テクノロジーへの興味を育てる活動を行う「Wissensfabrik(ナレッジアカデミー)」の共同創立者でもあります。

これはドイツに製造拠点と事業拠点を維持していくために最も有効な方法です。ドイツはまた研究開発活動の中心であり、将来もそうあり続けます。
このことは、来月から始まるプロジェクトでも明らかです。ボッシュは2010年までに6,000万ユーロを投じてアプシュタットの開発センターを拡張することで、新たに900人の雇用を創出します。私たちは、このような大口顧客や研究施設にほど近いという立地から大きなメリットを得ることができます。
けれども私たちがこのノウハウ集団を長期的に維持していくためには、国内で十分な数のエンジニアを採用できることが必要なのです。そして高い能力を持った開発者なしにはプレミアムカーを生み出すことができないこともまた明らかです。これは将来の重要な問題なのです。

ボッシュは現在、ヨーロッパに大卒者2,500人分の欠員を抱えており、そのうちの1,500人分がドイツ国内のポストです。今のところはまだ有能な人材を確保することができていますが、そのために私たちは採用活動を強化しています。たとえば、シュヴィバディンゲンで開催している「ハイテク・ミーティング」や、スウェーデン北部の冬期テストセンターで行っているリクルートイベントなど、採用イベントを実施しています。

また、新興成長国では知名度を上げていく努力を行っています。
3月には、インドの30の大学から厳選された約750人の学生を自動車機器テクノロジー事業セクターのテストコースに招待しました。昨年、ボッシュは全世界で約5,500人の大卒者を採用しており、そのうちの800人以上を中国、1,500人以上をインドで採用しています。

これらの国々で特に重要なことは、若い才能を特に最初の4年間つなぎ止めておくことです。最初の4年間はその後に比べ、離職率が2倍も高いのです。私たちは離職を食い止めるために多くの対策を講じています。ここでのキーワードは2つ、教育とキャリアプランへの展望です。

・ 私たちは人材育成を強化しています。2007年、ボッシュは世界中で従業員のトレーニングに2億2500万ユーロを超える金額を投じています。その一環として、2007年には「Bosch China Training Institute」を設立しています。この施設では、中国の国内から集められたスペシャリストと幹部クラスのために教育セミナーが行われます。今年度のプログラムには50以上のさまざまな研修コースとワークショップがすでに予定されており、マネジメントとリーダーシップに焦点が当てられています。

・ 次に、私たちはきわめて初期の段階からキャリアアップの門戸を開いています。2007年秋には、アジア・太平洋地域専用の管理職開発スキームを構築しました。有望な下級経営幹部候補は入社からわずか2年で参加することができます。今年度、この幹部候補開発プログラム(JUMP)を13カ国に導入します。これは大卒者のための全世界共通のマネジメント・デベロップメント・プログラムで、マネジメント力を潜在的にもつ若い有能な人材を、特に成長地域でより多く採用するために計画されています。

ここでは、私たちははるか先の将来まで考慮に入れています。長期的には、現地子会社の管理職はその80%が現地出身者で占められることを目標としています。これは、2014年までにこれらの国で2,500人以上のマネージャーが必要であることを意味しています。将来、彼らが持っている市場特性に関する知識が地域における成長潜在力の活用に役立てられていくことでしょう。
その一方で、彼らはグローバルな体験を積んでいく必要があります。従業員の海外派遣は増え続けており、2008年初めには2,300人を数えています。ドイツが受け入れ国の第1位ですが、中国がすでに2位に入っており、米国がそれに続いています。ボッシュの人事政策は世界レベルでの人材育成・管理システムとなっています。

ボッシュの企業文化: 伝統と現代の調和 「価値の創造-価値の共有」

ボッシュの世界中の従業員を動かす、最も強い動機は何なのでしょうか。この質問について考えることで、私の話の締めくくりとさせていただきます。
企業としての事業方針・指針に基づいた戦略目標と経営課題へのコミットメント(必達目標)、それは私たちボッシュの中で、つねに明確に設定されています。しかし、それだけが私たちの成功と弛まぬ進化のための前提条件ではありません。私たちを動かすのは、企業理念へのコンセンサス、共通理解です。つまり、ボッシュで何のために、どのように働くのか、この価値感が、世界の全従業員に共有されていることが重要なのです。
「何のために」のひとつが事業的な成功であることは間違いないでしょう。さらに、グローバル規模での企業の社会的責任、環境保護の責任などもあります。そして最後に、法の遵守への確固たる意思です。このことは残念ながら全世界で自明の理ではありません。けれども私たちが、事業活動における成功を継続していくためには必要不可欠なことなのです。私たちは国際的な企業であるがゆえに、いつでもどこでも遵法を基本とする民主主義のもとで事業を行えるわけではないということを知っています。

しかし、全世界のボッシュ従業員は、すべての部門がすべての業務において、ボッシュ・バリュー、すなわち共通の価値感に格別の重きを置いていることを、よく理解しているのです。これは創業者ロバート・ボッシュの経営理念を継承する、私たちの伝統のひとつです。
私たちが今日、ボッシュの企業文化として理解し共有している共通の価値感、これは全世界の従業員のための経営方針の体系「House of Orientation」の中に定義されている事柄ですが、これは創業者ロバート・ボッシュの信念を現代の言葉に置き換えたものです。ドイツ国外の従業員も含めた私たち全員に信頼が与えられるのは、まさしくこの経営理念が今も脈々と私たちの中に生き続けているからです。そして、世界各国から成る私たちのチームの信頼関係、信用があってこそ、戦略目標を達成することができるのです。
この意味において、従業員のモチベーションは私たちの成功の基盤といえます。いきいきと呼吸している企業文化は統合的な相乗効果をもたらします。それは私たちの事業の発展に寄与していくのです。

ご静聴いただき、ありがとうございました。

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このプレスリリースは2008年5月8日に Robert Bosch GmbH より発行されました。原文をご覧ください。>