自動車機器テクノロジー Robert Bosch GmbH のプレスリリース(日本語訳)
イノベーションから標準装備へ
ボッシュの ABS が安全なブレーキングを実現して30年
- ボッシュの電子制御式アンチロックブレーキシステムは1978年に量産を開始
- ABS は急ブレーキ時のホイールロックを防止する
- ABS はすべてのアクティブセーフティシステムの基礎を形成
- 欧州、米国、日本では乗用車に標準で装備
- 2007年には世界の新車の76%に ABS が装備される
今から30年前の1978年、ボッシュは ABS (アンチロックブレーキシステム)の量産を開始し、自動車におけるすべてのアクティブセーフティシステムの基礎を築きました。
このシステムはホイールロックを防止するもので、急ブレーキをかけた時に車両を安定させてドライバーが回避行動をとれるようにする機能です。この電子制御装置は、車両に使用できる効率的で信頼性のあるソリューションとしてボッシュが初めて開発したシステムです。
ABS 機能は1986年には TCS (トラクション・コントロールシステム)により、1995年には ESC (エレクトロニック・スタビリティコントロール)によって拡張されてきました。そしてこれらのシステムはそのたびにボッシュのイノベーションであり続けました。
2007年、世界の新車の4分の3に ABS が装備されています。世界的なマーケット・リーダーであるボッシュだけでも、2008年には2,100万ユニットのブレーキコントロールシステムを生産ラインから送り出す予定です。
欧州、米国、日本では、ABS は標準装備されています。そしてこれらの地域では ABS に置き代わって、ESC (エレクトロニックスタビリティコントロール)の装備が増えつつあります。
2007年、米国では2012年型モデルまでに、重量が最大4.5トン以下のすべての軽量車両に対して段階的に ESC 導入を義務付ける法律が可決されました。
同年5月には、欧州委員会が同様の規定を提起しています。これは、2012年10月から全ての新しいモデルに、また ESC を2014年10月以降すべての新車に義務付けるというものです。
また、新興成長市場でも、ABS の装備は増加しています。たとえばブラジルでは、新車7台のうちの1台には ABS が装備されており、中国ではすでに乗用車の3分の2には ABS が装備されています。
ABS – 以前からの着想を実現するまでの長い道のり
ホイールロックの防止は、すでに20世紀初頭から研究課題として存在していました。しかも、自動車だけではなく、鉄道や航空機の問題でもあったのです。
ボッシュも1936年には最初の特許を申請しています。すべての初期の自動車用システムの設計には、同じ問題がありました。あまりにも複雑なため故障が生じやすく、作動も緩慢すぎたのです。
1964年、Teldix 社は最初の完全な電子制御システムの開発作業を開始し、エンジニアはその2年後には最初の成功を収めています。ABS を装備した試作車で制動距離が短縮され、コーナリング時の操縦性と走行安定性が保たれました。設計の基本構造は ABS 1 として知られ、今日でもほとんどすべての ABS にこの構造が見られます。けれどもおよそ1,000個に及ぶアナログコンポーネントと安全スイッチが使用されていたために、このシステムのエレクトロニックコントロールユニットの信頼性と耐久性は量産には適していませんでした。両方の性質を改良する必要があったのです。
1975年、ボッシュは ABS の開発部門を Teldix 社から買収し、そのエンジニアのノウハウと将来性が高まっていたデジタル技術(集積回路を含む)によって多数の電子コンポーネントを最終的に140個まで減らすことに成功しました。開発開始から14年を経て、ようやくすべてが揃ったのでした。
1978年、ABS 2 として知られるこのシステムは、ボッシュで量産が開始されました。最初に装備されたのはメルセデス・ベンツのSクラスで、そのすぐ後に BMW の7シリーズ・サルーンにも続きました。
ABS – システムの進歩と追加された機能
その後もエンジニアはシステムの簡素化に力を注ぎました。
1989年にはハイブリッドコントロールユニットが量産開始されます。そのコンパクトな設計により、直接ハイドロリックユニットに取り付けることができるようになったのです。ABS 2E ジェネレーションでは総重量も劇的に低減されました。
1993年には、ボッシュのエンジニアが新型ソレノイドバルブを使用したジェネレーション5.0を開発し、翌年にはバリエーション5.3と5.7を発表しています。その主な特徴は前回と同様格段の軽量化でしたが、リアアクスルに取り付けられていた機械的なプロポーショニングバルブに代わってブレーキ圧を電子制御で配分する機能などが追加されました。
この開発と平行して、ボッシュはモーターサイクル用のアンチロックブレーキシステムの製造を1994年から日本で開始しています。モーターサイクルでは、前輪がロックするとほとんどの場合転倒が避けられないのです。
2001年、ボッシュは現行の ABS 8 ジェネレーションの製造を開始し、その後も数度の改良を重ねています。このジェネレーションの最もコンパクトなバージョンでは、重量はわずか1.4 kg、コントロールユニットにはたった14個の高度に統合されたコンポーネントと256キロバイトのメモリーがあるだけです。ジェネレーション8はモジュラー式設計で、ブレーキコントロールシステムのさまざまな複雑性(ABS、TCS、ESC)に合わせて同じような方法で組み立てることができます。これによって開発と製造の相乗効果が最適化できるようになりました。
ボッシュの製造するすべてのシステムは、すべての製造拠点をつなぐ国際的な開発および製造ネットワークにおいて同一の基準で製造されます。そしてほとんどの ABS システムは、ドイツ、フランス、米国、日本、オーストラリア、中国、ブラジルなど、カーメーカーの拠点所在地域にあるボッシュ拠点の組立ラインから送り出されています。
技術的な進歩に比例して、機能の範囲や数も増加しています。
たとえば1986年には、ABS をベースにした、ホイールスピンを防止する TCS (トラクションコントロールシステム)の量産を開始しています。この機能は滑りやすい路面での発進を改善するだけでなく、コーナリング時の車速が速すぎた場合、システムがエンジン出力を低下させて走行安定性を高めます。
さらにボッシュは、ESC (エレクトロニックスタビリティコントロール)を1995年に初めて市場に投入しています。この機能は制動時や加速時だけでなく、あらゆる走行状況で車両の安定性を向上させます。車が横滑りする危険性が生じると、ESC はエンジン出力を抑制すると同時に各ホイールに個別にブレーキ圧を供給します。事故の研究調査によると、30~50%の単独車両死亡事故は ESC によって回避することができます。
今後数年で、エンジニアはこのブレーキコントロールシステムをさらに小型化、効率化するでしょう。新しい機能では、リストレイントシステムやビデオシステムなど車両内の他のシステムとのネットワーク化が増加します。
ABS – その働き
当時も現在と同様、ハイドロリックユニットが ABS システムの主要コンポーネントです。さらに、各ホイールへのブレーキ圧を個別に制御するためのバルブ、リターンポンプ、エレクトロニックコントロールユニットで構成されています。加えて、4輪それぞれにホイールスピードセンサーが付いています。このセンサーは各ホイールの回転速度を測定してその情報をコントロールユニットへ送ります。急激なブレーキングによって1つのホイールがロックしそうになると、ロックの危険がなくなるまでシステムがそのホイールへのブレーキ圧を低減します。ホイールがまた自由に回転し始めると、ブレーキ圧は再び増加されます。ブレーキ圧の増減は、ドライバーがブレーキペダルを踏み込む力を緩めるまで、または、例えば路面のグリップ力が増加してロック傾向が解消されるまで継続されます。システムによっては、ブレーキペダルに脈動が伝えられます。
ボッシュ ABS の30年 – 開発のマイルストーン:
| 1936年 | ボッシュが「自動車のホイールロックを防止するメカニズム」の特許を申請 |
| 1970年 | ABS 1 のプロトタイプが要求されたすべての機能の実行に成功; ただし、コントロールユニットの機能的安全性は不十分 |
| 1978年 | 最初のアンチロックブレーキシステム ABS 2 の量産を開始。メルセデス・ベンツ、続いて BMW の車両に装備される |
| 1981年 | 通算10万個の ABS 供給を達成; この年、ABS が商用車にも装備され始める |
| 1985年 | ボッシュの ABS が米国の自動車に初めて装備される |
| 1986年 | 通算100万個の ABS 供給を達成 |
| 1987年 | 乗用車用 TCS (トラクションコントロールシステム)の量産を開始 |
| 1989年 | ABS 2E で、コントロールユニットが初めて直接ハイドロリックユニットに取り付けられる |
| 1992年 | ボッシュの ABS システムが通算1,000万個を達成 |
| 1993年 | ボッシュ ABS 5.0 の量産を開始 |
| 1995年 | ABS 5.3 (マイクロハイブリッドコントロールユニット付き)の量産を開始 ESC (エレクトロニックスタビリティコントロール)を導入 |
| 1998年 | ボッシュ ABS 5.7 の量産を開始 |
| 1999年 | ボッシュの ABS システムが通算5,000万個を達成 |
| 2001年 | ボッシュ ABS 8 の量産を開始 |
| 2003年 | ボッシュの ABS システムが通算1億個を達成 |
| 2004年 | EU の全加盟国15カ国で ABS が標準装備となる |
| 2008年 | ABS 量産開始30周年を迎える |
このプレスリリースの要約は2008年7月に Robert Bosch GmbH より発行されました。原文をご覧ください。




