経営情報 Robert Bosch GmbH のプレスリリース(日本語訳)

ボッシュは研究開発・先進エンジニアリングの地域本部をシンガポールに設立

  • 今後5年間の投資額は最大3,000万シンガポールドル
  • 一流の研究開発機関と長期的パートナーシップを確立
  • 最初のプロジェクトは有機光起電力技術で、シンガポールの南洋工科大学(Nanyang Technological University、NTU)と協力
  • ボッシュが継続して取り組んでいる「グリーン」テクノロジー開発の一環

シンガポール発、2008年9月3日: 世界をリードする技術とサービスのサプライヤーであるドイツのボッシュ・グループは、アジア・太平洋地域の研究開発・先進エンジニアリング本部をシンガポールに設立します。
「アジア・太平洋研究開発センター(RTC-AP)」の開所式には、シンガポールの通産副大臣 Mr. S. Iswaran も招かれました。このセンターはアジア・太平洋地域における技術トレンドと市場チャンスを調査研究し、地域のテクノロジー・リーダーとしての地位を確立して、チャレンジングな研究対象を探求します。一流の研究開発機関とプロジェクトでの協力関係を推進することで長期的なパートナーシップを確立することがセンターの主な目的です。

センターの最初のプロジェクトとして、有機光起電力技術(OPV)が選ばれました。ボッシュはシンガポールの南洋工科大学(Nanyang Technological University、NTU)の素材科学工学研究室と協力し、太陽光から低コストで電気エネルギーを生成する有機薄膜太陽電池の技術を開発します。再生可能エネルギー分野におけるこの研究は、「環境と資源を保護する技術とともに成長する」というボッシュのグローバルな目標と、有機エレクトロニクス研究分野におけるNTUの強みと専門的知識に合致するものです。

ボッシュはこの最新の研究所とハイテク装備のために、今後5年間で最大3,000万シンガポールドルを投資する予定です。新設された研究開発・先進エンジニアリング地域本部(RTC-AP)統括所長としてクリストフ・トロイトラー(Dr. Christoph Treutler)が就任しました。従業員数は約30人で、そのほとんどが博士号を持つ研究者です。このセンターはまたアジアにあるボッシュの2つの先端技術研究グループを統括する役割も果たします。2つのグループは2005年に日本と中国(上海)に設立されています。日本ではボッシュ株式会社のテクニカルセンター先端技術研究室がそれにあたります。

シンガポールの選択とボッシュの地域投資

「アジア・太平洋地域は、研究開発の分野における可能性をたくさん秘めています。私たちは、シンガポールの新地域本部が、この地域における研究目標を達成するために極めて重要な役割を果たすだろうと考えています。」
ロバート・ボッシュ GmbH 取締役会メンバーでアジア・太平洋地域担当のウヴェ・ラシュケ(Uwe Raschke)はこのように述べました。

ボッシュがシンガポールを選んだ理由のひとつに、優れた大学と研究所に支えられた優秀な研究者たちの存在があります。また、シンガポールの安定した政治や経済の状況、際立った産業基盤も重要な要素でした。さらに、シンガポール政府による強力な後押しと、この国を再生可能エネルギーのハブ(中核)にしようという努力もまた、プラスのポイントでした。

「RTC-AP の設立は、この国におけるボッシュ・グループの歴史においてもうひとつの重要なマイルストーンです。昨年、ボッシュはネットワーク(proxy)サーバのセンターとIT研究開発施設をシンガポールに建設しました。これらの施設は、アジア・太平洋地域にある200箇所以上のボッシュ拠点に集中ITサービスを供給し、グローバルなIT研究開発の専門技能を提供しています。私たちはボッシュのこの地域における成長コースにおいて、シンガポールが引き続き極めて重要な役割を果たすことを確信しています。」
Robert Bosch (SEA) Pte Ltd. 社長兼代表取締役 Cem Peksaglam はこのように述べました。

シンガポールの通産副大臣 Mr. S. Iswaran は、
「シンガポールで研究開発事業を行うことの優位性に気付いた他の多くのグローバル企業のひとつに、ボッシュが加わったことを非常に喜んでいます。これらの企業は、知的財産権が強力に保護されていること、才能ある国際性に富んだ人材が現地で確保しやすいこと、大学や研究所と共同研究ができることなどが、シンガポールの魅力と見なしています。私たちは、シンガポールを“生きた研究室”として使用するボッシュの事例に続き、より多くの企業が世界の他の地域へ流出する前にシンガポールでソリューションをテスト、実験、適合、導入することを願っています。」
と述べました。

NTU との最初のプロジェクトは有機光起電力技術
- 未来のための再生可能エネルギー源

最初のプロジェクトである有機光起電力技術(OPV)では、光から電気を生成する新しい方法として、有機半導体素材を使用した新しいタイプの太陽電池を開発します。現在市場で主流である無機のシリコンをベースにした太陽電池と異なり、有機薄膜太陽電池に使用される材料の製造には大量のエネルギーが使用されることはありません。その優れた光吸収クオリティによって、有機化合物を素材とする太陽電池は、蒸着または印刷によって極薄層に形成することができます。 その結果、有機ベースの太陽電池は、よりコスト効率を高く、環境負荷が少なく製造することができます。

「再生可能エネルギー源としての有機薄膜太陽電池は、大きな可能性を持ったプロジェクトです。有機薄膜太陽電池は用途が多様で、折りたたみ式携帯電話充電器、携帯機器、ビルの正面など、応用範囲も非常に幅広いのです。」
ボッシュの応用研究・生産技術部長Dr. フェルテン(Dr. Felten)はこのように説明しています。

OPV を使用することで製造コストを低減する可能性がある一方、その一連のアプリケーションもたいへん魅力的です。この研究目標はまた非常にチャレンジングでもあります。有機薄膜太陽電池の現在のサンプルでは、利用できる日射のうちのわずか5%しか電気エネルギーに変換できません。プロジェクトでは、このエネルギー変換効率を今後3年間で最大10%またはそれ以上に高めることをめざしています。

RTC-AP と NTU 素材科学工学研究室の協力体制の基本は、研究室の持つナノテクノロジーと素材科学の専門知識・ノウハウによって有機薄膜太陽電池の耐用年数を延ばすことです。8人の博士と25人の学部生から構成されるグループが、研究課題のひとつとしてこの研究をサポートします。NTU の研究チームの中心は、NTU の材料科学部材料技術学科の責任者、Subodh Mhaisalkar 準教授(Associate Professor)です。

「ボッシュとの協力は、世界をリードする多国籍企業との共同研究を歓迎・促進するNTUの方針のまさに心臓部であるといえます。ですから私たちは、このキャンパスにボッシュ研究室と同僚を迎えることを誇りに思っています。」
NTU 学長の Bertil Andersson 教授はこのように述べました。
「私はボッシュチームが NTU に来ること、そしてそれが非常に重要な持続可能なエネルギー開発の分野であるということに感激しています。その分野は私たちにとって重要な研究分野でもあるからです。産学共同で研究者の学生を指導・教育するという点で、ボッシュと同様、私たちもこの長期的なパートナーシップを、双方にとって非常に重要であると考えています。学生たちはこの極めて重要な分野における研究で将来的なリーダーシップを担うことになるでしょうから。」
教授はこのようにも付け加えました。

シンガポール Bishan Street 21 に開設したボッシュの新地域本部に自前の研究室が完成するまで、運営初年度、RTC-AP は NTU 学内の研究室を借りて活動します。NTU との産学共同研究は長期的なパートナーシップを確立するものです。ボッシュは現在、シンガポールで実施する新たな研究対象を特定していく過程にあり、他の研究機関やパートナーとも協力関係を拡大していきます。

グロー・グリーン・テクノロジー(Grow Green Technologies)へ持続的に取り組む>

ボッシュはずっと以前からグリーン・テクノロジー市場で事業を展開しており、風力発電タービン用のギアや駆動技術のような、再生可能エネルギーを活用する数多くのシステムを開発してきました。今年、ボッシュはウエハベースのシリコン太陽電池を開発、製造、販売しており、現在、薄膜モジュールの製造に進出しつつある ersol Solar Energy AG の買収を進めています。2007年、ボッシュと BASF Venture Capital GmbH はそれぞれドイツの新興企業 Heliatek GmbH に投資し、新しいソーラー技術の開発を進めています。Heliatek社は新世代の有機薄膜太陽電池のメーカーです。この会社は、ロールツーロール法の製造プロセスを使用して安価なフレキシブル基板上に大規模なモジュールを作るための超効率的技術の開発に取り組んでおり、BASF とボッシュの共同研究プロジェクトのパートナーでもあります。


このプレスリリースは2008年9月3日に Robert Bosch GmbH より発行されました。原文をご覧ください。>