自動車機器テクノロジー Robert Bosch GmbH のプレスリリース(日本語訳)

さらに費用効率を高め、環境保護に配慮し、事故防止性能を向上させる
Bosch の商用車向けソリューション

『IAA 国際モーターショー2008/商用車』プレス・ブリーフィング
(ドイツ/ハノーバー、2008年9月23日)
ロバート・ボッシュ GmbH 取締役会メンバー
自動車機器テクノロジー統括部門長
ベルント・ボア(Dr. Bernd Bohr)

ご来場の皆さま、

商用車のゴールは、次の3つです。先進工業国と新興成長国では条件が異なるとはいえ、そのトライアングルの位置関係は世界中で共通しています。

· 費用効率をさらに高めること
· 環境保護への配慮
· 事故防止性能

トラックやバスは経済性も大切ですが、よりクリーンで安全であるということもまた重要です。最大の圧力となる要因は、給油のたびに、そして道路通行料がかかるたびに意識せざるを得ない、運転に係るコストの上昇です。コストが上昇すればするほど、高圧ディーゼル技術、ハイブリッド駆動、そして特に高効率オルタネータなど、Bosch が提供する費用効率の高いソリューションへの需要が高まります。私たちは、絶え間なく新しいシステムを提供することで、ランニングコストの削減に1%刻みで貢献しています。
この1%ごとに、年間走行距離150,000 kmのトラックで、平均で約900ユーロを節約できる計算です。ドイツで計画されている排出量に応じた高速料金が導入された場合は、新しいシステムを搭載した車両に買い替えることもまた有効な手段となるでしょう。150,000 kmを超えると、「Euro 5」排ガス基準をクリアしたトラックの場合、「Euro 3」基準を満たすトラックより10,000ユーロもランニングコストが少なくて済みます。
商用車に最先端技術を搭載することで、環境保護に貢献できるだけでなく、運送会社の利益にもなるというわけです。私たちの先進技術を採用していただくことで確実な見返りがあるのです。
2008年、Bosch は商用車用技術関連製品の売上で78億ユーロを見込んでおり、2009年の売上高予測は87億ユーロです。当社のこの分野における年間成長率は現在、10%を超えています。

アジア地域での成功 – 地域に根付いたノウハウと成長を
ベースに

商用車市場は、主要3大経済圏でそれぞれ非常に異なる発展パターンを示しています。ヨーロッパはまだブームが続いていますが、最近は成長が減速気味です。北米は大きく落ち込んでいますが、2010年の新しい排ガス規制の施行に先立ち、来年には需要が回復に転じると予想されます。一方、アジアでの商用車の需要は急速に高まっており、今年だけでなく、今後も成長が続くでしょう。アジア地域でも、電子制御式のディーゼルシステムでなければ適合できない排出ガス規制がすでに施行されているか、あるいは施行予定になっています。
この排出ガス基準に適合させるため、私たちは世界中に展開するネットワークを使って地域向けのソリューションを開発しています。Bosch で商用車用ディーゼルシステムの開発に携わっているエンジニアは全世界で1,350名おり、うちの3分の1以上が中国とインドで活躍しています。
この地域市場に根付いたノウハウが、成長地域における更なる発展を促進しているのです。中国およびインドの商用車メーカー向けに Bosch が供給しているディーゼル製品の今年の売上高は、7億ユーロに迫る勢いです。2009年には10億ユーロに達し、2010年には14億ユーロを超えると見込んでいます。

景気の減速 – 多額の先行投資

Bosch の自動車機器テクノロジーセクター全体でも、成長率が低下しています。地域別では、乗用車の状況は商用車と似ています。すなわち、アジア、南米、東ヨーロッパでは引き続き上向きですが、北米の大きな落ち込みがそれを相殺しています。西ヨーロッパの景況もまた減速しています。この動向には、エネルギーおよびその他多くの原材料価格の高騰が大きく影響しています。最近になってようやくエネルギーと原材料の価格が下落に転じましたが、遅きに失した感があり、全体の景況はすぐには回復に至らないでしょう。したがって、私たちはこれからも環境保護に配慮した資源を節約できる製品を開発し、地歩を固めていきたいと考えています。

全体として、2008年の Bosch 自動車機器テクノロジーの事業は前年レベルにとどまるでしょう。これはドル安も原因になっており、為替の影響を調整後の売上高はわずかに増加すると予想しています。Bosch グループ全体の成長は、いまだ好調な産業機器テクノロジーの恩恵を受け、自動車機器テクノロジー単独より幾分、良好と見込んでいます。しかしながら、Bosch グループ全体でも、北米の落ち込みとヨーロッパの減速、為替レートの影響をアジアと南米の高い成長によってカバーすることはできません。
つまり、今年度の Bosch グループの売上成長の目標値である5%は達成できないということです。今後数年の成長の機会に向けて、私たちは Bosch グループ全体で売上高の8%強、そして自動車機器テクノロジー事業部では10%を超えるハイレベルな研究開発費を確固として維持していきます。自動車、ひいては商用車の未来のために、自動車業界の平均を超える先行投資を続けていきます。

高圧から超高圧へ – Bosch のディーゼル技術

トラック、バン、バス向けの Bosch の技術開発は駆動技術、特にディーゼルソリューションに明確な重点を置いています。つまるところ、私たちの商用車向け先端技術における長い歴史のマイルストーンは、ディーゼルエンジン用の技術から始まっているのです。
Bosch が初めてディーゼル技術を導入したのは配送用バンでした。以来、他に先駆けた数々の先進技術の開発により、ディーゼルエンジンはますますクリーンで経済的なものとなっています。将来的なディーゼルエンジンの排出ガス規制に備えて、私たちは2つの方向で開発作業を進めています。

· 第1の方向として、高圧燃料噴射を超高圧燃料噴射に切り替えていきます。たとえば Bosch の「CRSN3.3」コモンレールシステムでは、噴射圧力が中型商用車用で2,000 bar、大型商用車用で2,200 bar にまで高める予定です。2012年には、「Euro 6」および「US 2010」といった各排ガス規制をクリアするために、噴射圧力をさらに2,500 bar にまで引き上げます。
また、大型商用車用の「CRSN4.2」という別のシステムもあります。このコモンレールシステムは2ステージ式の圧力生成システムで、ソレノイドバルブが2個備えられます。それによって噴射プロセスをより柔軟に設定できるため、将来の排ガス規制に合わせてエンジンを設計する上で有利になります。設計にもよりますが、燃費は最大で3%削減でき、これは運送会社にとっては車両1台当たり年間2,700ユーロの節約となります。
私たちはまた、バンクラスの車両にも経済的でクリーンなソリューションを用意しており、好調な売れ行きが期待されます。
全体として、Bosch は2008年に約130万台の商用車用コモンレールシステムを生産する計画です。2010年には200万台弱、2012年にはおよそ300万台の生産を見込んでいます。

· 第2の方向として、カーメーカーの排ガス後処理技術の戦略を支援します。Bosch は、燃料噴射システムの設計を通してだけでなく、追加コンポーネントを提供することでこれを行います。中でも「DENOXTRONIC」は特に大きな成功を収めています。この尿素水溶液噴射システムは最近、ドイツの『エコグローブ(Öko-Globe)環境賞』を受賞しました。このシステムは、触媒コンバーターとの組み合わせで、窒素酸化物(NOx)排出を最大で85%カットします。
2008年、Bosch は商用車メーカーにこの DENOXTRONIC を約34万ユニット納入する計画です。2010年には100万ユニット弱、2012年には約200万ユニットの販売を見込んでいます。
しかし、私たちはこのようなコンポーネントの供給だけでなく、Off-Highway オフハイウェイ(建機・農機・舶用など産業用)車両メーカー向けの技術も提供しています。排ガス後処理技術はトラクターなどの車両、エクスカベーター(パワーショベル)などの建設機械、船舶、ディーゼル機関車にも採用されています。私たちはコントロールユニット、燃焼処理加熱装置付きの粒子状物質除去装置「ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)」、窒素酸化物触媒コンバーターを含めたシステム一式のパッケージをカスタマイズして供給しています。トータルシステムサプライヤーである Bosch だからこそ、顧客ごとの仕様に合わせたソリューションを提供することができるのです。

2つのアプローチを含む幅広いアプローチ – Bosch の
ハイブリッド技術

私たちはまた代替駆動システムの開発も進めています。Bosch は韓国のサムスン SDI (Samsung SDI Co. Ltd.)と折半出資で合弁会社「SB リモーティブ(SB LiMotive Co. Ltd)」を設立し、電気駆動自動車に不可欠なリチウムイオンバッテリーの開発、製造、販売を行っています。
また、私たちはハイブリッド駆動に関連する多数の分野で研究開発を進めており、内燃機関を電気モータだけでなく、油圧駆動ユニットとも組み合わせる2つのアプローチを同時に行っています。

· まず1つ目は電気技術と内燃機関の組み合わせによるハイブリッドです。このシステムで最も注目すべき機能はエネルギー密度の高さ、すなわちかなりの期間にわたって大量のエネルギーを蓄えることのできる能力です。ブレーキエネルギー回生に加えて、たとえば電気によるブーストや駆動も可能です。このシステムは市街地を走る小型トラックに特に適しています。このセグメントに向けて、Bosch は Iveco 社と協力して2009年末にシステムの量産を開始する準備を行っています。そして、従来のディーゼルエンジンに比べて燃費を大きく節減できるのがまさしくこのセグメントなのです。3.5トンのバンで最大28%燃費が節減できます。また、12トンの車両でも、燃費は市街地走行で14%、郊外道の走行で5%節減できます。一般的に言えば、車両が軽量で交通量が多いほど電気ハイブリッドのメリットは大きくなります。

· 2つ目の油圧(ハイドロリック)技術との組み合わせによるハイブリッドシステムの長所は、大きな運動エネルギーを油圧エネルギーに変換して保存しそのエネルギーを駆動機に戻すという、このシステムにおける出力密度の高さです。このため、ゴミ収集車や市内バス、フォークリフトなど、ブレーキを頻繁に行なう大型車両に理想的なシステムです。その原理は極めてシンプルで、ブレーキング中は油圧オイルがプレッシャ アキュムレータに送り込まれ、加速中は解放されることで推進力が追加されます。これによってディーゼル燃料を最大25%節約できます。この「HRB (Hydrostatic Regenerative Braking )」流体静力学ブレーキ回生システムは、油圧装置分野におけるマーケットリーダー、Bosch の子会社ボッシュ・レックスロス(Bosch Rexroth)で開発が進められています。市場導入は2009年を予定しています。最初の実地試験は、ドイツの首都ベルリンの清掃局のゴミ収集車で2008年6月から Haller Umweltsysteme 社の車両で行われました。現在、米国ニューヨーク市清掃局のパイロット車両にも同システムを装備しています。

高効率オルタネータとナビゲーションシステムも燃費削減に
一役

Bosch はドライブトレインにおいてだけでなく、効率的な補助ユニットを使用することで燃費削減を可能にしています。Bosch は商用車システム用に年間で、スタータ約140万台、オルタネータ200万台を生産しています。私たちはこれら2つの分野における世界的なマーケットリーダーであり、特に費用効率の高い先進技術によってその地位を確立しています。
たとえば2009年はじめには、コイル形状の変更によってカッパーの密度を高め、大型車両用オルタネータの効率を4%アップの最大78%まで高めて、28v仕様車両での出力を最大4.2キロワット増加させる高効率「Power」オルタネータを市場に導入します。これほどのレベルのものはこの分野では他にありません。他の重要な開発として、作動温度が20度高い環境でもオルタネータを長期間にわたって確実に機能させる「ホット環境」オプションがあります。防音のためにシーリングが施され、高い噴射圧や排ガス後処理システムに対応できる最新のエンジンルームは、従来型システムよりも頻繁にこのような高温に達する可能性が高いからです。
新たな技術で完全なものとする、これが私たちの一連のイノベーションです。

私たちは皆さんが思いもよらないところでも、燃費節減を実現しています。それはトラックや観光バスの情報通信システムです。この分野は現在、Bosch が特にヨーロッパ以外の地域で成長を遂げている分野です。
2009年年初には、車両の高さや重量などの通行制限を考慮してルートを選定できるトラック専用のナビゲーションシステムが登場します。「グリーンボックス」ナビゲーションシステムは現在、開発段階にあり、道路の地勢、つまり坂道やカーブの情報を利用して商用車のギアシフトパターンを最適化するコントロールユニットです。これにより、オートマチックトランスミッションでのギアシフトを40%減らし、最大で4%の燃費低減が可能と見込んでいます。ナビゲーションシステムはこのように、環境に配慮した経済的なドライビングを実現するセンサのひとつへと進化しつつあります。

Bosch の ESC ソリューションが安全性に新たな局面を加える

商用車にとって、環境保護と事故防止は両方とも非常に重要な検討課題です。これらの計画は欧州委員会(European Commission)の提案により決定されており、ESC (エレクトロニック・スタビリティ・コントロール)は2012年以降、全商用車モデルの新車に搭載が義務付けられます。オートマチック緊急ブレーキやレーン逸脱警告システムも2013年から全商用車モデルの新車に義務付けられることが決まっています。欧州委員会の目標は野心的と言えるもので、毎年4,500名の人命を ESC によって、それぞれ1,000名の人命をオートマチック緊急ブレーキとレーン逸脱警告システムによって救うとしています。いずれの技術においても、Bosch はトラックやバスに必要とされる特別な安全性の提供を支援しています。Bosch は商用車用のセンサ、コントロールユニット、ドライバー・アシスタンス(DA)システムのノウハウを関連会社である Knorr-Bremse Systeme für Nutzfahrzeuge GmbH (クノールブレムゼ商用車システム GmbH)に提供しています。
Bosch はまた新製品の「ESP 8T」を発表しました。これは2倍の速さで圧力を生成する横滑り防止システムで、最大8トンまでの商用車用に設計されたものです。このタイプの商用車産業向けソリューションにより、Bosch は市場で常に新たな成功を収めています。Bosch がバン向けの荷重感応型 ESC を導入したのはわずか2年前でしたが、この追加機能は現在私たちが小型商用車用に供給している ESC の90%に装備されており、2012年には100%に達する見込みです。この分野で Bosch はベンチマークとなっています。

これらの例は、商用車産業のサプライヤーである Bosch の強みを明らかにしています。この強みとは事業規模だけによるものではなく、むしろこの分野における先進技術の開発力によるものです。Bosch はテクノロジーの企業であり、イノベーションの牽引役として、安全で環境に配慮した、そして何より経済的なより優れた商用車を生み出しています。


このプレスリリースは2008年9月に Robert Bosch GmbH より発行されました。原文をご覧ください。>