経営情報 Robert Bosch GmbH のプレスリリース(日本語訳)

オートモーティブ・プレス・ブリーフィング2009
モビリティの未来を見据えたボッシュのテクノロジー
環境保護と事故防止がメインテーマ

  • 今後20年間は内燃エンジンの優勢が続く
  • ハイブリッドは電気自動車への架け橋
  • 自動車産業は電気自動車の開発のためにそれぞれの強みで協力が必要
  • 2009年だけで30億ユーロを研究開発に投資

ボクスベルク/シュトゥットガルト発 – 未来の車はどんなエンジンを積んでいるのでしょうか。今回のテーマは業界のホットな関心事でした。世論は、ドライバーやカーメーカー/サプライヤーにとどまらず、政治家、環境保護団体、その他無数のグループに及ぶ、多方面のかたがたの意見によって形成されています。けれども様々な意見が交錯する上にテクノロジーが十分理解されていないため、非現実的な予測も見受けられます。いつかは電気自動車が普及するでしょう。けれども今後20年間は内燃エンジンの優勢が続くと思われます。なぜなら、パワートレインの電動化への道のりには、克服しなければならない必要かつ重要な技術的課題がまだまだあるからです。そしてなによりも、ドライビングの安全性はさらに高められなければなりません。2009年オートモーティブ・プレス・ブリーフィングのテーマは未来の車でした。世界をリードする自動車部品サプライヤー、ボッシュが主催するこのイベントは2009年6月中旬にボクスベルクで開催され、30か国から200人を超えるジャーナリストが参加しました。

電気自動車のビジョンを実現する

電力を利用するモビリティは、新しいビジネスモデル、有害物質を排出しない車、著しく向上した燃費効率などを伴ったまったく新しいアプローチの到来を告げるものです。「ボッシュでは、これらのビジョンを実現するために多額の投資を行っています。」自動車機器テクノロジー統括部門長ベルント・ボア(Dr. Bernd Bohr)はイベントの冒頭でこのように述べ、「過去に幾度となく自動車の革新に役立ってきたように、ボッシュはこのビジョンをイノベーションで実現しようと考えています」と続けました。

このことは、ボッシュがシステムサプライヤーとしてそのテクノロジーにより、さまざまな方法で貢献し、将来の電気自動車の量産に備えて多大な努力を続けていることを意味しています。これが1つ目のポイントです。そしてもう1つのポイントは、ボッシュのエンジニアは今後数十年にわたって内燃エンジンの効率化ということに全力を尽くしていくということです。「私たちは一方に集中して他方を無視するということはありません」とボアは述べています。ボッシュのエンジニアはガソリンおよびディーゼルエンジンの燃費を最大で3分の1低減するために努力を続けています。これによりディーゼルエンジンの二酸化炭素排出値を1キロメートル当たり99グラムにすることができます。さらに、ボッシュはドライビングをより安全なものにします。「事故防止は環境保護と同様、私たちにとって非常に大事な今後とも取り組んでいくべきテーマなのです。この目的を達するため、私たちはカスタマイズしたソリューションを開発しています。これらはそれぞれの顧客そして世界中の異なる市場、それぞれのニーズに合致したものになっています。」ボアはこのように述べました。

これを可能にしているのがボッシュ自動車機器テクノロジーセクターの国際的な幅広い展開です。この事業セクターでは、16万8,000人の従業員が全世界131か所の製造拠点と53か所の開発拠点で働いています。原則としてこれらの拠点はボッシュの顧客のすぐそばにあります。また、自動車機器テクノロジーセクターでは2万5,000人を超える従業員が研究開発に従事しています。今年はおよそ30億ユーロを研究開発活動に投じます。「私たちはこの経済危機の最中にも、研究開発投資を高いレベルに保ちます。研究開発こそが私たちを自動車産業のトップの座に押し上げてくれるのですから」(ボア)。「私たちはこの経済危機を越えたところにある未来、石油埋蔵量が減り、モビリティが増大し、その結果、車両の安全性への要求が高まる未来のために準備しています。」

ボアのステートメントは、世界の自動車生産台数が15~20%減少している現状よりさらに先に向けられた、ボッシュの長期的志向を浮き彫りにしました。他と同様、ボッシュもこの生産台数減少の影響は避けられません。2008年、自動車機器テクノロジーセクターの売上高は6.9%減の265億ユーロとなり、大幅に減少しました。ボアは2009年の売上高はさらに15%減少すると予測しています。

電気自動車の開発 –
エネルギー密度を向上させ、コストを削減

「電気自動車はいずれ普及しますが、最初は数も少なく、ニッチ市場になるでしょう。道路を走る車に電気自動車が目立つようになるのは2020年以降と思われます」とボアは述べました。都市化が進んでいることも、ドライビングの電動化を後押ししています。2015年には人口500万以上の都市が全世界で60を超えるでしょう。電気自動車はこれらの巨大な都市に非常に適しています。最も成功すると思われる地域はアジアの人口過密地域、そしてヨーロッパとアメリカのいくつかの都市でしょう。 「私たちは、2015年には全世界で約50万台の電気自動車が販売されると見込んでいます。 さらに台数を増やすには、まず電気自動車の性能をさらに向上させる必要があります」(ボア)。

これは特に、電気自動車の「燃料タンク」として機能するバッテリーのエネルギー密度を向上させることを意味します。現在の技術で電気自動車の最小走行可能距離 200キロメートルを達成するためには、重量が約250 kgのリチウムイオンバッテリーが必要になります。そのコストは約1万7,000ユーロになり、重いだけでなく価格も高すぎます。2015年には、そのコストは8,000~1万2,000ユーロになると予測されますが、それでもまだ量販市場においては高価すぎます。開発者はバッテリーの重量と価格を下げる努力が必要です。バッテリーの価格を消費者の手に届くようにするために、主要サプライヤーは開発と最大可能な量産を行うために多大の投資を行うはずです。

「年間売上台数が50万ユニットと 5万ユニットの2つのメーカーを比べるとすると、5万ユニットのメーカーは、開発コストの負担が1ユニット当たり500ユーロ多くなります。さらに、複雑な製品の大量生産では、小規模量産と比べて相対的な製造コストが著しく少なくなります。電気自動車を迅速に市場に導入するには、コストを少なくとも半分から3分の1に減らす必要があります。このような理由から、ボアはヨーロッパと米国のメーカーにリソースの分散をさけるよう呼びかけました。それよりも、日本や中国がすでに行っているように、協調的なアプローチが必要なのです。

パートナーの強みから相互に利益を得る

したがってボッシュは、カーメーカーとシステムサプライヤーがパートナーとして電気自動車も含め新しいテクノロジーを生み出すことが有意義であると考えています。このために、カーメーカーは車両全体のコンセプトを新しい駆動システムと整合させることを考えます。 一方、システムサプライヤーは自動車用リチウムイオンバッテリーのような新しいテクノロジーを開発し、これらのイノベーションを適切な価格でカーメーカーに供給します。

ボッシュはシステムサプライヤーとして、電気自動車に対応する十分な準備を行っています。ボッシュのハイブリッド技術は2010年初めの量産開始が決まっています。ハイブリッド駆動も含めたサプライヤーの持つ経験は、電気自動車への道のりの最適なスタートポイントとなります。ボッシュはパワートレインの電動化のために、独立した1つの事業部門に400人のエンジニアを集めて取り組んでいます。今年末には、この数は500人を超える予定です。サムスン SDI との合弁会社 SB リモーティブもまたボッシュの持つイノベーションという強みをさらに強化します。この合弁の目的は、未来の電気駆動装置の心臓部であるリチウムイオンバッテリーの開発です。あたらしいバッテリー技術は2011年に量産開始準備が整う予定です。

内燃エンジンでも気候変動と闘う

けれどもボアは、「ボッシュがどれほど代替駆動の開発に取り組もうと、内燃エンジン技術の優勢が今後20年間は続くでしょう」と述べています。ガソリンおよびディーゼルエンジンをさらに改良していくことが、燃費を改善し CO2 排出量を減らすための最適な近道であり、これまで以上に厳しくなる世界中の排出ガス規制に適合し、資源を保護して気候変動に対処していく方法なのです。 「これにより二酸化炭素排出値は1キロメートル当たり99グラムと、ミドルクラスのディーゼルエンジンが3リッターカー(3リッターの燃料で100Km走行)並みになります。低燃費のおかげで、より複雑になったために追加コストがかかったエンジンも3年以内に元が取れます。」

このような理由から、ボッシュは2016年までに世界のディーゼル車の生産台数は25~28%増加すると見込んでいます。ディーゼル車の数はヨーロッパではほぼ現状維持する一方、おもにアジアの新興成長市場と米国で増加すると見ています。さらに、ガソリンエンジンの開発にも同様の傾向が見られます。2016年には、全世界の新車に占める燃費効率のよいガソリン燃料直接噴射システム搭載車の割合は3倍増の16%となると見ています。このテクノロジーは、特に西欧、北米、日本、韓国で普及しつつあります。 普及する理由の1つには、ガソリン燃料直接噴射システムとターボ過給の組み合わせにより、出力を維持しつつエンジンの小型化が可能になるということがあります。 「確かなことは1つ、トレンドは効率的な内燃エンジンであるということです。」(ボア)

ネットワーク化を高めてより安全に – プラットフォームは ESC

経済性と環境にやさしいモビリティということが重要であると同様、車両の安全性ということもまた非常に重要なことです。既存のセーフティシステムとセンサ技術をネットワーク化することで、ボッシュは新しい機能を開発しました。プラットフォームは、横滑りによる事故を最大80%防止することができる ESC (エレクトロニック・スタビリティ・コントロール)です。1995年、ボッシュはこのシステムを初めて市場に導入しました。現在では世界中のすべての車両の3分の1にこのシステムが搭載されています。2012年には、すべての新車の2分の1にこのシステムが搭載されると見込まれます。

今や政策立案者も、この ESC によって車両の安全性が向上するということを認識しています。ヨーロッパでは、2014年に ESC がすべての車両クラスに搭載が義務化されることが決まっています。この条例は、4.5トン以下の車両に ESC を義務付けているアメリカの法案よりも一歩先を進んでいます。 他の地域でも同様の法律が制定される可能性はあります。なぜなら、死亡事故数は地域によって大きく異なるからです。ヨーロッパ、米国、そして日本では、2000年から死亡事故数が4分の1または地域によっては3分の1減少しています。反対に中国とインドの死亡事故数は1990年から2桁で増加しています。事故の増加によって ESC のような技術に対する需要が高まっています。

「例えば、レーダーやビデオセンサを ESC と組み合わせるなど、ボッシュはさらに事故防止システムを改良していきます。」(ボア)このタイプのネットワーク化により、自動緊急ブレーキまたは衝突予知緊急ブレーキが可能になります。このシステムは2009年に量産を開始する予定です。私たちの試算によると、この機能によって追突事故の4分の3を防止することができます。追突事故は特に商用車でよく発生しています。そのため、欧州連合は2015年から自動緊急ブレーキをトラック、バス、バンを含む3.5トンを超える新車商用車に義務付けることを宣言しています。同時に、ボッシュは低価格仕様の ABS と ESC を新興国市場向けに開発しています。

ボッシュの開発現場において、車両の安全性を向上させるための技術と新しい駆動技術の両方に等しく焦点を当てている理由はここにあります。そして私たちはこの開発の成果物を世界中すべての地域で生産しています。2007年、ボッシュはブラジルでアンチロック・ブレーキ・システムの生産を開始しました。ABS はインドでも2009年に生産開始する予定です。中国でも、ブレーキコントロールシステムの冬季テストセンターが6か月前に開所したばかりです。 ボッシュはこれからも革新的な製品を開発し、全世界への普及に努めていきます。

広報担当窓口:
Thomas Knoll
電話:+49 711 811-7088

ボッシュ・グループは、グローバル規模で革新のテクノロジーとサービスを提供するリーディング・カンパニーです。
自動車機器テクノロジー、産業機器テクノロジー、消費財・建築関連テクノロジーの3つのセクターから成るボッシュの2008年度の従業員数は28万2千名以上、売上高は約451億ユーロ(約6兆8,740億円)*に達しています。
ボッシュ・グループは、ロバート・ボッシュ GmbH およびその子会社 300社超と、世界の約60カ国にあるドイツ国外の現地法人で構成されています。販売、サービス代理店のネットワークを加えると、ボッシュは世界の約150カ国で事業展開しています。この開発、製造、販売、サービスのグローバル・ネットワークが、私たちのさらなる成長の基盤です。ボッシュは毎年、研究開発費として35億ユーロ以上を投資しており、全世界で3,000件以上もの国際特許の基礎特許(第一国出願)を出願しています。ボッシュはすべての製品とサービスにおいて革新的で有益なソリューションを提供することによって人々の生活の質(Quality of Life)を向上させ、循環型の持続的環境社会(Sustainable society)の創出に寄与していきます。

ボッシュの起源は、1886 年に創業者ロバート・ボッシュ (1861~1942)が設立した「精密機械と電気技術作業場」に遡ります。ロバート・ボッシュ GmbH の株式の大半は非営利組織である公益法人「ロバート・ボッシュ財団」(持株比率92%、議決権なし)が保有しています。議決権の大半は、株主の事業機能実行機関である共同経営者会「ロバート・ボッシュ工業信託合資会社」(議決権 93%)が保有しています。残りの株式と議決権はボッシュ家(持株比率 7%、議決権 7%)とロバート・ボッシュ GmbH (持株比率1%、議決権なし)が保有しています。
ロバート・ボッシュ GmbH の独自の株主構造は、ボッシュ・グループの財務上の独立性と企業としての自立性を保証するものです。「株主(利益配当)」と「経営(議決権)」が完全に分離した、この企業形態によって、ボッシュは長期的な視野に立った経営を行い、将来の成長を確保する重要な先行投資を積極的に行うことができるのです。

* 2008年度ボッシュ年間平均レート:152.32578円=1ユーロ

さらに詳しい情報は www.bosch.com ボッシュ・ワールドワイドのウェブサイトを参照してください。


このプレスリリースは2009年06月16日に Robert Bosch GmbH より発行されました。原文をご覧ください。>