経営情報 Robert Bosch GmbH のプレスリリース(日本語訳)

HMI - 人間と技術をつなぐヒューマンマシーンインターフェース

Dr. Michael Bolle(ミヒャエル・ボッレ)
カー・マルチメディア事業部開発部長
ロバート・ボッシュGmbH

本稿は、実際の講演内容と異なる場合があります。


ご来場の皆さま

車内でドライバーが受け取る情報量は、この数年で飛躍的に増加しました。これは、数々の新しいインフォテイメントシステム、ドライバーアシスタンスシステム、その他の新機能が搭載されるようになったことに起因します。こうした新しい機能は運転席に座るドライバーの負担を軽減するためのものであり、その操作がドライバーを煩わすようなことになってはなりません。そこで、交通量の増加とともに、機能の多様性も今後さらに増大することにより、カーメーカーやサプライヤーは技術的に大きな課題に直面することになります。

一方では、アプリケーションストアソリューション、インターネットベースのアプリケーションやサービスを利用できるモバイル機器が、人間と車両間のインターフェース(車両用ヒューマンマシーンインターフェース、HMI)として組み込まれるようになります。また他方では、最新のインフォテイメントシステムをオープンプラットフォーム化することによって納車後もカーメーカーの専用ソフトウェアを提供でき、さまざまな新しいアプリケーションを統合できるようになります。これは、現在すでに確立されているパソコンやスマートフォンのコンセプトと同じです。

ITやマルチメディア分野の新しいアプリケーションに加え、より多くのドライバー支援機能や車両機能が車両用HMIに統合されるようになりますが、これはまた、信頼性、走行安全性、操作性、明瞭性などの点でドライバー/車両のインターフェースに新たな要求を課すことにもなります。アプリケーションが提供する情報、危険警告、推奨ルートにより、走行安全性、走行快適性、燃費が向上し、将来的には完全自動化されたパーキングや自律制動など、一部または完全な自律走行機能が加わります。ドライバーはこれらのシステムの作動状態を常に把握しなければなりません。そこで、どの自律機能がなぜ作動しているか、そしてそれが走行にどのような影響を与えるかをドライバーに情報として伝えることがHMIの重要な役割になります。

より安全で快適な運転

複雑な車両の新機能を自在に扱えるようにするだけでなく、ドライビングエクスペリエンスも向上できるよう、ボッシュ・カー・マルチメディア事業部はすでに今から未来のHMIソリューションに取り組んでいます。ボッシュはお客さまに、車両や車両機能ネットワークにうまく組み込むことのできるソリューションを順次拡大して提供していますが、これに関してボッシュが打ち立てたビジョンが「Driving Convenience(ドライビングの利便性)」です。私たちは、インテリジェントな入力/出力コンセプトを活用してドライバーの負担を軽減し、ドライバーにより高い安全性と快適性を提供したいと考えています。ボッシュの革新的かつ高品質なHMI製品やインフォテイメント製品によってユーザーエルゴノミクスを改善、ドライバーのドライビングエクスペリエンスを向上させることが、私たちの顧客の自動車の魅力アップにつながるのです。

オープンソースのインフォテイメントシステム

ボッシュはフレキシブルに、あるいはカーメーカーの個別の条件や要望に応じて、インストルメントパネル、ヘッドアップディスプレイ、センターディスプレイ、多機能なインフォテイメントコントロールユニットなど各種HMI製品に組み込むことのできる、より高性能な入力/出力技術の開発に取り組んでいます。また、オープンソースのオペレーティングシステムをベースとした新世代インフォテイメントシステムも現在開発を進めており、来年には量産がスタートする予定です。これには、最新のネットブックやモバイルインターネット機器ですでに用いられているモバイルLinuxディストリビューションが採用されます。このアプローチにより、私たちは既存のLinuxベースのアプリケーションを活用し、自動車用アプリケーション向けにマルチメディア機能を迅速に適応させることができます。

新しいディスプレイとHMIソリューション

新しいディスプレイと表示技術により、機械式な指針をまったく使用しないインストルメントパネルの開発が可能になりました。これにより、たとえばビデオカメラで撮影した画像や動画を利用するなど、ドライバーに必要な情報をさまざまな方法で表示する可能性が広がりました。そこでボッシュは来年より、あるカーメーカーにこうしたインストルメントパネルの供給をスタートさせます。

ボッシュは3Dディスプレイと3D HMIソリューションの開発にも着手しています。立体効果を用いたこの最新の表示方法によって、ドライビングエクスペリエンスは大幅に向上します。ヘッドアップディスプレイの場合、フロントウィンドウに重要な情報を投影できるため、ドライバーは走行車線から視線を外さずにいられます。これには、ヘッドアップディスプレイと「拡張現実(Augmented Reality)技術」をベースにしたボッシュの新しい可視化手法が組み合わされています。これは、走行状況に関して目やカメラが捕捉した画像を正確な位置に情報を重ねて表示させるためには最適な方法です。これにより、適切な方法で正しい位置に情報が適時表示されるため、ドライバーはより早期に走行状況を把握でき、安全性が高まります。たとえば、車間距離や車線情報、ルート案内や危険警告などを現実に近い形で表示できます。情報量を抑えて重要なものだけに絞った、安全性を第一に考慮した表示技術は交通事故の防止に大いに寄与します。ドイツのカーメーカーが2014年に発売するコンパクトクラスの車両には、ボッシュのこの新しい「拡張現実」技術が搭載される予定です。

任意の言葉で音声制御

ボッシュは視覚的な相互作用のほか、特別な順番でコマンド用語を使用せず、任意の言葉でドライバーが車内のインフォテイメントシステムを操作できる音声制御技術の開発に成功しています。このほかにもさまざまな入力コマンドを任意に組み合わせることができますが、これは人間の自然な動作に対応しています。こうした多様な入力技術を用いて、たとえばナビゲーションシステムで目的地周辺を地図でマークし、音声入力で具体的な目的地の場所を指定するなどして目的地を設定することができます。また、タッチパネル画面を指で触れるだけで、好きな音楽タイトルをよりスピーディかつ容易に選択できます。こうしたことからもわかるように、ボッシュのシステムは「同時に話す」「表示する」「触れる」といった人間の動作をますます反映できるものになります。この入力システムの量産は来年からスタートする予定です。

ボッシュはスマートフォンアプリをフレキシブルに統合するためのブラウザ技術を開発しており、これにより好きなアプリをインフォテイメントシステムにシームレスに取り込むことができます。スマートフォンアプリの操作と表示機能は車両用HMIに合わせて最適化されており、走行中でも車内で安全に使用できるようになっています。同様に、車両用HMIに任意のインターネットアプリケーションやインターネットサービスをフレキシブルに組み込むことができ、スマートフォンやインターネットのアプリケーションは表示方法を変更せずに車両個別の環境に統合できます。

クロスドメイン機能

ボッシュ・カー・マルチメディア事業部は、新しいHMI技術の開発に加え、異なる車両領域の機能を包括的な車両用HMIに統合する試みを進めています。これが実現すれば、駐車支援システムの周囲情報、CO2排出量の削減や燃費向上のための新しい走行支援機能、予測的な縦/横方向の車両ガイド支援機能などがボッシュHMIのディスプレイシステムやインフォテイメントシステムに組み込まれるようになります。

製品ラインナップとサービス

将来的に、ボッシュはカーメーカーが独自の複雑な車両用HMIシステムを製造できるよう前述の技術を提供するだけでなく、製品ラインナップの拡充につながる概念的なサービスも併せて提供していく予定です。そのため、私たちはより安全で直観的に操作できる相互作用コンセプトを開発すべく努めています。これには、ボッシュの心理学者、人間工学の専門家、設計担当者が考案し、ユーザーに焦点を合わせたHMIシステム開発の手法が用いられます。また、さまざまな専門能力を車両用HMIソリューションのコンピテンスセンターに集約させ、ボッシュ全社の効果的なネットワーク化、全事業部門間の迅速なノウハウの交換を可能にしたことにより、あらゆるボッシュ製品にメリットが反映されます。

私たちは、革新的なシステムソリューションに焦点を絞っており、メディアを統合するという初期の開発段階からカーメーカーにインテリジェントなアプリケーションを提供しています。HMIシステムが一層複雑化し、開発速度もますますスピードアップしている中で、今、そして特に将来においても数多くのアプリケーションやシステム機能の進歩に遅れを取らず、これを信頼性の高い車両用HMIに統合してお客さまに提供するには、自動車全般だけでなく、それ以外にも幅広い技術ノウハウが必要になります。そうしたものをシングルソースで提供できる数少ないHMIシステムサプライヤーとして、私たちはお客さまにボッシュの自動車機器テクノロジーセクターで集約した専門能力を提供していきます。さまざまな車両領域で使用されるすべてのアプリケーション、システムインターフェースや作動方法を理解し、同時に最新の入力/出力技術を採用してユーザー志向のHMIトータルシステムを統合できない限り、カーメーカーの将来の要望やドライバーのニーズに応えることはできないのです。

ボッシュ・グループ概要 The Bosch Group at a Glance

ボッシュ・グループは、グローバル規模で革新のテクノロジーとサービスを提供するリーディング・カンパニーです。自動車機器テクノロジー、産業機器テクノロジー、消費財そして建築関連テクノロジーのセクターにおいての従業員数は28万人以上で、2010年度の売上高は約473億ユーロです。ボッシュ・グループは、ロバート・ボッシュGmbHおよびその子会社 350社超と、世界の60カ国以上にあるドイツ国外の現地法人で構成されています。販売、サービス代理店のネットワークを加えると、ボッシュは世界の約 150カ国で事業展開しています。この開発、製造、販売、サービスのグローバル・ネットワークが、私たちのさらなる成長の基盤です。ボッシュは2010年、研究開発費として38億ユーロを投資し、全世界で3,800件以上もの国際特許の基礎特許(第一国出願)を出願しています。
ボッシュはすべての製品とサービスにおいて革新的で有益なソリューションを提供することによって、人々の生活の質(Quality of Life)を向上させ、循環型の持続的環境社会(Sustainable society)の創出に寄与していきます。

ボッシュは2011年に記念となる創立125周年を迎えます。ボッシュの起源は、1886年に創業者ロバート・ボッシュ(1861~1942)がシュトゥットガルトに設立した「精密機械と電気技術作業場」に遡ります。ロバート・ボッシュGmbHの独自の株主構造は、ボッシュ・グループの財務上の独立性と企業としての自立性を保証するものです。「株主(利益配当)」と「経営(議決権)」が完全に分離した、この企業形態によって、ボッシュは長期的な視野に立った経営を行い、将来の成長を確保する重要な先行投資を積極的に行うことができるのです。
ロバート・ボッシュGmbHの株式の大半は非営利組織である公益法人「ロバート・ボッシュ財団」(持株比率92%、議決権なし)が保有しています。議決権の大半は、株主の事業機能実行機関である共同経営者会「ロバート・ボッシュ工業信託合資会社」(議決権93%)が保有しています。残りの株式と議決権は創業家であるボッシュ家(持株比率7%、議決権7%)とロバート・ボッシュGmbH(持株比率1%、議決権なし)が保有しています。

さらに詳しい情報は
www.bosch.com ボッシュ・グローバル・ウェブサイト(英文)
www.bosch-press.com ボッシュ・メディア・サービス(英文)および
www.125.bosch.com ボッシュ創業125周年記念サイト
を参照してください。


このプレスリリースは2011年6月8日に Robert Bosch GmbH より発行されました。原文をご覧ください。>