経営情報 Robert Bosch GmbH のプレスリリース(日本語訳)

パワーエレクトロニクス
e-モビリティの未来をつかむカギ

Dr. Rainer Kallenbach(ライナー・カレンバッハ)
オートモーティブエレクトロニクス事業部営業担当部長
ロバート・ボッシュGmbH
第60回オートモーティブ・プレス・ブリーフィング
2011年6月、ボクスベルク

本稿は、実際の講演内容と異なる場合があります。


ご来場の皆さま

e-モビリティにより、オートモーティブエレクトロニクスのまったく新しいソリューションの必要性が高まっています。極めて複雑な制御機能に加え、高電圧/高電流のスイッチング機能が求められるようになったからです。すでに約30年間にわたってオートモーティブエレクトロニクスは改良が続けられ、車両の安全性、クリーン性、エネルギー効率、快適性は進歩を遂げてきました。そしてボッシュは当初から、この進歩に大きな役割を果たしています。エレクトロニクスは、自動車の付加価値に与える存在として、ますます重要な要素となっています。エレクトロニクスは車両に多様な「インテリジェンス」をもたらし、着実に高性能化する一方で、小型化も実現しているのです。

エレクトロニクス発展のカギを握るのは、高度に統合された半導体チップとセンサーです。そのため、ボッシュはすでに何年も前からオートモーティブエレクトロニクス用の半導体とセンサーの製造を自社で進めています。オートモーティブエレクトロニクスの性能を向上させるだけでなく、誰もがそれを調達できるよう、製造コストをさらに低く抑えることが技術的な発展の前提となるからです。

オートモーティブエレクトロニクスの新たな課題

自動車の電動化により、オートモーティブエレクトロニクスには新たな課題が課されました。これまで開発担当者は自動車の制御システムをよりインテリジェントにデザインすることに焦点を絞っていましたが、現在は電気エネルギー源と電気制御ユニット間で最大数百キロワットにのぼる大きな電力を制御するという難題に直面しています。こうした高出力が必要となるのは、ハイブリッド車や電気自動車のパワートレインに搭載された電気モーターのせいだけではありません。今では車両のステアリングや冷却水ポンプといった補助ユニットも電動化され、エレクトロニクスで制御されているのです。

パワーエレクトロニクスは、工業用電気駆動装置、電気鉄道、太陽光発電設備や風力発電設備のインバーターとして一般的に普及しています。こうしたパワーエレクトロニクスは産業機器テクノロジーで生み出され、より大型の制御盤に組み込まれるものであるため、自動車にはあまり適していません。自動車に必要な電圧、電流、出力は大幅に低くなるものの、自動車の取り付けスペース、重量、極端な機械的・気候的影響に対する堅牢性、低コストで大量生産を実現しなくてはならないという特別な問題も生じるのです。しかし、自動車機器テクノロジーのリーディングサプライヤーであるボッシュには、この分野のノウハウがあります。そこで、ボッシュのエンジニアたちはすでに2005年から自動車用パワーエレクトロニクスの新しい技術ソリューションの開発に取り組んでいます。

例:ハイブリッド車のエネルギーマネジメント

ハイブリッド車や電気自動車のパワーエレクトロニクスの重要な部分は、いわゆるインバーターに集約されています。このインバーターは、パワートレインのエネルギーマネジメントを担っています。ハイブリッド車では、インバーターは電気走行のエネルギーを制御し、高出力トラクションバッテリーの直流を交流に変換することにより、エンジンの役割を果たす電気モーターに電気を供給します。また、インバーターはエネルギー回収の重要な機能を制御し、燃費向上に寄与しています。制動時に電気モーターを発電機として作動させ、車両のブレーキング時に電気を発生させる、つまり制動エネルギーを電気エネルギーに変換するのです。さらに、インバーターはバッテリーの充電電流を制御します。なお、充電されたエネルギーは後で車両の駆動に再利用されます。

パワーエレクトロニクスはエネルギーマネジメントの中心的な役割を担っています。ボッシュのエンジニアたちは省スペース化、軽量化、高出力化、変換効率の改善、コストダウンなど、パワーエレクトロニクスのさらなる最適化を図るために尽力しており、そこから明らかな前進が目に見えるようになってきました。ポルシェ・カイエンのハイブリッド車とフォルクスワーゲン・トゥアレグのハイブリッド車向けに2010年から量産を開始した第1世代インバーターに必要な取り付けスペースは約10リッターでしたが、2012年から量産が開始する最新の第2世代では、同程度の性能を持つパワーエレクトロニクスの取り付けスペースが約8リッターとなりました。そして、2013年に向けて私たちは次世代の開発に着手し、同程度の取り付けスペースで3倍の出力を達成することを目標に掲げています。

小型化 - e-モビリティのカギ

ボッシュがパワーエレクトロニクスの小型化を求めてやまないその理由は、コストダウンにより低燃費のハイブリッド技術をドライバーが手の届きやすいものにすることにあります。その際、ボッシュはここでも過去数十年にわたってオートモーティブエレクトロニクスで成功させている高性能化、小型化、低コスト化を追求していきます。そのためには、部門横断的なボッシュ・チームでシステム、コントロールユニット、半導体コンポーネントの共同開発を進めることが重要になります。このようにして、たとえばインバーターを大幅に小型化し、適切な設計によって電気特性と熱的特性を最適化できるようになるのです。

インバーター内の電気エネルギーの制御には、特殊なモールド技術を用いたパワーモジュールが使用され、この「パッケージング」には新しい組み立て技術が採用されており、電力トランジスタや制御回路といった複数の半導体コンポーネントが、非常にコンパクトで優れた堅牢性をもち、効率的な冷却や組立て容易性にすぐれたユニットに統合されています。これにより、従来のソリューションと比べて電流密度、変換効率、信頼性の点で大きなメリットがもたらされています。

また、インバーターとパワーモジュールの開発・製造の大部分、さらには内蔵のパワー半導体コンポーネントについてもボッシュが自社で行っています。インバーター、モジュール、そして半導体の開発が密接にかみ合ったときに初めて、困難な必要条件を満たすことができるからです。

パワー半導体分野に関して、ボッシュは2009年にマーケットリーダーであるインフィニオン社と提携し、パワー半導体の基礎的な製造プロセスのライセンスを取得しました。これに基づき、ボッシュは最新のパワー半導体を自社の半導体工場で製造できるようになりました。また、ボッシュの半導体工場では、6億ユーロを投じて行った最新ウエハ工場の増設も完了しています。

皆さま、
将来、電気自動車はエネルギー効率に優れた個別のモビリティに多大な貢献をすることになるでしょう。ボッシュはそのために多額の研究開発費を投じており、これにはパワーエレクトロニクスの新しいソリューションも含まれています。これらの研究は自動車のためだけに限られているわけでなく、私たちの日常生活の効率的なエネルギー供給に関しても応用の可能性が広がっています。そしてこれこそが、コーポレート・スローガンである「Invented for life」が目指すところなのです。

ボッシュ・グループ概要 The Bosch Group at a Glance

ボッシュ・グループは、グローバル規模で革新のテクノロジーとサービスを提供するリーディング・カンパニーです。自動車機器テクノロジー、産業機器テクノロジー、消費財そして建築関連テクノロジーのセクターにおいての従業員数は28万人以上で、2010年度の売上高は約473億ユーロです。ボッシュ・グループは、ロバート・ボッシュGmbHおよびその子会社 350社超と、世界の60カ国以上にあるドイツ国外の現地法人で構成されています。販売、サービス代理店のネットワークを加えると、ボッシュは世界の約 150カ国で事業展開しています。この開発、製造、販売、サービスのグローバル・ネットワークが、私たちのさらなる成長の基盤です。ボッシュは2010年、研究開発費として38億ユーロを投資し、全世界で3,800件以上もの国際特許の基礎特許(第一国出願)を出願しています。
ボッシュはすべての製品とサービスにおいて革新的で有益なソリューションを提供することによって、人々の生活の質(Quality of Life)を向上させ、循環型の持続的環境社会(Sustainable society)の創出に寄与していきます。

ボッシュは2011年に記念となる創立125周年を迎えます。ボッシュの起源は、1886年に創業者ロバート・ボッシュ(1861~1942)がシュトゥットガルトに設立した「精密機械と電気技術作業場」に遡ります。ロバート・ボッシュGmbHの独自の株主構造は、ボッシュ・グループの財務上の独立性と企業としての自立性を保証するものです。「株主(利益配当)」と「経営(議決権)」が完全に分離した、この企業形態によって、ボッシュは長期的な視野に立った経営を行い、将来の成長を確保する重要な先行投資を積極的に行うことができるのです。
ロバート・ボッシュGmbHの株式の大半は非営利組織である公益法人「ロバート・ボッシュ財団」(持株比率92%、議決権なし)が保有しています。議決権の大半は、株主の事業機能実行機関である共同経営者会「ロバート・ボッシュ工業信託合資会社」(議決権93%)が保有しています。残りの株式と議決権は創業家であるボッシュ家(持株比率7%、議決権7%)とロバート・ボッシュGmbH(持株比率1%、議決権なし)が保有しています。

さらに詳しい情報は
www.bosch.com ボッシュ・グローバル・ウェブサイト(英文)
www.bosch-press.com ボッシュ・メディア・サービス(英文)および
www.125.bosch.com ボッシュ創業125周年記念サイト
を参照してください。


このプレスリリースは2011年6月8日に Robert Bosch GmbH より発行されました。原文をご覧ください。>