自動車機器テクノロジー Robert Bosch GmbH のプレスリリース(日本語訳)

自動車の未来が今始まる
- ボッシュのスマートなソリューションとともに

ロバート・ボッシュGmbH
自動車機器テクノロジー統括部門長
ベルント・ボア
第61回オートモーティブ・プレス・ブリーフィング
2013年6月11日、ボックスベルグ

本稿は実際の講演内容と異なる場合があります。


ご来場の皆さま

自動車産業が成熟産業と言われるようになって久しいですが、あらゆる成熟産業の中で、技術的にも経済的にも最も変化を遂げ続けているのが自動車産業ではないでしょうか?私がこのオートモーティブ・プレス・ブリーフィングで初めて講演させて頂いたのは10年前、そのときのテーマは「ボッシュと自動車の未来」というものでした。そして今回が、このイベントにおける私の最後の講演となります。この間、多くのできごとがあり、自動車産業を取り巻く環境も大きく変わりました。

  • 世界の自動車生産に占める中国、インド両国のシェアが8%から28%に上昇しました。3倍以上の伸びです。
  • 両国におけるボッシュの売上高は約9億ユーロから74億ユーロへと、7倍以上に増加しました。
  • 世界で生産される新車のうち、ボッシュの革新技術を搭載した車両の割合が大きく伸び、エレクトロニック・スタビリティ・コントロール(ESC)の搭載率は14%から54%に、ガソリン直接噴射システムの装備率は2%から22%に上昇しました。

このような数値をみると、自動車技術の進化は終わったと誰が言えるでしょうか。現実はその反対で、技術開発はますます加速しています。当面の課題となっているのはパワートレインの電動化と運転の自動化で、ボッシュは業界企業の一員として、自動車の未来を形作る作業にさまざまな分野で関わっています。今日はそれについて詳しくご説明申し上げたいと考えています。

成長要因は技術革新と国際化

本題に入る前に、私たちの事業セクター、自動車機器テクノロジー部門のデータと数字を簡単に説明したいと思います。まず売上高ですが、2012年は約310億ユーロで、2013年は3~5%の成長が見込まれています。年初の出足こそ低調だったものの、次第に勢いを取り戻しつつあります。私たちにとって重要な成長要因は、国際化と技術革新力です。

自動車機器テクノロジーセクターは、全世界に50の開発拠点と95の生産拠点を展開し、世界のどこであっても顧客を間近からサポートしています。従業員は年初時点で17万7,000人、ドイツ国内が6万3,000人、国外が11万4,000人でした。国際色がひときわ豊かなのは、研究開発部門です。総勢3万3,500人の自動車技術スタッフのうち、1万9,000人弱がヨーロッパ、約2,000人が南北アメリカで活動し、アジアの研究開発スタッフの数も1万2,500人を数えるまでになりました。これが、ボッシュで自動車の未来を形作るチームというわけです。私たちは、動きが最も活発な分野、つまりパワートレインとセーフティシステムの分野で、マーケットリーダーとして、また技術革新のリーダーとしての地位を維持しています。

未来のパワートレイン:効率がアップし、電動化が進展

未来の自動車はどうあるべきか、これに関する私たちの出発点となる質問は非常に簡単です。それは、「未来の車にふさわしい動力源は何か、今の車よりどれだけクリーンになり、安全性がどれだけ向上しているか」ということです。未来のパワートレインについては、業界各社からさまざまなビジョンが発表されています。もちろん、ボッシュも例外ではありません。ただ、私たちが用意した答えはひとつではありません。ディーゼルとガソリンエンジンが主流を占めるという現在の構図は、2010年代中は変わることがないと私たちは見ています。代替パワートレインは徐々に浸透するものの、増え方は穏やかで、カーブが上向くにはある程度の時間を要すると予想されます。ここで、2020年までの私たちの展望を紹介しましょう。同年の世界の自動車生産を私たちは1億1,000万台と予測しており、うち電動パワートレインを装備した車両は1,200万台に達する見通しです。電動パワートレイン搭載車の伸びは、2010年代中にもある程度上向くと予想されますが、勾配が多少とも急となるのは2020年代に入ってからとなるでしょう。そして私たちが目指すのは、蓄電容量kWhあたりコストが現在の半分で、2倍の走行可能距離を実現できるリチウムイオンバッテリーの開発です。これが実現されれば、電気自動車の売れ行きに弾みがつくに違いありません。

こうした予測は、突然根拠もなしに現れたわけではなく、あくまでも市場と技術の分析に基づいています。さらに、予測にあたり政治的な枠組条件、特に環境保護と気候変動政策にも配慮しています。自動車の排出ガスや燃費規制は世界中でますます強化される方向にあり、なかでも厳しいのがヨーロッパ連合(EU)です。2020年以降EUで販売される新車は企業別平均で95g/kmのCO2排出基準達成が求められるわけですが、どのようにすればこれをクリアできるのでしょうか?これについては、実は簡単な法則性があります。それは、車両が大型化すればするほど、パワートレインの電動化で対応する必要性が増すということです。分かりやすく説明しましょう。

  • サブコンパクトクラスの車両は、ガソリン車にしてもディーゼル車にしても、すでに十分に効率的ですので、電動化に頼るまでもなく、2020年以降のCO2排出基準に対応できます。
  • コンパクトクラスになると、このままで大丈夫そうなのはディーゼルエンジンだけで、ガソリンエンジンは目標に近いレベルまで来ていますが、その程度です。ガソリン駆動のコンパクトカーのCO2排出量をさらに削減するには、廉価の初歩的なもので十分ですが、ハイブリッドドライブの助けを借りる必要があります。
  • 大型の車両も、内燃機関技術の改良だけではCO2排出規制をクリアできません。2020年の基準に対応するためは、パワーの大きなストロング方式のハイブリッドシステムを取り入れることになるでしょう。

このシナリオで必要となる舞台道具ですが、ボッシュのエンジニアたちはすでに一連の技術的ソリューションを考案しています。その名も「7項目プログラム」です。

  • ひとつ目は、一連の効率アップ技術です。たとえば、ターボチャージャーの装備によるエンジンのダウンサイジング化。これで2020年までにディーゼル、ガソリンとも2012年比で燃費を最大20%低減できます。
  • 2つ目は、マニュアルトランスミッションの自動化です。そのための技術の例として、eクラッチ、すなわち電気的に作動するクラッチが挙げられます。ドライバーがアクセルペダルから足を離すと、クラッチが切れ、エンジンはアイドリングを始めますので、これにより5%強の燃費節減が可能になります。
  • 3つ目は、スタート/ストップシステムの機能を拡張したコースティングアシスタントシステムです。この機能を実現するために、私たちはナビゲーションシステムも動員し、外部世界の様子を把握するセンサー役を引き受けさせています。このシステムは走行中の道路前方の制限速度やトポロジーを事前に把握しますので、ドライバーは標識やカーブにさしかかる前に、できるだけ早い段階でアクセルの踏力を弱めることができます。これにより、高速道路の走行時で最大15%の燃費節約が可能になると考えています。
  • 4つ目はハイブリッドパワートレインで、これは中型の車両にとって非常に重要となります。私たちはこの中型車向けのソリューションを「ブースト回生システム(BRS)」と呼んでいます。これには、コースティングアシスタントでは望めない、一段と重要な機能があります。それは減速回生発電を有効に活用することでで、その燃費節減効果は最大7%に達します。
  • 5つ目は、世界でもまだ例のない乗用車用油圧式ハイブリッドドライブです。このシステムは、制動エネルギーを回生してプレッシャーアキュムレーターに蓄え、必要に応じて取り出すというもので、それにより燃費を平均30%、市街地だけに限れば最高45%節約できます。
  • 6つ目は大型車用のストロング方式のハイブリッドシステムで、これにより最大25%の燃費向上を実現できる見通しです。
  • そして最後は、プラグインハイブリッドです。市街地ではバッテリーだけで走る電気自動車、長距離走行時は内燃機関車という2つの顔を持つこの車は、非常に実用的な存在です。コンセントさえあれば、どこでもバッテリーを充電できるからです。電気代という新たなコスト要因は発生しますが、走行サイクルあたりのガソリン/ディーゼル燃料の消費は半分になります。

ところで、以上で紹介したソリューションには、純粋な電気駆動は一言も出てきていません。しかし、私たちが電気自動車用ドライブの開発をおろそかにしているわけではなく、ボッシュは最初の完成ソリューションをフィアット500e向けに納入することになりました。そして、プラグインハイブリッドシステムの方は、ポルシェ・パナメーラですでにデビューを飾っています。私たちは2014末までに、パワートレインの電動化に関係するプロジェクト30件を実用段階に進めようとしています。これらのプロジェクトは量販市場にすぐにつながるものではありませんが、未来のソリューションに対するユーザーの共感をはぐくむという重要な役目を担っています。その目的は、電動式、騒音を出さない、快適であるという特徴を併せ持つ、新しいタイプのドライブがどのようなものかを体験してもらうことにあります。そして、これは非常に重要なことでもあります。ボッシュはすでにオペルの協力を得て、エンドユーザー調査を実施しました。何はさておき、ユーザーに電動モードの自動車を運転してもらい、そのうえでいくらまでなら支払う用意があるかを尋ねることにしたのです。その結果、車両が大型化するほど、ユーザーの追加コスト受け入れ用意が増すことを確認できました。また、アッパークラスのユーザーが、市街地を電気だけで走るというコンセプトを高く評価していることもわかってきました。これはプラグインハイブリッドにとって、非常に心強い支持となります。この結果は、先ほど概説したCO2対策のシナリオとも重なり合います。政治的な決定を受けて、技術的対策として特に大型車を電動化する必要があるという結論に達したわけですが、もうひとつ、重要な懸案が残っていました。それは、ユーザーが何を望んでいるかということです。ドライバーに追加コスト負担の用意がなければ、電気駆動は机上の空論となりますが、幸いなことに、こちらの思惑とユーザーの思惑が一致することが確認されたわけです。

eモビリティへの投資が本格化するのは将来のことですが、ボッシュでは今日すでに年間4億ユーロを電気自動車の開発に投じています。とはいえ、今はまだ内燃機関がビジネスの大黒柱ですし、気候変動対策への関心の高まりを背景に、私たちの効率向上技術は需要が増しています。ガソリン直接噴射システムは2012年の出荷が500万台余でしたが、2015年には900万台を超える見通しで、高圧ディーゼル直接噴射システムのコモンレールの出荷も同様に800万台余から1,200万台強に増加すると見られています。

当社のディーゼル・システム事業部の業況も全世界で、少し前に比べるとかなり勢いを盛り返しています。アジアでは、お客さまが中国の排出ガス基準China4への対応準備を進めています。これは電子制御式噴射システムの装備を前提としたもので、市場の回復と相まって、出荷台数の増加が期待されます。北米では現地の自動車メーカーがディーゼル車市場への参入を計画しており、ライト・ヴィーグル・セグメント(乗用車、ピックアップトラック、小型トラック6t以下)のディーゼル比率が2018年までに10%に達するとの予測が現実味を帯びてきました。また欧州では、Euro6排出ガス規制の導入に向けて一連の量産プロジェクトが動いており、それを追い風に、私たちは市場での地位を強化しつつあります。そのことは、NOx還元用の尿素噴射装置「DENOXTRONIC」の売れ行きにも表れています。2004年に導入したこのシステムの累計販売が500万台に達するのは2013年末となりそうですが、2015年には早くも累計1,000万台を記録する見通しです。

経済的にも技術的にも、内燃機関の時代はなお長期にわたって続くというのが、私たちの判断です。ただ、天然ガス燃料を使用して、代替パワートレインに対抗しうる内燃式代替パワートレインを実現することも可能です。天然ガスエンジンの重要性は、天然ガス埋蔵量が石油資源とは比べ物にならないほど豊富なことを考えれば、自ずと明らかです。現に米国では、新資源発見の報道が相次いでいます。ガソリン車に比べてCO2排出量が25%少ないことを受け、天然ガスエンジン車の市場は10年前から年率25%のペースで成長していますし、現在は世界各地の路上を1,500万台ほどの天然ガス車が走っています。ボッシュはそうした天然ガス車向けに、世界最小のガスインジェクターを提供するなど、この分野でも経済的、技術的に業界をリードしています。またドイツでは、年間走行距離が7,000kmを超えれば、天然ガス車の方が有利という試算結果が示されています。多くの州でガスステーションの整備が立ち遅れているという事情はありますが、ボッシュは市場のさらなる拡大に備え、万全の準備を整えています。

将来の事故防止策:運転の自動化

自動運転の実現に向けて、当社のエンジニアたちが張り切っているのは、何も市場機会が大きいからだけではなく、社会的な効用も彼らを奮い立たせる要因になっています。実のところ、彼らにとって事故防止は、気候変動対策以上に重要な関心事と言っても過言ではないのです。これは、コーポレートスローガンの「Invented for life」を文字通り体現するテーマなのです。国連の報告によると、世界の交通事故死者数は2020年までに年間130万人から190万人に増加する可能性があるとされています。そうした趨勢を逆転し、2020年の交通事故死を90万人にまで減らしたいというのが彼らの望みです。交通事故死の減少は全世界共通の関心事となっており、あらゆる国で政府主導の取り組みが進められていますが、インドなどではなお、交通事故の犠牲となって命を落とす人の数が増え続けています。ボッシュが開発した、交通事故死防止のための技術の1つに、モーターサイクル用ABSがあります。ボッシュはインドのある企業と協力してこれを商品化しました。コントロールできるのは前輪だけですが、非常に低コストでさらなる安全性を提供します。また、高級モーターサイクル向けに、私たちはモーターサイクル スタビリティ コントロール(MSC)を開発しました。このシステムは、コーナーでライダーが身を傾けている時でも可能な限り最高の減速度を算出し、それに基づいた制御が可能です。ただ、自動車の世界で人命救助に最も貢献した安全技術と言えば、エレクトロニック・スタビリティ・コントロール(ESC)でしょう。その実現にあたり、パイオニアとして基礎技術を開発したのは、やはりボッシュでした。この種の技術革新は、使命感なくして成し遂げられるものではありません。そして今、私たちは未来に向けて野心的な目標を立てています。自動車の運転を可能なかぎり自動化し、事故の減少につなげようというのです。

そこに到達するまでの道程は遠く、段階的に進むことになります。具体的には、私たちのセーフティシステムとドライバーアシスタンスシステムの改良を重ねていく必要があります。そのために、ボッシュでは5,000人以上のエンジニアが従事しており、これまでに3つの分野で目覚ましい開発成果が得られました。

  • その1つはパーキングで、2015年に私たちは機能拡張版のパークアシスタントを量産化することになりました。リモートコントロール機能を含むこのアシスタントシステムは、狭いガレージでの操車を可能にするもので、将来的には360°全方位をモニターするパノラマビデオセンサーを車両に装備し、パーキングビル内の空きロットをシステムに探させることもできるようになります。
  • 2つ目はストップ&ゴーシステムで、来年にも、私たちはのろのろ運転時に車両が車線から逸脱しないようにする渋滞アシスタントを導入することにしています。将来的にはこのシステムは自動車線変更を組み込み、渋滞パイロットとしての役割を果たす見込みです。これが実現すれば、ドライバーは渋滞時に運転をシステムに任せ、eメールなどをチェックすることもできるようになります。
  • 3つ目は、高速道路の自動運転です。そのためには、アダプティブ・クルーズ・コントロールと車線維持支援、さらにはハイウェイ・パイロットを組み合わせる必要があり、こうした自動運転機能を2010年代末までに実現したいと私たちは考えています。

技術面だけでなく、経済面でも私たちは進化を続けています。今日すでに、私たちはセーフティシステムとドライバーアシスタンスシステムで年間50億ユーロ強の売上高を得るに至っていますし、2010年代には年率10%の成長が見込まれています。成長の牽引役として特に期待されるのは、ドライバーアシスタンスシステムです。これは車両の安全性の格付けが改定され、待望の追い風が吹き始めたことによるものです。2014年からは、ドライバーアシスタンスシステムを少なくとも1つでも装備していないかぎり、最高の評価は与えないというルールが新車の安全性格付けに導入されることになり、ドライバーアシスタンスシステム販売数量の急増が目前に控えています。ボッシュが2000年に生産を始めたレーダーセンサーの場合、累計生産が100万台に達したのは今年になってからでした。しかし、次の100万台は2014年までに達成し、2016年末までに累計1,000万台を実現できる見通しとなっています。

センサーの開発も順調に進んでおり、2014年にボッシュは、周囲の光景を立体的に把握するステレオビデオカメラの量産を始める予定です。これを実現すれば、歩行者の安全性のために、単一のセンサーだけで自動緊急ブレーキを作働させることができるようになり、たとえば遊びに夢中になっていた子供が突然道路に飛び出してきた場合などに役に立ちます。ただ、こうした人命救助アプリケーションを実用化するためには、いっそうの、それも多方面にわたる技術開発が必要となってきます。複雑な市街地の道路交通を技術的に可能にするためには、それが特に求められます。

ここ、ボックスベルグのテストセンターで試作車を自動運転で周回させるだけのことなら、どうということはありません。車両が1台だけだからです。しかし、混沌とした市街地の路上で、瞬時に周囲の状況を把握するタクシードライバーのような注意力を自動化システムに持たせようとするなら、なお多くの研究が必要となります。ともあれボッシュは、ドイツ国内の公道で、高度のシステムによる自動運転の実地テストを行うことを許された最初のサプライヤーとなりました。私たちが特に重要と考えるのは、自動運転という未来志向の機能を実現するには、センサー、アクチュエーターとコントロールユニットをトータルシステムとして車両に組み入れる必要があるという点です。幸いにして、私たちはこれらの分野を得意としており、現在2つのチームがこの方面で開発活動に取り組んでいます。機能開発を受け持つパロアルトのチームと、システム開発を担当するアプシュタットのチームです。今後、私たちが克服しなければならない開発課題は、以下の4分野に集約することができます。

  • まず、システムの信頼性を効率的に証明できる高度の手法を確立する必要があります。そのためには、航空機産業のやり方が手本となりそうです。
  • 第2に、周囲の状況をより精密に把握できる3Dセンサー技術が必要となります。
  • 3つ目は、エレクトロニクスアーキテクチャの高度化による信頼性の向上です。そこで、デュアルバスシステムやセンサーデータの妥当性チェックを常時行う仕組みの導入を検討しています。
  • 最後は、道路とその周囲の状況を10cm単位の精度で正確に把握できるようにすることです。その際、より多くの事象に関する情報を収集する必要があります。また、情報を時間単位または分単位で頻繁に更新できなくては、役に立つものとはならないでしょう。

高頻度の情報更新を実現するためには、路面凍結や工事現場箇所などの情報を共有できるなど、車両間で周辺状況の情報を絶えず交換できる仕組みを導入しなくてはなりません。このことから察せられるように、自動運転とは、ネットワークでつながれたシステムによる運転と言い換えることができます。将来のセーフティ機能のいくつかは、車両間通信があって初めて成り立ちます。たとえば、交差点アシスタントは、そこを交差点に入ってくる車両の少なくとも半数がデータ交換に加わることが前提条件となります。

ここで注意しなければならないことが1つあります。それは、多量の情報の海にドライバーが溺れるような事態に陥ってはならないということです。目指すのはその逆で、簡単操作の原則が守られなければ、自動運転とは言えません。この面でも、ボッシュはスタンダードとなる技術を確立することに成功しました。私たちは、ゼネラル・モータース向けに、普段使う言葉で操作できるドライバー情報システムを開発しました。ドライバーは、同乗者に声をかけるような調子でシステムに話しかけることができます。このシステムはまずキャデラックに採用され、今ではシボレー、ビュイック、オペルでも提供されています。さらに私たちは、ヘッドアップディスプレイの広範な普及を目指しています。そのために考えられるソリューションの1つが、特殊コーティングを施したフロントウィンドウガラスを必要としないシステムです。これが実現されれば、ミッドサイズクラスの車両でも比較的低廉なコストで、ナビゲーションのための矢印をドライバーの視界内に直接投影表示できるようになります。また、今年末にかけて、コンパクトクラス向けソリューションを量産化できる見通しとなっています。2013年は、世界で生産される新車のうち、ヘッドアップディスプレイを装備したモデルが初めて50万台を超えることになるでしょう。2016年にはこれが360万台に増加すると私たちは予想しています。この種の操作コンセプトが目指すのは、未来のアシスタントシステムと同じく、ドライバーの負担の軽減です。

多面的にして、それ以上:相互に補完する革新技術

以上の説明で皆さんにもおわかりいただけたように、ボッシュの活動は単に幅広いソリューションをご提供するだけにとどまりません。私たちが生み出す革新技術は、相互に補完し合うのです。そのことを物語る最新の例を1つご紹介しましょう。それは、iBoosterと呼ばれる電子制御の制動力ブースターです。内燃機関から供給される負圧を必要としないため、コースティング走行時に限らず、モーター走行時でも問題なく機能します。さらに、iBoosterは従来のポンプの3倍の速度でブレーキ圧を形成できます。自動緊急ブレーキを働かせるために、1分1秒を争う場面がありうることを考えると、これは特に重要となります。この例が示すように、私たちは、パワートレインの電動化と運転の自動化という2つの重要な技術革新分野を結びつけることに成功しました。私たちはさまざまな分野でカギとなる重要な革新技術の開発に取り組んでいますが、その成果は互いにジャストフィットで統合することができます。

10年前にここボックスベルグで初めて講演するにあたり、私が選んだ「ボッシュと自動車の未来」というテーマは、今振り返ると何とも控えめなものでした。そして今日の講演も終わりが近づいていますが、最後に私が申し上げたいのは、iBoosterのような高付加価値の技術革新とともに、自動車の未来がすでに始まったということです。未来は、何らかの画期的な発明により、ある日突然拓かれるものではありません。今日すでに存在するスマートなソリューションや、多様なノウハウをインテリジェントにネットワーク化する術を心得たボッシュのようなシステムサプライヤーが提供するソリューションが、明日の自動車の出発点となるのです。

ご静聴ありがとうございました。

報道対応窓口:
Udo Rügheimer
電話: +49 711 811-6283

ボッシュ・グループは、グローバル規模で革新のテクノロジーとサービスを提供するリーディング・カンパニーです。2012年度の従業員数は約30万6,000人、売上高は525億ユーロを計上しています。また2013年初めからは、自動車機器テクノロジー、産業機器テクノロジー、消費財、エネルギー・建築関連テクノロジーの4事業セクター体制に移行しました。
ボッシュ・グループは、ロバート・ボッシュGmbHとその子会社約360社、世界約50カ国にあるドイツ国外の現地法人で構成されており、販売、サービス代理店のネットワークを加えると、世界の約150カ国で事業展開しています。この開発、製造、販売、サービスのグローバル・ネットワークが、ボッシュのさらなる成長の基盤です。
ボッシュでは2012年に約48億ユーロもの金額を研究開発に投じ、さらに全世界では4,800件以上の国際特許の基礎特許(第一国出願)を出願しています。私たちは革新的で有益なソリューションを提供し、そのすべての製品とサービスを通して、人々を魅了し、人々の生活の質を向上させることを目的にしています。この方針に基づき、ボッシュは全世界において人と社会に役立つ革新のテクノロジーを提供し続けていきます。それこそが「Invented for life」です。

ボッシュの起源は、1886年に創業者ロバート・ボッシュ(1861~1942)がシュトゥットガルトに設立した「精密機械と電気技術作業場」に遡ります。ロバート・ボッシュGmbHの独自の株主構造は、ボッシュ・グループの財務上の独立性と企業としての自立性を保証するものです。「株主(利益配当)」と「経営(議決権)」が完全に分離した企業形態によって、ボッシュは長期的な視野に立った経営を行い、将来の成長を確保する重要な先行投資を積極的に行うことができるのです。ロバート・ボッシュGmbHの株式の大半は非営利組織である公益法人「ロバート・ボッシュ財団」(持株比率92%、議決権なし)が保有しています。議決権の大部分は株主の事業機能実行機関である共同経営者会「ロバート・ボッシュ工業信託合資会社」が保有しています。残りの株式と議決権は創業家であるボッシュ家とロバート・ボッシュGmbHが保有しています。

さらに詳しい情報は
www.bosch.com ボッシュ・グローバル・ウェブサイト(英文)
www.bosch-press.com ボッシュ・メディア・サービス(英文)
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