経営情報 Robert Bosch GmbH のプレスリリース(日本語訳)

ボッシュ、トルンプ、イエナ大学の成功
ドイツ連邦大統領賞の未来賞にノミネート – ボッシュがレーザーパワーを制御
ヨアヒム・ガウク:「繁栄と幸福を支える革新力」

  • 精密金属加工向けの新たなツール
  • レーザーパルスで大量生産の限界を克服
  • 研究現場から作業現場へ – 世界中で採用されている主要技術

制約からの解放 – ボッシュ、トルンプ、イエナ大学、フラウンホーファーIOFの関係者がドイツ連邦大統領賞である未来賞にノミネートされることになりました。この賞は、工業生産において新たに革新的な展望を切り開いた実績を評価するものです。関係者が一丸となった今回の取り組みでは、研究の場で超短パルスレーザーを生み出し、それを初めて実際の工場に導入しました。ボッシュが行ったように、ニーズに合わせてレーザーパワーを制御することができれば、この新しいツールを駆使することで、これまで実現できずにいたエンジニアのアイデアも製品化が夢ではなくなります。

ベルリン/ミュンヘン – ボッシュ、トルンプ、イエナ大学の成功。
ドイツ連邦大統領府は10月2日、超短パルスレーザーの実用化が大量生産に新たな展望をもたらしたとして、大統領賞である未来賞にノミネートされたことをミュンヘンで発表しました。この技術は、レーザーパルスのパワーを集中させ、あらゆる素材を迅速、正確かつ経済的に加工するもので、大量生産にも応用することができます。

新製品開発のための基礎研究
この技術の基礎研究、開発、生産手法の確立と新たな雇用の創出はすべてドイツで行われました。つまりこの技術の場合、ドイツでは経済的な利点も見込めるということです。この製造技術によって数多くの新製品の実用化が期待されており、すでに多くの企業が自社製品の機能改良に役立てています。その中には、排出ガスを抑え、燃費を向上させたエンジンや暖房装置などがあります。また、医療移植片表面の摩耗を低減、あるいは耐性を向上できるようになったため、狭窄した動脈をより長く広げることもできるようになりました。スマートフォンもその一例で、携帯端末のディスプレイやカメラに使用されるカバーガラスにはこれまで以上に薄さや優れた傷防止性能が求められており、それに対応した加工を可能にするのはレーザーだけと言っても過言ではありません。

ドイツ未来賞について
ドイツ未来賞は、優れた革新力と技術に対して贈られる連邦大統領賞のことで、科学分野において経済的に高い効果が見込まれる優れた業績を評価しています。「ドイツの革新力に多大な影響を与え、私たちの繁栄と幸福を支えるのは、まさにこの組み合わせなのです」とドイツ連邦大統領のヨアヒム・ガウク氏は述べています。同賞は、1997年から毎年授与されている非常に権威ある賞で、この分野ではドイツで最高位にあたる賞とされ、審査委員会は科学、経済の各分野の独立した専門家で構成されています。

ノミネートされたチーム
「この度のノミネートは私どもにとって誠に光栄なことで、今後も新しい用途でこの技術が持つ大きな可能性をさらに引き出していく所存です。また、こうした革新技術こそが、産業界におけるドイツの技術的な優位性を確かにし、新たな雇用の創出にもつながると考えています」と語るのは、ノミネートチームの3人です。ボッシュで研究を進めるJens König博士(広報担当)、Trumpf Laser GmbH + Co. KG.で超短パルスレーザーの研究開発の指揮にあたるDirk Sutter博士、イエナのフリードリヒ・シラー大学とフラウンホーファーIOFで実験・レーザー物理学(Experimental and Laser Physics)のStefan Nolte教授の3人は、卓越した創造性と粘り強さで超短パルスレーザー技術を実用化に導き、初めて大量生産に応用することに成功しました。この技術は、PRIMUSプロジェクトとPROMPTUSプロジェクトをベースとしており、どちらのプロジェクトもドイツ連邦教育科学・研究技術省からの支援を受けています。ボッシュだけでも、この技術を用いてすでに約4,000万種類の製品が製造されています。同賞には今回、各パートナーが同等の立場でノミネートされることになりました。

一丸となった取り組み
超短パルスレーザー技術の科学的なベースとなったNolte教授の研究は、世界各国の専門家に2,000回以上引用されています。ボッシュはNolte教授と緊密な協力体制を構築し、初めてこのレーザーに必要となる基礎要件を確定するために基本実験を行い、トルンプによる初の試作品がこの要件を満たすことに成功しました。つまり、専門家が一丸となってこれらの装置を使って研究を進め、製造工程、光学式照準器、レーザーシステムを最先端の技術にまで高めたというわけです。

トルンプはこの分野におけるマーケットリーダーとして、現在の市場では最もパワフルなレーザーを各種揃えています。また、このレーザーの量産導入に成功した初めての会社となるボッシュは、最高レベルのクオリティが求められるマスマーケット向けに数多くの製品を供給しています。こうした先駆的な成果が、今や世界中で導入されているこの主要技術へとつながることになりました。公開特許件数はこれまでに40件を超え、超短パルスレーザーシステムとそれを搭載した製品の売上高は、来年にも10億ユーロを超える見込みです。また、ボッシュのみならず、その他の産業分野においてもさらなる用途が期待されています。長期的な観点から言えば、この技術は、ドイツ経済の重要な柱である機械工学分野にも恩恵をもたらすことになるはずです。

融解より優れ、正確に制御できる昇華
従来のレーザービームでは、金属などの素材に当たると素材が融解し、その一部は蒸発しますが、この融解した素材の挙動の制御にはかなりの困難が伴いました。そのため、融解した素材が再び凝固する過程で、表面が不均一になったり、バリが生じることもよくあり、これが精度の低下につながっていました。このような状態になった部品には再加工が必要となり、それには時間もコストもかかります。また、この方法では、ダイヤモンドやサファイアを加工することはできません。

超短パルスレーザーは、これを適切に使用すれば、製造工程にとって非常に有益なソリューションとなります。適切なパルス幅とパワーを選択すれば、高精度で素材を極めて迅速かつパワフルに照射して昇華させることができ(目視では溶解する間もなく蒸発するように見える)、数百万分の1ミリメートル(ナノメートル)の小さな面積を正確に除去することもできます。また、コンピューター制御のミラーシステムでレーザーパルスを適切な場所にすばやく誘導でき、1秒あたり数十万のパルスが素材を溶解することなく高精度で加工し、昇華した素材は気流で吸引されます。

この加工法の大きな利点の1つは、エンジニアが「冷間加工法」と呼ぶもので、この工程では、レーザーのエネルギーを集束させるにもかかわらず、マッチの頭薬部分に発火させることなく微細な構造を作ることができます。たとえばボッシュが開発した製造機械/システムは、ごく小さな領域でも極めて正確にレーザービームを照射できるため、狙った部分だけを昇華させることができます。周囲の素材を疲労させたり、脆い状態になることもありません。しかも、周囲の素材への熱拡散はわずか約1,000分の1ミリメートル程度です。

超短パルスレーザーの可能性
この技術は、ダイヤモンドから硬質ガラス、スチール、半導体、セラミック、非常に繊細なプラスチックまで、ほぼすべての素材に応用できる、非接触加工のまったく新しい可能性をもたらします。超短パルスレーザーはどこにでも適用でき、あらゆる3次元形状の穿孔、裁断、切削加工を行うことができます。ボッシュは、こうした作業に最適な最先端のレーザーパワー制御技術を確立しました。これを利用してパワーを調整すれば、加工速度をさらに引き上げることもできるようになります。

ボッシュでの応用例
ボッシュでは、超短パルスレーザーをガソリン直接噴射式インジェクターの極細ノズルの穿孔に利用しています。ガソリンエンジンのこのシステムは最大20%の燃費向上につながり、非常に厳格な排出ガス規制への適合にも大きく寄与しています。インジェクターに加工される噴射孔は、燃焼室の形状に合わせて調整できるため、燃料分布がより正確になるのですが、これは従来の製造手法やツールでは不可能でした。しかし、この技術を通じて、中から低、そして超低排気量のエンジンで燃料分布の精度をさらに向上させることに成功しました。その結果、あらゆるクラスの車両でガソリン直接噴射システムを採用し、それにより燃費の向上と排ガス量の削減を実現できるようになりました。現在まで、9件の顧客と取り組んでいる14件のエンジンプロジェクトに、噴射孔をこのレーザーで加工したインジェクターが採用されています。これは200万台の車両に相当する規模となっており、この傾向は今後も続くと思われます。

もう1つの応用例は、LSU-ADVラムダセンサーに使われるセンサー素子です。それぞれまったく構造が異なるセンサー素子は、ひとつひとつレーザーで加工されており、これによって測定精度が2倍高まりました。さらに、エンジン点火後のセンサーのウォームアップ時間が20秒から3秒に短縮し、特に排出ガス量増加の原因となる低温始動後の排出ガス量を大幅に低減することができました。超短パルスレーザーは、ボッシュのディーゼルインジェクターにも利用されています。また、ブデルス社のLogano plus 145石油ボイラーでは、この3Dマイクロマシニングを採用し、燃料を非常に細かく噴霧化できるまったく新しいインジェクターを作り上げることができました。これにより、石油の燃焼特性をガスに近付けることができ、燃焼時の静粛性が大きく向上し、石油の消費量を最大15%削減することができました。ボッシュでは、こうした生産を通じてさらに多くの製品に範囲を広げ、新機能を搭載したり、機能を改良するために研究を重ねています。このように、新しい用途の開発はまだまだ終わりを見せる様子はありません。

ボッシュのフォルクマル・デナー取締役会会長:「認知度の高まり」
「この度のノミネートは、ボッシュの実績が広く認められたことを物語っています」と、ロバート・ボッシュGmbH取締役会会長のフォルクマル・デナーは述べています。「ボッシュは、高精度を誇るこのツールを駆使し、革新的な製品を優れたコスト効率で生産できるようになりました。たとえば、製造工場にこれを導入し、経済的なガソリン直接噴射システムの量産確立に成功しました。これは、ボッシュの製品がいかにサステイナビリティに貢献できるかを示す格好の例となるもので、『Invented for life』を体現しています」。さらに、デナーはこう補足します。「こうした革新技術は雇用の創出と保護につながります。これはドイツ国内だけでなく、欧州のその他の地域、さらにアジアの新興成長市場においても同じで、世界最大の自動車部品サプライヤーとしてのボッシュの地位を盤石なものとする上でも大きな力となります。このツールを活用して、今後もボッシュは人々を魅了するような製品を提供していく所存です」

長く険しい道のり
ボッシュは36年以上にわたり、レーザーを駆使して製品を作り上げてきました。これほど豊富な経験を持つにもかかわらず、超短パルスレーザーによるマイクロマシニングの実用化までには多大な困難が伴いました。そこで、ボッシュはその実現に向けてかなりの数の産業研究を行いました。ボッシュの研究開発・先端エンジニアリングセンター長を務めるKlaus Dieterich博士はこう述べます。「この技術を、科学的な根拠に基づき、独自の見解とたゆまぬ努力で数々の技術に産業利用できるまでに育て上げてきました。超短パルスレーザーによる加工はその最たるものです」。最終的にこれを成し遂げるまでに、およそ10年の年月を要しました。

ボッシュだけでなく、その他の産業にとっても有望な技術
2013年末までに、超短パルスレーザー技術を利用して顧客に供給されるボッシュ製コンポーネントの生産数は3,000万に達する見込みで、その数は今後も増加する予定です。この技術は現在、チャールストン(米国サウスカロライナ州)とトルコのブルサにあるボッシュの製造工場に導入されており、バンベルクの拠点がその基幹工場となっています。

その他の産業、たとえばエレクトロニクス産業では、シリコンウエハからのチップの高精度な切り出しや、小さな回路基板に微細な穴を開ける作業などに超短レーザーパルスが使用されています。また、レーザーを利用して特殊なプラスチックから画期的なステントを製造することで、収縮した血管を長時間広げておき、正確な部位に直接薬剤を投与することもできるようになったほか、携帯電話向けの傷防止性能に優れた小さなカバーガラスもレーザーで加工されています。産業機器テクノロジーや油圧装置の分野では、この製造手法を駆使して特殊な表面構造を作り出し、摩耗の低減を図っています。テキスタイル産業でも同じように、最先端の炭素繊維複合材の加工や機能繊維用スピナレットの穴開けにも用いられています。いずれの場合でもポイントとなるのは、工業生産に利用する際のレーザーエネルギーの制御です。なお未来賞の発表は、12月4日に予定されています。

背景1:用途の詳細例

用途1:あらゆる車両タイプに対応可能なガソリン直接噴射システム
ガソリン直接噴射システムの場合、燃料はバルブを通り、直接燃焼室に噴射されます。最適な燃焼を実現するには、この燃料を極めて正確に噴射しなくてはなりません。そのために非常に効果的なのは、ガソリン噴射孔を非常に微小なもの(直径0.1から0.25ミリメートル)にすることで、噴射孔の位置、形状、微小形状はシリンダー内での正確な燃料噴射に大きな影響を及ぼします。また、孔壁表面の粗さも重要となります。こうした噴射孔を適切に設計すれば、噴霧液滴がシリンダー内壁やピストンに付着しにくくなり、ガソリンの燃焼効率がいっそう向上します。 このガソリン直接噴射システムは最新の排ガス基準に適合しており、最大で20%燃費が向上します。

用途2:新しい石油ボイラー向けのスワールバルブ
ボッシュが新たに開発した超短パルスレーザーの用途として、ブデルス社のLogano plus 145石油ボイラー向けスワールバルブの製造があります。レーザー穿孔で微小な穴を加工できるため、燃焼室への噴射時に燃料となる石油が渦を形成し、細かい霧状になります。これによって無数の小さな液滴が生じ、その総表面積は膨大なものとなります。結果的に、燃焼効率が非常に高くなり、石油の燃焼特性はガスに近くなります。この技術を利用すれば、ボイラーを常に調節し、その都度必要となる熱量を正確に発生させることも可能になります。こうした特殊な機能は、レーザーによる微細な穿孔技術がなければなしえません。しかし、このボイラーが優れているのはそれだけではありません。ボイラーにはボッシュのラムダセンサーも搭載されており、このセンサーが排ガスの酸素含有量を測定し、適切な量の燃料が燃焼されるよう調整します。こうした機能を組み合わせると、石油の消費量を最大15%削減することができます。

用途3:迅速に機能する高精度なラムダセンサー
ラムダセンサーは、エンジン内の混合気を最適に保つ役割を担います。このセンサーを搭載した三元触媒は、排出ガス中の炭化水素、一酸化炭素、亜酸化窒素のレベルを最大99%低減します。つまり、最も厳しい排出ガス規制にも対応可能だということです。超短パルスレーザーを駆使することで、構造的にさらに優れた新しいラムダセンサーを生産できるようになり、測定精度は従来の2倍に向上しました。また、エンジン始動からの暖機時間も20秒から3秒に短縮し、特に低温始動後の排ガスを大幅に抑えられるようになりました。さらに、以前は別工程となっていたエラー補正をセンサー上で直接行うようにすることで、センサーの応答性が向上し、個々のシリンダーの排ガス組成まで測定・調整できるようになりました。

用途4:ディーゼル燃料インジェクターの排油溝
最新のディーゼル燃料噴射システムは約1,800 barという高圧で作動するため、ディーゼルインジェクターの構造と許容誤差に課せられる要件は極めて厳しいものとなっています。作動中、どんな状況でもディーゼル燃料が漏れ出ないようにするために、ボッシュは超短パルスレーザーを駆使し、インジェクターに小さな溝を設けることにしました。この排油溝は半径3ミリメートルの小さな半円状で、幅、深さ共にわずか60ミクロンです。極寒のアラスカや苛烈な暑さのサハラで運転する場合など、特に高い負荷がかかる状況下では、燃料をこの細い溝で回収し、適切な回路に戻します。この仕組みによって、噴射システムは常に完璧にシールされています。

用途5:薄膜太陽電池モジュール
薄膜太陽電池モジュールは、必要な原料が比較的少ない割に高い効率を発揮するため、昨今のエネルギー革命における最も有望な技術の1つに数えられています。ただ、現状では、生産コストが高過ぎると言わざるを得ません。しかし、この応用例でも同様に、レーザーを利用した製造が新しいソリューションをもたらすことになりました。太陽電池は、さまざまな作業段階に合わせて構造を調整する必要があります。将来的に標準になりそうなCIGSモジュールやCISモジュールといったシステムでは、現在のところ、スタイラスを利用して機械的にこれに対応しています。ただ、この手法では、精度の面だけでなく経済的な観点でも、産業用途に十分とは言えません。しかし、超短パルスレーザーを活用すれば、構造制御を今よりもはるかに迅速かつ正確に行えるようになります。さらにこの手法では、太陽電池モジュールの構造の最適化・効率化も可能になり、高速での並列処理によって、生産コストの向上も期待できます。このように、製造工程にレーザーを利用すれば、低コストで非常に高効率な薄膜太陽電池モジュールを製造できるようになります。

用途6:患者に合わせてカスタマイズ可能な医療移植片
ステントは、狭窄した動脈を広げておくための小さな支持具です。このステントは、血小板が凝集しないよう、表面が滑らかで、バリを1つも作らずに製造できなくてはなりません。この表面が粗いと、ステントで広げた動脈に新たな組織が形成され、再度塞がれてしまいかねないからです。これまではスチール製のステントが一般的でしたが、近頃はニチノールが利用される例が増えています。このニチノールは形状記憶合金の一種で、温度に非常に敏感で、金属疲労が少なく、個々の患者に合わせて容易にカスタマイズでき、閉塞も少ない素材です。ただ、非常に熱に弱いため、従来の加工法では製造が難しく、コストがかかるという難点がありました。しかし、ニチノールステントの製造に超短パルスレーザーを利用すれば、柔軟に対応できるだけでなく、正確にカットできるため、再加工する必要もなくなり、「冷間」加工も行えるようになります。

用途7:強化ガラスの裁断
最近の携帯電話のディスプレイは、キーパッド方式に代わり、タッチスクリーン式が採用されることが多くなりました。最先端の機種には4層ものカバーガラスが使われており、外側は化学的に強化されたカバーガラスが配置され、ディスプレイを衝撃や傷、埃から保護しています。このカバーガラスは通常、厚さはわずか0.7ミリメートル程度で、携帯電話がいかに軽量化を迫られているかが伺えます。そのため、従来の裁断手法ではこれに対応できず、切削工程では研磨や研削など、コストがかかる再加工を行わなくてはなりませんでした。しかし、超短パルスレーザーがあれば、従来の切削方法よりもはるかに優れた仕上がりが期待できます。また、切断面のクオリティや角度も調整できるようになります。

その他の用途:

  • 透明素材や香水瓶などのガラス容器の表面加工、文字入れ(模造防止、偽造防止用など)
  • 回路基板の滑らかでバリのない正確な穴開け加工

類似用途:

  • 機能繊維用スピナレット
  • 摩耗や摩擦を抑える油圧装置の微細構造
  • LED用途向けの半導体ウエハをマイクロメートル単位で高精度に切断する技術

開発中の用途:

  • ラボ・オン・チップ(試作品用のみ)
  • 義歯の成形
  • 炭素繊維複合材の機械加工

背景2:驚きの数値

  • 製品の製造に利用されるレーザーパルスは、0.00000000001秒を下回っています(10ピコ秒以下)。目安となる例を挙げると、光が地球から月に(約30万キロメートル)到達するまでに要する時間が1秒強です。一方、1ピコ秒の光パルスはわずか0.3ミリメートル長ですので、1つの光線は3ピコ秒の間に1ミリメートルの距離を進むことになります。このように、ピコ秒はごくごく短い時間です。事実、ピコ秒は1兆分の1秒に相当し、1秒の100万分の1の、さらにその100万分の1とも表現できます。
  • ボッシュにおけるスチール加工時のレーザーパルス数:1秒あたり40万~80万
  • インジェクターの噴射孔(直径0.1~0.25mm)を1つ開けるのに、数十万のレーザーパルスが必要となります。一般的に、インジェクター1つあたり6~8個の噴射孔が設けられているため、平均数百万パルスが必要になります。
  • 金属はレーザーを照射された瞬間に蒸発しますが、そのとき約6,000℃の温度に達しています。ちなみに、太陽の表面温度は約5,300℃です。
  • 種類にもよりますが、金属は2ピコ秒から50ピコ秒の間にこのような高温に達します。

背景3:極小単位の時間と長さの測定

超短パルスレーザーの応用研究では、エンジニアは極めて小さな単位の時間や長さの高精度での測定法を理解しておかなくてはなりません。一般的に用いられる尺度には以下のものがあります。

時間の尺度 基準
1秒(s) 時計
1ミリ秒(ms) = 0.001秒 カメラの高速シャッター
1マイクロ秒(µs) = 0.000001秒 爆発
1ナノ秒(ns) = 0.000000001秒 高速デジタル電子回路
1ピコ秒(ps) = 0.000000000001秒 分子の運動
1フェムト秒(fs) = 0.000000000000001秒 電子の運動
尺度 基準
1メートル(m) 子どもの身長
1センチメートル(cm) = 0.01メートル 1.6 cm = 1ユーロセント硬貨の直径
1ミリメートル(mm) = 0.001メートル 5 mm = アブラムシの全長
1マイクロメートル(µm) = 0.000001メートル = 100 µm = レーザー穿孔による穴の直径
70 µm = 毛髪の直径
1ナノメートル(nm) = 0.000000001メートル 10 nm = ヘモグロビン分子の大きさ
0.1 nm = ほぼ原子の大きさ

背景4:ボッシュの製造における超短パルスレーザーの利用

超短パルスレーザーで加工できる素材:

  • 金属、半導体、セラミック、プラスチック、ガラス、ダイヤモンド、サファイア、炭素繊維複合材などその他多数

超短パルスレーザーで可能な加工の種類:

  • 超短パルスレーザーは汎用性の高いツールで、穿孔、裁断、バリ取り、切削、3次元形状の成形を行うことができます。これらの加工はすべて、素材に触れることなく、または素材の特性を変えることなく行えます。

超短パルスレーザーを利用したボッシュの製品/部品:

  • LSU-ADVラムダセンサーのセンサー素子(ラムダセンサーは特に排ガス処理に有用)
  • HDEV5ガソリン直接噴射システムのバルブの噴射孔の穴開け(燃料の最適な燃焼に重要)
  • CRI2 18コモンレールインジェクターのシール部の排油溝(ディーゼルインジェクションのシーリングに重要)
  • ブデルス社のLogano plus 145石油ボイラー向けEV14スワールインジェクターの3Dマイクロマシニング(暖房用燃料の最適な燃焼に重要)

背景5:ドイツ未来賞

ドイツ未来賞は、優れた先進技術と革新力に対してドイツ連邦大統領から贈られる賞で、1997年の創設以来、経済的に大きな可能性をもたらす革新技術の評価指標となってきました。過去にこの栄誉に浴した数多くの革新技術が今では日常生活の一部となっています。それぞれの受賞プロジェクトは科学分野における業績と経済的な成功を両立させたものばかりで、この賞は申請して獲得できる類のものではありません。選考を行う上位機関には、ドイツ連邦教育科学・研究技術省、ドイツ国立学術アカデミー・レオポルディーナ、acatech(ドイツ工学・科学アカデミー)、ドイツ研究振興協会、ドイツ特許商標庁、ヴェルナー・フォン・シーメンス・リング財団、マックスプランク協会といった錚々たる組織が名を連ねています。

背景6:経済状況と今後の展望

  • この分野に関して、パートナー企業が現在公開している特許は42件です。
  • アナリストによると、超短パルスレーザー市場は2009年から2012年までに毎年倍増するとされており、この傾向は今後も続くものと思われます。
  • 超短パルスレーザーとそれを利用した製品を合わせた売上高は、来年には10億ユーロを超えると予測されています。また、超短パルスレーザーの導入はその他の産業分野にもさらに広がっていくと考えられます。
  • 2011年から2012年にかけて、超短パルスレーザー技術を利用したボッシュ製品の生産高は、年間約470万台から1,160万台へと飛躍的な伸びを見せました。さらに今後2年にわたり、超短パルスレーザーシステムの大規模導入とそれを利用した製品数の増加が計画されています。
  • 2013年末までに、ボッシュは超短パルスレーザー技術を駆使した約3,000万のコンポーネントを顧客に供給する予定です。この技術はすでにボッシュの複数の生産施設で導入されており、2020年までに導入予定の施設がさらにいくつもあります。なお、これらの施設では、2020年までに毎年8,000万のボッシュ製品が製造されるようになる見込みです。
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ロバート・ボッシュGmbHの公式サイト:
http://www.bosch.de
Trumpf Laser GmbH + Co. KGの公式サイト:
http://www.de.trumpf.com
イエナ大学の公式サイト:
http://www.uni-jena.de
ボッシュのラムダセンサー紹介サイト:
http://www.bosch-lambdasonde.de/de/umweltzuliebe.htm

自動車機器テクノロジーセクターはボッシュ・グループ最大の事業セクターです。2012年の売上高は 31.1 億ユーロで総売上高の約59%を占めています。自動車機器テクノロジーの売上により、ボッシュ・グループはリーディング・サプライヤーのポジションを確立しています。
全世界において約177,000人の自動車機器テクノロジーセクターの従業員が、内燃機関用噴射技術、代替駆動コンセプト、効率的そしてネットワーク化されたパワーワトレイン周辺機器、アクティブ/パッシブセーフティシステム、運転支援/コンフォート機能、ユーザーに優しいインフォテインメント技術やCar-to-CarおよびCar2Xコミュニケーションとコンセプト、オートモーティブアフターマーケット向けのサービスや技術という7つの事業分野で働いています。
ボッシュ・グループは、電気駆動マネジメントや横滑り防止装置ESC(エレクトロニック・スタビリティ・コントロール)、ディーゼルシステム用コモンレールなどの重要な革新的自動車技術にも対応しています。

ボッシュ・グループは、グローバル規模で革新のテクノロジーとサービスを提供するリーディング・カンパニーです。2012年度の従業員数は約30万6,000人、売上高は525億ユーロを計上しています。また2013年初めからは、自動車機器テクノロジー、産業機器テクノロジー、消費財、エネルギー・建築関連テクノロジーの4事業セクター体制に移行しました。
ボッシュ・グループは、ロバート・ボッシュGmbHとその子会社約360社、世界約50カ国にあるドイツ国外の現地法人で構成されており、販売、サービス代理店のネットワークを加えると、世界の約150カ国で事業展開しています。この開発、製造、販売、サービスのグローバル・ネットワークが、ボッシュのさらなる成長の基盤です。
ボッシュでは2012年に約48億ユーロもの金額を研究開発に投じ、さらに全世界では4,800件以上の国際特許の基礎特許(第一国出願)を出願しています。私たちは革新的で有益なソリューションを提供し、そのすべての製品とサービスを通して、人々を魅了し、人々の生活の質を向上させることを目的にしています。この方針に基づき、ボッシュは全世界において人と社会に役立つ革新のテクノロジーを提供し続けていきます。それこそが「Invented for life」です。

さらに詳しい情報は
www.bosch.com ボッシュ・グローバル・ウェブサイト(英文)
www.bosch-press.com ボッシュ・メディア・サービス(英文)
twitter.com/BoschPresse/ ボッシュ・プレスツイッター(英文)
を参照してください。


このプレスリリースは2013年10月2日に Robert Bosch GmbH より発行されました。原文をご覧ください。>