経営情報

Invented for life:
シンプルにネットワーク化された世界のために
ボッシュが提供するソリューションの数々


フォルクマル・デナー、
ロバート・ボッシュGmbH取締役会会長
CES 2016、米国ネバダ州ラスベガスでの
ボッシュ記者会見のスピーチ原稿

本稿は実際の講演内容と異なる場合があります。

2016年1月5日

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  • 2016/01/05
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プレスリリース

ご来場の皆さま、おはようございます。ボッシュ記者会見にようこそお越しくださいました。私自身、民生用電子機器の世界の中心にて、今はとてもわくわくしています。将来の私たちの生活を形づくる革新技術を見てみましょう。

CESの環境は私にとって非常に心地のよいものでもあります。なぜなら私たちボッシュの人間がよく口にしているのですが、ボッシュのDNAにはイノベーションがしっかり刻み込まれているからです。130年近いボッシュの歴史において、イノベーションは私たちのアイデンティティの重要な部分を占めてきました。

そして皆さまにぜひご理解いただきたいことがあります。それは、創業者のロバート・ボッシュが「イノベーション」のための「イノベーション」にまったく興味がなかったということです。では彼が何を信じていたかというと、「テクノロジーとビジネスの成功は、常に人類の益になるものでなければならない」という言葉を遺しています。この言葉と、私たちの会社がコーポレートスローガンとして掲げる「Invented for life」は無関係ではありません。このCESの会場で私たちが展示する製品にも、そうした精神がしっかりと受け継がれています。

ではここで、私たちの製品のひとつとして、ボッシュが開発した新しいタッチスクリーンをご紹介します。このタッチスクリーンはその斬新さが認められ、車載オーディオ/ビデオ部門において「CES 2016 イノベーションアワード」を受賞しました。その外見は普通の車載ディスプレイと同じですが、指で触れると、ビジュアルと音声によるフィードバックとともに、ハプティック、つまり触覚に訴えるエレメントによって反応するディスプレイです。画面を指でなぞると、確かに指先に個々のキーの感触が伝わってきます。そしてまた、それを操作する場合は、本物のボタンを押すのと同じようにボタンをしっかりと押します。すでに、お客様からの評価をいただくため、いくつかのお客様には実物をご覧いただいています。

皆さんもご自分で体験されたいのではないでしょうか?北ホールの弊社ブースでは、この製品を組み込んだデモンストレーション用の車両を用意していますので、そこでぜひ操作してみてください。また、この製品は実にクールですが、それだけではありません。安全性の向上にも大きく貢献できます。カーラジオやナビゲーションシステムを操作するときに、視線を前方の道路からそらす必要がほとんどなくなるからです。まさに、「Invented for life」を体現した製品といえるでしょう。

さて、今回私たちが展示するこのほかのソリューションの紹介に移る前に、ボッシュに関する重要なデータをいくつかご紹介させていただきます。ボッシュは、全世界の60カ国で約38万人の従業員を雇用しています。

北米でも活発に活動しており、従業員は3万人を超え、拠点の数は100以上に上ります。そして喜ばしいことに、北米事業はとても順調に推移しています。2015年にボッシュは北米での売上を、米ドル建てベースで前年比7%伸ばすことができました。なお、この数字は年初の予測をかなり上回っています。

事業分野という意味では、私たちはモビリティ ソリューションと包装機械などの産業テクノロジーのグローバルサプライヤーです。そのほか、家電製品と電動工具などの消費財、さらにはセキュリティシステムから空調システムまで、実に多彩なエネルギー・建築関連テクノロジーを提供しています。これら分野のすべてで、私たちは電動化、自動化、エネルギー効率、そしてとりわけネットワーク化の推進を目指して技術革新を追求しています。

会社としての私たちの戦略的な目標は、世界中のあらゆる場所ですべての人々が簡単・安全・快適に、そして環境にやさしいかたちで暮らせるようになり、環境への負荷の低減につながるソリューションを生み出すことです。そして私たちは、新しいソリューションは何よりもまず、ユーザーとそのニーズにフォーカスして開発するべきだと考えています。それを達成するカギのひとつが「ネットワーク化」です。それを私たちは「シンプリーコネクテッド(Simply.Connected.)」と呼んでいます。

このCESの会場で、私たちのビジネスにとって最も重要なトレンドがネットワーク化だと申し上げるのは、釈迦に説法というものかもしれません。ただ、ひとこと言わせてください。多くの伝統的なモノづくりの会社とは異なり、私たちボッシュは、モノのインターネット化(IoT)がもたらす可能性にいち早く注目し、IoT関連の専門知識の蓄積に努めてきました。ボッシュ・グループでは現在、世界各地の100を超える拠点で約5万5,000人の従業員が研究開発に取り組んでいますが、その3分の1はソフトウェアエンジニアです。うち3,000人以上がIoTに専門に従事しており、その数は今後さらに増加すると私たちは考えています。

今日、IoTの3つのレベルすべてで活発に活動している企業は、ボッシュただ1社です。その3つのレベルとは、センサー、ソフトウェアとサービスです。つまり私たちは、IoTのための単なるソリューションプロバイダーではなく、IoT社会の実現をリードする重要な「イネーブラー(Enabler)」なのです。また、私たちはIoTがもたらす機会を利用する上で、世界中の多くの会社よりもかなり有利な立場にあります。これについては、私たちがCESで展示するスマートホーム、スマートシティ、コネクテッドモビリティ、そしてインダストリー4.0 の4つのアプリケーション分野におけるコネクテッドソリューションをご覧になれば納得していただけると思います。

IoT技術の開発作業を手際よく進めるために、私たちは社内に2つのスピードを取り入れました。絶対の信頼性と安全性が要求される分野、伝統的なプロセスに準じた開発手順を守ることが大切です。他方、機動力と柔軟性が要求される方面では、「スクラムメソッド」などのスピードを重視したアプローチを取り入れています。これまでソフトウェア開発で広く用いられてきた手法が、ハードウェア開発でも次第に見直される傾向にあります。

このようにして、私たちは産業の世界のニーズとITを結び付けています。自動車機器分野でも、Googleやテスラなどの新しいプレーヤーが私たちの顧客リストに名を連ねるようになりました。後にこの業界が進化論的な発展を遂げるのか、あるいは大々的な地殻変動が起きるのかは別にして、ボッシュは今後も自動車産業界の一員として活動していきます。

そうした配慮もあり、私たちは社内で起業家精神の高揚に積極的に取り組んでいます。たとえば、2年前に私たちはスタートアッププラットフォームを立ち上げました。その目的は、コアビジネス以外のジャンルで得られた研究成果を極力短期間で商品化につなげ、市場に送り出すことにあります。この仕組みを土台にして、これまでにいくつものスタートアッププロジェクトが誕生しました。畑の雑草を識別するため、肥料や農薬の使用を最小限におさえることができる農作業ロボットの「Bonirob」もそのひとつです。それ以外にも、倉庫業務の合理化に資するソリューションなどがあります。また、米国のパロアルトに拠点を置くスタートアップチームは、家事ロボットの開発に取り組んでいます。

こうした「スタートアップ文化」は私たちにとって、さほど目新しいものではありません。スピンオフとして誕生し、成功を収めた事例も複数あります。その重要な一例が、子会社のボッシュ センサーテックです。私たちは10年前に、民生用電子機器アプリケーション向けのMEMSセンサーを開発するためにこの会社を設立しました。この「MEMS」とは、micro-electro-mechanical systems(マイクロ エレクトロ メカニカル システム)の略です。今日、世界中で使われているスマートフォンの約4分の3に、ボッシュのMEMSセンサーが使われています。統計的に言えば、皆さんの4人に3人はボッシュの製品をポケットに入れて持ち歩いていることになります。

そして、この画期的なセンサーは携帯電話専用のものではなく、さまざまな分野で幅広く活用されるようになり、私たちは今や世界をリードするMEMSセンサーの大手サプライヤーとなりました。車載アプリケーション向けに私たちがMEMSセンサーの製造を開始したのは1995年のことで、それ以来、これまでに70億個近いセンサーを製造してきました。そして今では1日あたり400万個を世界に向けて送り出しています。

これらのセンサーは、ボッシュが提供する数多くの製品とサービスを縁の下で支える重要な要素部品です。その具体例を挙げる前に、センサー自体についてもう少しお話しさせてください。このMEMSセンサーは、文字通りIoT構築の基礎を形成します。

部品としては小さいものですがそのインパクトは甚大です。車載アプリケーションにあっては、人命を救い、走行快適性を高め、省エネに寄与し、多くの車載電子機器においては目や耳として機能し、加速度や音、温度、空気の質などを測定します。これにより、何十億ものモノがスマート化し、モノがそれ自身に関する情報を共有し、相互にコミュニケーションできるようになります。こうした車両だけでなく、コンピューター、ゲーム機、ウェアラブル端末、家電製品やその他の数々のスマートオブジェクトにMEMSセンサーが使われています。私たちの製品をぜひご覧いただき、人々の生活を豊かにするこれらのセンサーの働きをぜひ体験してみてください。

今年私たちが展示するセンサーのラインナップには、数多くの重要な新製品が加わっています。拡張現実やロボット工学などのアプリケーションでの使用を想定した9軸センサーもそのひとつです。また、プロフェッショナル向けの新しいクロスドメイン開発キットも用意しました。これは私たちが社内で使用しているセンサープラットフォームを、誰もが利用できるようにしたものです。このキットを使えば、まったく新しいIoTアプリケーションを短期間で開発することも可能になります。

すでに申し上げたことですが、私たちはイノベーションの中心的なドメインとして、スマートホーム、スマートシティ、コネクテッドモビリティ、インダストリー4.0 (コネクテッドインダストリー) の4つの分野に焦点を絞っています。では、これよりこれらについて個別に見ていきましょう。

1. スマートホーム
まずはスマートホームです。ありきたりの夢は現れては消えるのが通常ですが、スマートホームの夢は数十年にわたり暖め続けられてきました。そこに住む人のニーズを予期し、それを満たしてくれる住宅というアイデアは、私たちの間に深い共感を呼び起こすからです。

では、現実世界のスマートホームとは、いったいどのようなものでしょうか?私が思い描くスマートホームとは、このようなものです。住人は、外出後に玄関の鍵をかけただろうか、あるいは突然激しいにわか雨に遭遇したときに、2階の窓を閉めただろうかなどと思い煩う必要はありません。ドアも窓も、センサーを装備しているからです。また、室内の温度は常に完璧に保たれます。サーモテクノロジーシステムが天気予報を自分でチェックし、住人の好みに合わせて温度を調節するからです。さまざまなシステムの連携動作により、家庭のエネルギー消費量を最高で40%節約できると試算しています。こうしたスマートホームでは、すべての照明スイッチ、すべての家電製品を、あなたがどこにいようとも、手元のスマートフォンのボタン操作ひとつで制御できるようになります。

夢物語のように聞こえるかもしれませんが、決してそんなことはありません。最近の一連の予測によると、2020年には世界の全世帯の15%、人口にして2億3,000万人がスマートホーム技術を採り入れた住宅で暮らすようになると見込まれています。必要な技術に関して、ボッシュにはすでに提供できる用意が整っています。そして、それ以上に重要なことですが、その技術をどのように使えば良いのかという知識も備えています。

私たちの新しいスマートホームシステムには、私たちが蓄えてきたあらゆる専門知識が投入されています。互換性の存在が前提となりますが、ひとつのプラットフォーム、ひとつのアプリ、ひとつのユーザーインターフェースで、他社製品を含め、すべての住宅機器をネットワークでつなげることができます。自宅の電子機器、家電製品や照明を簡単に、素早く操作するために必要なのは、中央制御装置と、スマートフォンやタブレット端末です。

すでにボッシュの製品ポートフォリオには、あらゆるカテゴリーに属するネットワーク化機器が揃っており、その中にはオーブン、冷蔵庫、洗濯機、コーヒーメーカー、空調システムやセキュリティシステムもあります。スマートホーム用のこれらのソリューション、そしてそれ以外のソリューションを、Sands Expoの弊社メインブースのインタラクティブ ディスプレイでご覧いただけます。

私たちはプラットフォームの開発にあたり、他社にも協力を呼びかけています。たとえば私たちはPhilipsと、自己学習機能を持ったネットワーク接続対応の照明器具の共同開発を進めています。また、昨年はABB、Ciscoと合弁で「mozaiq operations」を立ち上げました。そこで私たちが目指しているのは、業種に関係なく、多くのサプライヤーにオープンに開かれたスマートホーム用B2Bソフトウェアプラットフォームを開発することです。ネットワーク化された世界を単独で生み出せる会社などあり得ないというのが、私たちの考えだからです。

2. スマートシティ
ところで、私たちは住宅のスマート化だけで満足しようとしているわけではなく、そこからさらに発展し、都市全体のインテリジェンスを向上させたいと考えています。今日、世界全体で約40億人の人々が都市で暮らしており、2050年にはその数が65億人に増加する見込みです。そして、スマートなコネクテッドシティは、都市に暮らすあらゆる住民の生活の質をより引き上げる可能性をもたらします。

バス、地下鉄、列車、シェアードカーなどがマルチモーダル交通システムのネットワークでカバーされ、ボタンを押すだけでさまざまな予約ができ、支払いを済ますことができる都市を想像してみてください。それは、暗くなれば街灯が点灯し、明るさを自ら調節、必要がなければ消灯し、温室効果ガスの排出量を抑える街、交通信号に組み込んだセンサーが車を検知し、自動的に交通の流れを最適にするような街となります。

私たちは今日すでに、未来のスマートシティを構成する基礎的な要素を提供できる準備を整えています。その準備とは、システムの頭脳となるソフトウェアです。「Bosch IoT Suite」はIoTアプリケーションの技術基盤となるもので、機器、人、サービスを結びつけるために必要なあらゆる機能を備えています。私たちの技術をこのスマートシティに応用すれば、人々を車両などのモノ、充電ステーション、交通信号灯、エネルギーシステム、輸送インフラ、さらに図書館やレストランなどともつなぐことができます。もちろん、これらのモノもすべて相互につながります。

私たちは目下、スペイン、イギリス、ドイツ、米国など、世界各地でスマートシティの整備プロジェクトを進めています。さらにここ米国では近頃、カーネギーメロン大学とともに、コネクテッドキャンパス環境の開発・試験とその実現を目指したイニシアチブをスタートさせました。インテリジェントなキャンパスと建物は今後、温度、空気の質、照明を最適化し、学習・研究の効率と快適さを向上させることになるでしょう。

今年のCESでボッシュは、都市圏で駐車スペースが探しやすくなるスマートシティ向けの2つのソリューションをご紹介しています。そのひとつが「アクティブ駐車場管理システム」で、駐車場の路面に埋め込んだセンサーにより、個々の駐車スペースが使用中かどうか検知されます。このソリューションは、駐車場の利用率向上にも寄与します。2つ目のソリューションは、一般にコミュニティベースのパーキングと呼ばれるものです。走行中、車両に装備した駐車支援システムが、路肩に並んだ駐車車両間の空きスペースの大きさを自動的に測定します。

いずれのソリューションでも、センサーは利用可能な駐車スペースの情報を中央サーバーに伝え、それをボッシュが開発した独自のアルゴリズムで処理し、その瞬間に利用可能な駐車場のマップをリアルタイムで作成します。このため、ドライバーはスマートフォンや車載インターネット接続機器を使ってマップにアクセスし、利用しやすい駐車スペースをいち早く見つけることができます。都市部の道路の渋滞の原因の30%は、駐車場を探してうろうろする車に原因があるといわれます。とすれば、この技術がもたらす時間の節約とCO2排出量削減効果の大きさも想像できるというものです。

3. コネクテッドモビリティ
自動車と駐車場の話が出たところで、次はボッシュが重視する3つ目のドメインの「コネクテッドモビリティ」についてです。ネットワーク化が私たちの生活に最大の革命的変化をもたらすと予想されるもの、それは車両のネットワーク化をおいて他にありません。ネットワーク化された車両はより安全で効率的なものとなり、ドライバーの負担を軽減してくれます。

今や、人々の生活はインターネットなしには考えられないと言っても過言ではない状況になってきており、早晩車両でも同じようになる見通しです。ネットワーク化された車両は、どんなセンサーよりも先まで見通すことができ、どんな地図よりもはるかに最新の情報を得ることができます。

ボッシュのコネクテッド ホライズンによって実現されるのが、まさにそうした機能です。このシステムは、前方で待ち構える危険な状況を現場のはるか手前でドライバーが把握できるようにし、危険を察知した場合には自動的に車両を減速させることもできます。この機能は、車両の現在位置と車両に保存されている静的なマップデータ、そしてクラウドを通じて得られるリアルタイムな動的情報を組み合わせて実現します。これにより、ナビゲーションシステムはより最適なルートを提供することが可能になります。また、電気自動車であれば、道路状況に合わせた走行を行うことによって、CO2排出量を10%またはそれ以上削減することも可能です。

さらに、車両の安全性も向上します。たとえば、ESCシステムがある地点で作動したという情報を複数の車両からキャッチした場合、システムは気象情報を参照します。そして路面が凍結していると判断される場合には、その地点に接近しつつある車両に警告を発します。こうして、時間と燃料を節約すると同時に、安全性も向上させることができるのです。

さて、その安全性について、今日この場で人命救助に役立つ新しいソリューションを皆さまに紹介できることは、私にとって大きな喜びです。そのソリューションとは、業界初の後付け可能な「eCall」です。今回の新しいシステムは、あらゆるタイプの車両に簡単に後から装備することができ、さらにドライバーのスマートフォンにインストールしたアプリと連動します。内蔵センサーが一定値以上の衝撃を検知した場合には、この「eCall」が自動的にコールセンターに通報を行います。センターではオペレーターがドライバーとの連絡を試み、必要に応じて救急隊を事故現場に派遣できるよう手配します。緊急通報サービスの「eCall」は、今では約30の国々で提供されています。

皆さまもご承知の通り、ボッシュはテクノロジーとサービスを提供するプロバイダーです。このことも、ネットワーク化事業を展開する上で我々の強みであると考えています。安全性の向上に役立つその他のサービスとして、クラウドベースの逆走警告システムがあります。高速道路上の車両の進行方向と、本来許された走行方向をソフトウェアモジュールで比較し、両者が一致していなければ、接近する車両に警告します。逆走検知から警告が出されるまでの時間は、分単位ではなく、まさに秒単位です。なお、このサービスは米国とその他の国で今年末から導入される予定です。

ドライビング体験のネットワーク化が高度化するにつれ、ヒューマン・マシン・インターフェースの重要性が増してきます。このヒューマン・マシン・インターフェースの改善は、安全性と利便性の向上につながります。ドライバーに適切な情報を正しいタイミングで提供できれば、ドライバーは運転により集中することができるからです。たとえば米国の場合、路上の死亡事故の原因の10%を占めるとされるドライバーの注意散漫を最小限に抑えることができます。また、このデバイスはドライバーからのボイスコマンドに従って、Eメールを音声リーディングする機能も備えており、ドライバーは車中での時間をより効率的に過ごせるようになります。

北ホールのブースに用意したデモ車両で、ボッシュが構想するドライバーと車両間のインターフェースのビジョンをぜひ体験してみてください。この車両には、身振りや視線の動きで操作できる、大型ディスプレイが装備されています。また、前述したハプティックフィードバック付きのタッチスクリーンも装備されています。

ネットワーク化は、自動運転実現のカギとなる技術でもあります。私たちが自動運転の開発に力を注ぐのは、より安全な道路交通を実現するためで、それが最大の、そして究極の動機です。国連は、交通事故の死亡者数が世界中で毎年約130万人に上ると推定しており、その事故の90%が人為的なミスに起因していると考えられています。こうした危険を伴う交通状況が起きたとしても、適切な技術があれば、人命に関わる重大事故を防ぐことが可能です。

私たちは、ドライバー アシスタンス システムの進歩の積み重ねによって自動運転が実現すると考えています。そこで、このシステムの開発のためだけに約2,000人のエンジニアを投入しています。その甲斐あり、私たちのドライバー アシスタンス システムは、車線変更の支援、車線からの逸脱防止、障害物に遭遇したときのブレーキ支援など、実にさまざまな機能を実現できるようになりました。この分野のボッシュの売上高は年に1.3倍のペースで伸びており、2016年には10億ユーロを越える見込みです。

完全自動運転・完全自動駐車への道のりとして、私たちは全自動駐車、いわゆるバレットパーキングを2018年までに実現することを目指しています。このバレット パーキング システムが搭載されている場合、駐車場内に設けられた降車ゾーンに車両を乗り入れたら、ドライバーはすぐに車両から降りることができます。そこから先は車両が自走し、空きスペースを見つけて駐車するため、時間と燃料の節約が可能です。

また、2020年までには、ボッシュのハイウェイパイロットの市場投入の準備が整う見通しです。これは、高速道路走行時に車両の操作を委ねることが可能な、高度に自動化された機能です。2013年から米国とドイツの公道でテスト車両の自動走行テストを行っております。米国で高速道路の入口から出口まで、テスト車両を自動走行させることに初めて成功した自動車機器サプライヤーが、私たちボッシュです。その私たちが関心を向けているのは、車両そのものだけではありません。TomTomと協力し、自動運転に欠かせない非常に精密なマップの作成にも取り組んでいます。

モビリティ事業においても、ボッシュのもつ多様な産業関連の専門知識が役立っています。さまざまなドメイン上の点と点を結びつけることができるという意味で、ボッシュ以上に有利な立場にある企業は自動車業界にはないと私たちは自負しています。たとえば自分のコネクテッドカーが、自分のスマートホームと通信できるようになったら、どうなるでしょうか?これはまだテスト段階のアイディアですが、ボッシュのエンジニアは、車両のナビゲーションシステムを活用し、住宅のセントラルヒーティングシステムのスイッチを帰宅する前に自動的にオンにする試みに挑戦し、成功させました。いろいろなドメインを見渡せば、人々の生活の向上に役立つ技術革新を実現する機会が無限に転がっているのです。

4. インダストリー4.0
そして、私たちにとって4番目にして最後のドメイン、それが製造です。未来のネットワーク化されたフレキシブルなスマートファクトリーでは、人間、機械、製品が互いにコミュニケーションを図り、共同で作業を行うことになります。なかでも私たちが特に期待するのは、ネットワーク化の活用による製造工程の省エネ化とコストパフォーマンスの向上です。このコネクテッドパラダイムは「インダストリー4.0」とも呼ばれています。ボッシュはこの分野においてもさまざまなレベルで、プロバイダーとして、また提唱者としてもその進展を牽引しています。

現在ボッシュ・グループでは、インダストリー4.0関連の100を超えるプロジェクトが中国、インド、ドイツなどの国々、そしてこの米国でも動いています。たとえばサウスカロライナ州のアンダーソン工場では、複数の生産ラインをモニターするために、従業員がスマートウォッチを活用しています。そして、機械が異常動作した場合には、スマートウォッチが直ちにオペレーターに通報し、ダウンタイムの発生を減少、もしくは予防につなげています。

私たちの事業活動のさまざまな分野で、インダストリー4.0アプリケーションは最大30%の在庫圧縮、そして最高10%の生産性向上を可能にしています。特にドイツや米国などの高コストな国で、インダストリー4.0は大きな利益をもたらします。ボッシュのケースだと、2020年までにグループ全体で年間数億ドル規模の生産コスト削減を達成できる見込みです。

ネットワーク化と並び、未来の製造業にとって重要な役割を果たすのが、自動化技術の新しいあり方、つまりFA機器と人との協働です。未来の工場のために私たちが開発したものとして、「APASシリーズ」と名付けたモバイル生産アシスタントシステムがあります。この協働ロボットは危険な仕事、きつい仕事、退屈な仕事を担うため、人はより楽しみを感じられる仕事を担当できるようになります。

また、このAPASは生産にスピーディかつ柔軟に対応することができます。なかでも重要なのは、APASが非常に安全なシステムだということです。特殊なセンサー スキン インターフェースを備えたAPASアシスタントは、人間と機械が直接協働して作業するシステムとして、初の公式認定を受けることができました。それだけでなく、美味しいコーヒーでお客様をおもてなしすることもできます。サンズエキスポ会場にある弊社ブースに設けたAPASカフェバーに足をお運びになり、APASが淹れるコーヒーをぜひ味わってみてください。

まとめ
すべてを包含するネットワーク化はもはや、あったらいいなという夢ではなく、今ここに存在しています。そして、ネットワーク化された世界がもたらす可能性を活用する上で、ボッシュは非常に有利な立場にあります。どのくらい有利かと言うと、同じような立場に恵まれた企業が他に数社あるかどうかというレベルです。IoTの基礎をなすセンサーから、IoTを介してコミュニケーションするネットワーク化されたモノ、それらを指揮するソフトウェア、IoTによって開かれる人々の生活の向上に役立つサービスまで、皆さんはあらゆる場面で私たちの技術を見かけることになるはずです。ボッシュが提供するソリューションのポートフォリオは実に包括的です。また、私たちはネットワーク化された世界の実現を根本的なレベルで下支えしています。そしてこのことは、私たちがこのトレンドとその技術を積極的に形づくり、あらゆる人々の生活に、はっきりそれと分かる向上をもたらすものに変えることのできる立場にあることを示しています。

とはいえ、百聞は一見にしかずです。今週、サンズエキスポ会場と北ホールの弊社ブースに足をお運びになり、ボッシュが提供する、シンプルなネットワーク化によって生活を豊かにする未来の住宅、都市、モビリティ、そして産業のための数々のソリューションをぜひご自分の目で確かめてみてください。

ご清聴ありがとうございました。


このプレスリリースは2016年1月5日に Robert Bosch GmbH より発行されました。
原文をご覧ください。

RF262 | 2016/01/05

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