経営情報

ボッシュの2016年暫定決算
ボッシュ、ネットワーク化で成長軌道を維持
AI(人工知能)でIoT事業を強化

ロバート・ボッシュGmbH
フォルクマル・デナー取締役会会長、
および
シュテファン・アーセンケルシュバウマー取締役会副会長の
2017年1月26日の記者会見でのスピーチ

本稿は実際の講演内容と異なる場合があります。

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  • 2017/01/27
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プレスリリース

ご来場の皆さま、

  • 新年を迎え、終了して間もない事業年度の暫定決算報告を発表する時期になりました。はっきり申し上げられることがひとつあります。難題の多い環境の中、自動車事業でも、消費財事業でも、ネットワーク化分野でもボッシュは成長を続けています。だとすれば、私たちにとって過去を振り返るより、将来を展望することの方がはるかに重要だと感じています。2017年の新しいトピックは何か。私たち誰もが感じ取っている変化やチャレンジに、ボッシュがどのように取り組もうとしているのか。本日、私たちはこうした質問に対し、ある程度の回答を示したいと考えています。しかし、その前にご挨拶申し上げます。本日は、昨年度暫定決算報告発表の記者会見にようこそおいでくださいました。
  • 本日、最初に取り上げるのは米国におけるトピック、具体的にはサンフランシスコとラスベガスでの出来事です。サンフランシスコの方ですが、昨年12月、ボッシュと民間人訴訟グループとの間で和解に向けての基本的合意が成立し、先方との間でこの件の処理を巡って現在は交渉を行っている段階です。和解の結果は法廷に報告し、その後、今月末に公表することになっています。それまでは裁判所から、交渉内容を極秘裏に保つよう命じられています。
  • そしてラスベガスです。今年もCESの会場はネットワーク化が進む世界の中心地となりました。ボッシュを含む数多くの企業がネットワーク関連の最新の製品と技術開発の成果を発表しました。そのネットワーク化こそ、私たちが本日、この場で掘り下げてお話ししようとしているテーマです。
  • たとえば、将来私たちは社内で研究開発に携わる頭脳を結集して、最高のAI(人工知能)の開発を計画しています。AIの開発は大手のソフトウェア会社やITプロバイダーとの競争が激しさを増していますが、私たちには勝算があります。そして私たちは、将来有望なこの分野の発展にインパクトを与える存在になるつもりです。
  • ですが、その前に昨年の業績の報告です。こう申し上げる瞬間、つい誇らしげな気持ちが湧き上がってくるのですが、2016年に私たちは、年頭に立てた成長目標を達成できました。それも、経済的な追い風に恵まれず、為替面でかなりの逆風が吹き荒れた中でのことです。
  • 後ほど申し上げますが、ボッシュの2016年の成長率は、私たちが活動する市場の伸びを、分野によってはかなり大きく上回りました。数多くの新製品と技術革新の成果を市場に送り出し、一連の新しいビジネスモデルを立ち上げ、まったく新しい市場への参入も果たしました。そうした成功は、ボッシュの従業員が力を合わせて努力した結果にほかなりません。その従業員は今では約39万人を数えます。
  • 私の話はこのあたりでいったん終わりにし、これより取締役会副会長のアーセンケルシュバウマーが2016年の暫定決算を報告します。
1) 2016事業年度 – 逆境の中での成功
ご来場の皆さま、先ほどのデナーに続きまして、私からもご挨拶を申し上げます。
ここ、ロバート・ボッシュ・ヴィラにようこそお越しくださいました。
  • 昨年、世界経済はわずか2.4%の低成長にとどまりましたが、ボッシュは目標とする成長軌道を維持することができました。
  • 暫定決算報告によれば、ボッシュ・グループの売上高は2015年の706億ユーロから、2016年は約731億ユーロに増加しました。
  • 売上高は為替変動の余波で13億ユーロほど押し下げられました。これらの影響を調整後、成長率は5.4%前後となりました。
事業セクター別動向
  • では、ボッシュの個々の事業セクターの成績はどうだったでしょうか?モビリティ ソリューションズにとって2016年は良い年となりました。売上高は前年比5.5%(為替調整後で7.0%)増加し、440億ユーロにのぼりました。つまり、同セクターは世界の自動車産業を上回る成長率を再び達成できたということになります。昨年の世界の自動車生産高の伸びは3%程度だったと見られています。成長に寄与したのは、前年同様、ガソリン燃料噴射システム、ドライバーアシスタンス、インフォテインメントシステム、駐車支援システム、それにフリーリー プログラマブル ディスプレイでした。
  • 消費財事業セクターも成長路線を堅持、売上高は前年比2.8%増の177億ユーロに達しました。為替調整後の伸びは6.2%です。電動工具部門とBSH Hausgeräte GmbHは2016年に数多くのIoTに対応した製品を市場に導入しました。そして非常に心強いことに、ボッシュがBSHを100%子会社化し新しい体制になってから最高の売上高と利益を記録しました。
  • エネルギー・建築関連テクノロジー事業セクターは昨年、52億ユーロの売上高を達成しました。前年比伸び率は0.8%、為替調整後で3.2%となります。サービスソリューション事業は、ハイペースの成長を維持しています。サーモテクノロジー&セキュリティー システム事業部も、スマート機器とIoTソリューションをテコに業容を拡大しました。
  • 他方、産業テクノロジー事業セクターは相変わらず、逆風に直面しています。セクター全体の売上高は前年比5.1%減の63億ユーロ、為替調整後でも4.5%の減収に終わりました。ドライブ&コントロール テクノロジー事業部は、中国、ブラジル、ロシアなどの主要市場で今なお苦戦を強いられています。パッケージング テクノロジー事業部はほぼ前年並みの業績を残すことができました。
  • 以上をまとめると、ボッシュの各事業セクターは、産業テクノロジーを別として、名目ベースでも、また為替調整後でも、まずまず力強い成長を遂げたと言えます。
ボッシュの地域別動向
  • では、売上高の地域別動向の説明に移ります。景気低迷にもかかわらず、欧州でのボッシュの活動は順調に推移しました。売上高は前年比3.4%増(為替調整後で4.8%増)の386億ユーロでした。中でも好調だったのがイギリスとポーランドです。
  • 2015年に稀に見る成長を記録した北米は、予想されたとおり反動を受けました。売上高は124億ユーロに留まり、名目ベースで前年比2.0%減少、為替調整後では1.8%の減収でした。
  • 為替変動の影響がひときわ顕著に現れたのが、南米です。ボッシュ・グループの売上高は為替調整後で2.1%と安定した伸びを示しましたが、名目ベースでは前年比5.7%減少、13億ユーロに留まりました。この地域から届いた明るいニュースは、ブラジル経済が昨年後半に見せた動きです。
  • アジア太平洋地域では、ボッシュは2桁成長を記録、売上高は為替調整後で12%の成長を遂げました。名目売上高は前年比8.1%増加し、208億ユーロに達しました。年末にかけて、同地域の業況は著しく活発化しました。
  • 多くのアフリカ諸国でも、2016年にボッシュは活動を強化しています。
  • ご来場の皆さま、こうした事業の成功は、ボッシュに私たちの未来を、未来の成功を形づくる力があることを示しています。中でもIoTとeモビリティは多額の先行投資を必要とします。数十億ユーロ規模の投資資金を、事業の力強い発展と成功によって確保する必要があります。
  • この資金は、新規プロジェクトの立ち上げのほか、増大する研究開発費にも充てられます。2016年にボッシュは、この目的のためにおよそ66億ユーロを支出しました。
  • これは2016年の業績に少なからず影響しています。暫定決算報告の示すところ、昨年のボッシュのEBIT、すなわち支払金利前税引前の営業利益は約43億ユーロと、前年の46億ユーロに及びませんでした。未来のためのコストは今日発生します。私たちが自らの手でそのための資金を稼ぎ出す必要があります。
  • 2016年の業績が、多額の先行投資のしわ寄せを受けたことは既に申し上げた通りですが、そのほか資本支出の増加と、困難な経済環境、さらには為替変動の影響と事業再編コストも収益圧迫要因となりました。そのほか、Automotive SteeringとBSHの経営再建に由来する一時的な負担もEBITを押し下げました。
従業員数の推移
  • 2016年12月31日時点でボッシュ・グループの従業員は、全世界合わせて約39万人を数えます。
  • 1年前に比べ1万5,000人ほど増加しました。
  • 2016年の従業員の新規採用が特に多かったのは、アジア太平洋地域と中部および東ヨーロッパです。ドイツ国内の雇用は2,100人ほど増加しました。
2017年:困難な状況における意欲的な目標
  • 今年の展望へと話を進める前に、2016年のボッシュの業績を簡単にまとめておきたいと思います。経営環境こそ困難でしたが、目指す成長軌道から外れることはありませんでした。2016年の売上成長率は、3~5%の目標範囲に収まりました。経済的追い風がなかった一方で、為替変動をはじめとする諸要因が売上高を少なからず圧迫しました。
  • 業況は地域によって、また事業セクターによってかなりのばらつきを見せました。産業テクノロジーを別として、すべての事業セクターが2016年に、名目ベースで、また為替調整後でも多少とも力強い成長を遂げました。地域的には、北米を除いて、売上高は為替調整後でプラス成長を記録、中には2桁成長を達成したところもあります。
  • では、今年の展望はどうでしょうか?先進経済圏では、経済界の景気に対する信認がここ数カ月、高水準を保っています。問題は、この状態がはたして、いつまで続くかです。全体として2017年も、これまで同様経済的追い風に恵まれるとは期待できません。私たちは今のところ、今年の世界の経済成長率が2016年よりもさらに低い2.3%にとどまると予想しています。
  • 欧州では、イギリスのEU離脱、そしてオランダ、フランス、そしてドイツで行われる選挙の結果が経済にどう影響するかを見極める必要があります。それに加えて、多くの欧州諸国で改革の進捗に遅れが見られます。
  • 米国発のメッセージは今のところ明暗両様です。ひとつには、景気の減速を窺わせる兆候がいくつか現れています。他方、米国の新政権は拡張的財政政策の導入を示唆しており、それが一時的な刺激要因となる可能性もあります。
  • 不況が数年続いた南米は、足取りは弱いにしても、成長軌道に戻るのではないかと予想されます。
  • 他方、中国とインドでは、昨年に比べ景気が多少減速すると予想され、その結果、アジア太平洋地域全体の成長ペースが鈍ると見られます。
  • イギリスのEU離脱、米国の選挙、僅差で決着したオーストリアの大統領選挙、ドイツおよびその他の欧州諸国の治安問題などから予想されるように、2017年の地政学的情勢は複雑で、2016年同様、不確実性と隣り合わせになるでしょう。
  • ボッシュにとっての中核市場、特に欧州とアジア太平洋地域では自動車生産の伸びが低下する見通しです。
  • 機械産業に関しては、ボッシュが活動するセグメントでは景気が安定化する見通しです。とはいえ、建設投資は2016年に比べ後退すると予想されます。
  • 個人消費も2017年に大きく伸びることはないでしょう。
こうした展望から、ボッシュが掲げる2017年の事業目標は野心的です。私のスピーチの締めくくりとして、今年のボッシュの目標を紹介します。
  • 2017年にボッシュは再び、市場を上回るペースでの成長を目指します。
  • そして、私たちが直面する財務上の課題にも関わらず、あるいはそれがゆえに、私たちは2017年に業績と利益率の向上を追求します。
  • そのためにも、ボッシュはすべての部門で競争力をさらに高める必要があります。
  • 2017年に私たちが成功への期待を託す改良型製品と革新力の成果は数多く存在します。その具体的な説明は、デナーCEOにお願いすることにします。
2016年 – すべての事業分野での変革
これより、アーセンケルシュバウマーにかわり私デナーよりご説明いたします。
  • この1年間、ボッシュは多くのことを達成しました。2016年にボッシュは大きく変わりました。変化の数とダイナミズムの点で、2016年は私たちにとって前例のない年となりました。ボッシュは創業以来かつてない変革の時を迎えつつあります。
  • … 自動車コンポーネントのサプライヤーから、モビリティ ソリューションのプロバイダーへの脱皮。
  • … 車両、家電製品、電動工具の技術エキスパートから、IoTをベースとするネットワーク化推進役への脱皮。
  • 市場ニーズの変化に自らを適合させることは、ボッシュにとって初めてのことではありません。しかし、IoTとモビリティの変革による現在の変化は、かつてない早さで、なおかつ先を見通し難いという意味でこれまでの変化とは異なっています。
  • ここで、ボッシュが2016年に下した重要な決定のいくつかをご紹介します。
2016年、ボッシュは新たなモビリティの形成への注力を維持
  • 私たちはeスクーターのシェアリングサービス「Coup」をベルリンで立ち上げました。スタートから数カ月、このサービスは予想をはるかに上回る成功を収め、1,000人近いユーザーから合計2万件を超えるレンタル申し込みを受けました。春に向けて、私たちは車両数をさらに増やす計画です。Coupの例は、イノベーションがもはや新製品だけではないこと、優れたアイデアとビジネスモデルもイノベーションになりえることを示しています。
  • 2016年に私たちは、130年間変化のなかった分野に足を踏み入れ、真のイノベーションを持ち込みました。それは、パーキングです。私たちは現在、シュトゥットガルトでメルセデス社と提携してコミュニティ ベース パーキングをテスト中で、米国でも今年、パイロットプロジェクトに着手します。また、自動バレットパーキングの実用化にも取り組んでいます。こちらはダイムラーおよびCar2Goとの共同プロジェクトです。コネクテッドモビリティが生み出す経済的、社会的メリットを分析した最近の調査によると、コネクテッドパーキング機能により、中国、ドイツ、米国を合わせると、車両の運転時間を7,000万時間節約できるということです。これは4万人の勤労者の合計年間労働時間に相当します。貴重なこの7,000万時間を取り戻せるということです。
  • トラックのセキュアな駐車も、パーキング分野の新たな取り組みのひとつです。10月以来、ボッシュは、ドイツのカールスルーエを通る高速道路A5線に面した拠点で新しいサービスのテストを実施中です。今年中にこのサービスを正式に市場に導入できる見込みで、バイエルン州ティールスハイムのトラック駐車場などが候補地として上がっています。ドイツ国内だけで、1万4,000台分の安全なトラック駐車スペースが必要とされています。欧州全体では、年間160億ユーロ相当のトラックの積み荷が窃盗のために失われています。
  • 2016年の重要なM&Aのひとつが、ITK(Ingenieurgesellschaft für tech-nische Kybernetik)の買収でした。ITKは900人のソフトウェア スペシャリストを擁し、車両の自動化、ネットワーク化、すなわち複雑高度化が進む中、世界的に成長を続ける市場で開発サービスを提供しています。
  • ボッシュは最近、自動車の自動化の分野で重要なパートナーシップをスタートさせました。パートナーはチップメーカーのNvidiaで、自動運転車両用自己学習型システムの開発を目指します。
2016年にボッシュは、主要IT企業に協力を呼び掛け
  • ボッシュはまた、コネクテッド・マニュファクチャリング(ネットワーク化された製造)でも新しいパートナーを獲得する努力を続けています。2016年にボッシュは、SAPやゼネラル・エレクトリック(GE)との協力に踏み切りました。
  • ボッシュは、業務用ソフトウェアソリューションのプロバイダーとして世界をリードするSAP向けにソフトウェアの提供を始めました。提供しているのは、グループのHANAクラウドプラットフォームをベースとするIoTマイクロサービスで、これは工場の機械・機器をデジタルに接続するために使用されます。この業務提携の狙いは、製造と物流管理プロセスの最適化、そして製品の品質と安全性の向上にあります。
  • 他方、GEとの協力は、機械とデバイス間の通信の向上を目的とした共通規格の開発に重点が置かれます。そのほか、クラウドサービス分野でも力を合わせます。
  • これら2つのパートナーシップは、ボッシュがコネクテッドインダストリーの実現にいかに力を注いでいるかを示すものです。IoT技術の主要プロバイダーそしてユーザーとして、ボッシュは、その世界共通基準を確立するとともに、中小企業を含め、それに必要なネットワーク化技術の幅広い普及を支援します。その一例が、2016年に私たちが発表したIoTゲートウェイです。このゲートウェイは、ドイツ国内だけで1,000万台は存在すると見られる既存の機械をネットワーク化対応させ、インダストリー4.0の環境との互換性を持たせます。この後付けソリューションは、センサー技術とソフトウェア、そしてIoT対応した産業用制御装置で構成されます。
  • ボッシュはネットワーク化関係で現在、60件を超えるパートナーシップおよび業務提携契約を結んでいます。
2016年、新たな事業分野の開拓を継続
  • ボッシュはまた、センサー技術、ソフトウェア、そしてサービスを中核とする企業力(コア コンピテンス)を動員して、新しい事業エリアの開拓に取り組んでいます。2016年秋以降、Bosch Healthcare Solutions GmbHは、ヘルスケアと医療技術をつなぐネットワーク化製品とサービスをお客様に提供しています。
  • 展示会でご覧になられた方もいるかと思いますが、世界中を見渡しても他に例のないVivatmoもそのひとつです。これは世界初の呼吸分析装置で、世界で3億3,000万人を数えるとされる喘息患者が気道の炎症のレベルを自分で、自宅に居ながらにして容易に測定できます。つまり喘息患者はこれまでより不安なく持病と付き合えるようになります。測定結果はかかりつけ医師と共有でき、医師はデータをもとに患者のニーズに合わせて処方を調節できます。
  • IFA展示会でボッシュは、スマートホーム向けの革新的な製品群を発表しました。火災警報器のTwinguardは、火の気を検知するとアラームを発します。それだけでなく、室内の空気の質を監視します。ボッシュの他の製品と組み合わせ、防犯システムとして機能させることもできます。つまり、IoTによって、1個の製品に3個の製品分の働きを持たせることができる、ということです。信頼性の高い火災警報器と空気の質の測定は、ボッシュが開発したアルゴリズムと、長年にわたるこの分野での活動から得た経験知識をベースにしています。
  • そして、周囲360度の状況を把握する内蔵カメラも、ただの防犯カメラではありません。マイクロフォンを内蔵し、インターコムとしても機能します。スマートなネットワーク化に、モーションセンサーと画像解析を組み合わせることで、システムは記録すべき出来事のみを録画するようになっています。そしてボッシュの製品が常にそうであるように、この製品でもプライバシーの尊重に高い優先度が与えられています。来客がやってきて、ボタンを押すと、カメラはプライバシーモードに切り替わります。データはすべて、ローカル保存されます。ネットワーク化はこの種のソリューションの実現を可能にします。そのためのアイデアは、製品開発の現場において、ユーザーエクスペリエンスアプローチの実装を考える過程から体系的に生まれてきます。
  • 申し上げるまでもないことですが、ボッシュにはさらなる技術革新力がまだふんだんに存在します。私たちのイノベーションは明日の世界を形づくります。お客様、従業員、そしてそのほかの取引パートナーの方々はボッシュの技術革新力をよく御存じです。そのことは昨年1年間だけで200を超えるアワードを頂戴したことからも明らかです。
  • 新しいところでは、ボッシュのソリューションが合計4つのCESイノベーションアワード受賞に輝きました。受賞した製品のひとつは、二輪車用に新たに開発したライダー インフォメーション システムです。給湯器も賞をいただきました。給湯器は、それ自体ありふれた製品ですが、IoTを取り入れることで効率が上がり、一段と使い勝手がよくなります。

  • 以上、最近の展示会の出来事を簡単に振り返りましたが、それが示すように2016年はボッシュにとっていろいろなことがあり、ボッシュ自身もさまざまなことを行いました。さて、残された時間を使って、2つのテーマを取り上げたいと思います。
    ひとつ目は、IoTのパーソナル化です。そこでの課題は、IoTでユーザーひとりひとりのニーズと好みをどのようにしてより正確に把握するか、そしてAI(人工知能)にどのような役割を果たさせ、ボッシュ全体としてどのような役割を果たしていくかです。もうひとつのテーマは、モビリティの変革、とりわけ電動化モビリティへの移行です。
2) パーソナル化するIoT – ネットワーク化のテイラーメイド化
  • IoTがパーソナル化へと向かいつつあります。ネットワーク化の次のレベルへの進化です。パーソナル化は、パーソナルアシスタントと相手のニーズに即したパーソナルサービスにより実現されます。
  • 業界用語を使い、難しい言い方をするなら、スマートなアシスタントはお客様との間に存在するインターフェースです。現時点では、会社とお客様との直接的なつながりは、製品を販売した時点で終了します。それに対し、将来はIoTによって、お客様とのつながりをいつまでも保てるようになります。IoTサービスにより、ボッシュはお客様にとっての日々のコンパニオンとなります。ユーザーひとりひとりをより良く理解できれば、ボッシュはその人のニーズにもっと寄り添ったサービスを提供できるようになります。同様に、アシスタントの学習能力が向上すれば、オーナーにとっての効用が増大します。
  • そのカギを握るのはAI(人工知能)です。センサーによって、ボッシュはモノに感覚機能を持たせました。次は、学習能力を与えることと、インテリジェントな振る舞いを覚えさせることです。
ボッシュがAIの研究センターを新設 – モノに学ぶことを教える
  • そこで私たちはボッシュ人工知能センター(BCAI)を今年初めに立ち上げました。BCAIに、私たちのAI関係の既存の専門知識を結集し、さらに強化します。
  • 当面、BCAIはバンガロール、パロアルト、レニンゲンの3拠点で、エキスパート約100人態勢で活動を始めます。2021年までにセンターに約3億ユーロを投資し、その間にBCAIのスタッフ数も数倍以上に増やす計画です。
  • BCAIは研究活動のかたわら、AIをボッシュの全部門に売り込み、実用化させるシステムを育てます。ボッシュでは、AIを製品に組み込むだけでなく、コネクテッド・マニュファクチャリング(ネットワーク化された製造)の改良にも応用する計画です。
  • 5年以内に、ボッシュの売上高の10%をAIが組み込まれた製品が占めると予想されています。10年後には、AIに無縁の製品は、ボッシュのポートフォリオからほぼ姿を消す見込みです。つまり、ほとんどの製品がAIを内蔵するか、もしくは開発または生産過程でAIに関わると見られます。
  • ボッシュにとって、AIは目新しいテーマではありません。たとえば自動運転では、画像認識のため、機械に学習機能を持たせています。そうした既存の専門知識をステップに、AI分野で素早く大きな前進を遂げられると私たちは見ています。
デジタルアシスタント – 数十億ユーロの巨大市場
  • ここでも、広範な技術・産業分野での経験の積み重ねが私たちに競争優位をもたらします。ボッシュほど、日常生活と結びついた多様な分野でさまざまな製品を提供し、その名を知られた企業が他に存在するでしょうか?ボッシュは、他の追随を許さない幅広い経験を裏付けに、スマートライフのニーズに応えることができます。
  • 市場調査会社のTracticaは、デジタルアシスタントの利用者数が2021年までに、2015年比で350%以上増加すると見ています。またFrost & Sullivanからは、IoT市場が今後2年間で1兆7,000億ドルに成長するとの予測が出されています。
  • インテリジェントなアシスタントは、暮らしのさまざまな場面で人をサポートします。ボッシュが開発したキッチンのロボットMykieがその一例です。Mykieは台所に立って食事を用意する人を手助けするだけでなく、冷蔵庫の中身を把握し、足りないものをデジタルショッピングリストに書き加えます。
  • 2017年末には、ボッシュ傘下のスタートアップ企業、Mayfield Roboticsが米国で、家庭用ロボットのKuriを発売します。高さ50 cmほどのこのロボットは、スピーカー、マイクロフォン、カメラ、および各種センサーが装備されています。Kuriはスピーカーを使って音楽を再生し、天気予報を流すこともできますが、それだけではありません。また、反復作業を行わせるために設計された単なるロボットとも違います。Kuriは「デバイス」などではないのです。では何かということになりますが、Kuriは家族の一員となるべく設計されました。あなたと一緒に家の中を、家の周りを歩き回るモバイル コンパニオンなのです。このロボットの開発に当たってボッシュが重視したのがパーソナル化、すなわち人との交流能力でした。このことは、子供を模したデザインからも見て取ることができます。ベッドに入った子供たちにおとぎ話を読み聞かせ、子供たちが学校から帰ってくると両親にそれを報告します。ここでも、製品開発に当たってユーザーエクスペリエンスが重要な役割を演じました。
  • もうひとつ、ボッシュが今年末までに完成させたいと考えているものがあります。車両とスマートホームを結ぶ通信の基礎技術です。クルマも、デジタルアシスタントへと変身しつつあります。車両をネットワーク対応させることで、ドライバーは年間約100時間を、クルマの運転以外のもっと有効な目的のために費やし、あるいはリラックスして過ごすことができます。
3) 未来のモビリティ – 「ビジョン・ゼロ」
  • ご来場の皆さま、私が今宵、お話ししたいと考える2つ目の重要なテーマがこれです。ボッシュが描く未来の道路交通の姿は、ストレスゼロ、事故ゼロ、そしてエミッションゼロです。
  • 事故がなく、ゼロ エミッションで、ストレスも皆無。私たちは未来のモビリティとしてこれらの目標を追求します。技術的に言えば、自動化、電動化、そしてネットワーク化によってそれを達成することになります。
  • この分野でも私たちが定めた目標は明快です。私たちはモビリティの変革を積極的に形づくるとともに、私たちが活動する分野で業界リーダーとしての地位を確立します。同じことが、自動車のパワートレインとドライブトレインの進化にも当てはまります。今日、ボッシュはこの分野のリーダーです。そして今後もリーダーであり続けます。ボッシュは電動化モビリティの普及に向けて、突破口を切り開きます。
  • ボッシュはこれまでにざっと16億ユーロをモビリティの電動化事業に投資してきました。年間4億ユーロのペースです。そして現在、1,800人の従業員がこの分野で働いています。私たちは電動化モビリティに必要な基本コンポーネントのすべて、すなわち電気モーター、パワーエレクトロニクス、バッテリーを手にしています。
  • ボッシュはすでに電動化モビリティ時代への準備を終えています。これまでに私たちは、将来有望な中国を含め、ドイツ内外の顧客企業のために30件の生産プロジェクトを完成、納入しました。そして私たちの顧客リストには伝統的な自動車メーカーのほか、DHL傘下のStreetscooterのような新規参入企業も名を連ねています。
  • 電動化モビリティで今なお重要な要素がバッテリーです。2010年代末までに、ボッシュはそのエネルギー密度を2倍以上に上げ、コストを半減させたいと考えています。この目標に向けて、ボッシュは伝統的な自動車機器サプライヤーの中で唯一、既存のセル技術の改良と、ポストリチウム時代の本命バッテリーとして期待される全固体バッテリーセル技術研究の両方に取り組んでいます。電動化パワートレインは一般の方々が無理なく買える価格で提供されることが必要です。
  • そうした考えに立って、私たちはシュトゥットガルト=フォイヤバッハにバッテリー キャンパスを設置しました。数カ月前、私たちはドイツ国内のバッテリー開発の活動をここに統合、現在キャンパスでは300人の従業員が、全固体バッテリーセル技術の量産開発に取り組んでいます。自明の事実がひとつあります。それは、アジアのコンペティターを製造技術とプロセスで凌駕しなければ、私たちがバッテリーセルを競争力のある価格で提供することはできない、ということです。
  • 実際のところ、電動化モビリティにボッシュほど総合的に取り組んでいるサプライヤーは他に見当たりません。そして、総合的な技術力の点でボッシュと比肩しうるサプライヤーも見当たらないというのが現状です。
未来のパワートレイン – 電動ドライブと内燃機関のミックス
  • 長期的な選択肢として電動化モビリティが注目されていることは確かですが、近い将来は内燃機関 – 在来型と部分電動化型の両方 – が引き続き重要な役割を担い続けるでしょう。
  • 予測はというと、2025年までに世界の新車生産はさらに増加し、1億500万台にのぼる見通しです。これに伴い、内燃機関を搭載した新車も8,500万台に増加すると予想されています。したがってガソリンエンジンとディーゼルエンジンの部品需要も増大します。
  • 電動化モビリティ時代の到来に備えてボッシュが年間4億ユーロを投資していることは既に申し上げました。そしてこれと並行して私たちは既存の内燃機関のさらなる改良のため、今後も投資を続ける方針です。
  • もちろん、内燃機関も改良次第で省資源に寄与し、そして炭素分を含まない合成燃料を利用できるようになれば、炭酸ガス排出もゼロになります。バッテリー同様、これもさらなる研究開発を要するもうひとつのエリアです。
  • 徹底的な評価を実施し、環境と経済への影響をすべて検討しつくしたと言えるようになるまでは、技術のパラダイムシフトを強行すべきでありません。技術面の配慮に加えて、パワートレインの変更が経済と社会にも影響を及ぼすことを忘れてはなりません。
  • 電動化モビリティへの移行がボッシュの雇用に及ぼす影響は、現時点では非常に予測しがたいものがあります。理由は、あまりにも多くの変数と不確実要素が絡んでいるからです。ともあれ、すでに申し上げましたように、内燃機関搭載車両の数は、自動車産業が転換点に達するまで増加を続けます。その転換点がいつになるかですが、現在の予測では2020年代半ば頃と推測されています。さらにまた、パラダイムシフトは電動化モビリティ関係への労働力の需要を押し上げます。
  • 未解決の問題はまだあります。電気自動車市場は現実にどのような推移で拡大するのか、どの程度の受注が期待できるのか、顧客層はどのような構成になるのか、自動車メーカー各社は現在の地位を維持できるのか、ドライブトレイン内で付加価値をどのように分けるのかなどなど、いずれも現時点では確たる答えは示されていません。私たちは新たな不測の事態に備え、その可能性が見えてきたときには素早く行動することが必要です。それまでは、技術進歩の可能性を追求し、成果を商業的成功に活かす努力を続けるばかりです。
  • 私たちの目標ははっきりしています。技術と商業的成功の両面で電動化モビリティのリーダーとなることです。
ご来場の皆さま、私のスピーチもまもなく終わります。ボッシュは創業以来かつてない変革を迎えつつあります。変革の根源にあるのは、既存の産業、市場、そしてテクノロジーを根本から覆しかねない破壊的イノベーションです。私たちの強みは、そうした変化を形づくるプロセスに積極的に関わっていることです。

このうつろいやすい環境の中、ボッシュにはこの変革を安定的に推し進める普遍のものがあります。それは、私たちの技術力であり、私たちのスペシャリストの専門知識であり、私たちの活動領域の広さであり、私たちの大きな技術革新力、私たちの比類のない企業文化、そしてとりわけ全世界で働く私たちのチームのモチベーションの高さと揺らぐことのない情熱です。

ご清聴ありがとうございました。


PI9491 | 2017/01/27

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