ご来場の皆さま、

ただいまご覧いただきました動画から十分にお分かりいただけたと思いますが、世界の大都市には斬新かつ大胆な交通計画が求められています。交通はできる限りエミッションゼロ、事故ゼロ、そして特にストレスゼロに近づけていなくてはなりません。こうした希望はまだビジョンの段階ですが、私たちの開発努力の道筋はこれらのビジョンによって決まります。今回のボッシュ モビリティエクスペリエンスではこうしたことをご紹介したいと考えており、皆さまを心より歓迎いたします。私たちを動かす原動力についてご説明するために、まずコーポレートスローガンについて触れたいと思います。人の往来が増えつつある都市環境においては、私たちのコーポレートストーガンである「Invented for life」に則ったテクノロジーがこれまで以上に必要になります。私たちは都市交通の渋滞を緩和し、市街地の交通状況を改善することを通じて、人々の移動を円滑にしたいと考えています。そして、これは世界中のモビリティプロバイダーにとって最大の課題でもあります。

大都市で生活する人口は2050年までに現在の2倍に相当する約60億人に達し、都市の交通量はそれを上回る3倍に膨れ上がるとされています。その理由として、特にeコマースの拡大に伴って配送車両の走行が増え続けることが挙げられます。自動車の交通量だけが増加するとは考えにくいため、自動車以外の輸送手段も含めた旅客・貨物輸送の新しいソリューションにも注力しています。こうした姿勢は、自動車中心からスマートでマルチモーダルなモビリティへとシフトする、世界の都市交通計画のトレンドに合致しています。そのため、私たちは都市交通の新しいコンセプトを開発していかなくてはなりません。例えば、ネットワーク化された電動式の業務用車両で荷物を配達したり、渋滞状況や必要に応じて自動車から鉄道へ、四輪車から二輪車に乗り換えるといったことです。さらに、探したり待ったりする時間を最小限に抑えて、自動車から鉄道や二輪車へスムーズに乗り換えられるようにする必要もあります。これを実現するためには、シームレスなネットワーク化、つまり都市の交通手段が相互接続されていなくてはなりませんが、こうした変化の動きはすでに始まっています。例えばヨーロッパではロンドンが、アジアではシンガポールがスマートシティになりつつあります。2025年には、世界の80都市でスマート化が進むと予測されています。ボッシュは現在、14件のスマートシティ関連プロジェクトを推進しており、その半数は都市交通に関するプロジェクトとなっています。こうして、私たちは将来の事業分野をも開拓しています。

ビジョン #1:ストレスゼロのモビリティはネットワーク化されたモビリティ

まず最初に、都市交通の変容を詳しく見ていきましょう。主要な大都市は特に渋滞、大気汚染、駐車場の不足に悩まされており、こうした大都市には、交通流の回避、シフト、改善という三重の優先課題があります。それが意味するものの1つ目が、長期的に工業地域と住居地域を混在させ、ある場所から他の場所へ移動する必要性を低下させること、2つ目が、人々は自家用車を運転する機会が減ること、3つ目が、自動車を運転しなければならないのであれば、可能な限りクリーンで安全であることが求められるということです。都市に居住する人も同じことを目指していますが、彼らが何よりも求めているのは、ストレスなくある場所からある場所に移動することで、これがうまくいくのは、行程を柔軟に立てられる場合のみです。未来の都市交通では、必ずしも自家用車を使う必要はないというのがモットーになり、四輪車、二輪車、鉄道を組み合わせることが、モビリティへの新しい実用的なアプローチとなります。ですから、自家用車からできる限り容易に他の交通手段へ乗り換えられるようにすることが、私たちの重要な課題になります。具体的な例を挙げてみましょう。ボタンひとつで鉄道駅の近くの駐車スペースや駐輪場を予約できるようになる、言い換えれば、都市で暮らす人は将来、通勤時にクラウドサービスを常時利用でき、自分用のモビリティアシスタントを持てるようになっていきます。特に、大都市の住民の視点で考えると、ストレスゼロの移動はネットワーク化された移動以外ありえません。

本日のイベントでは、ボッシュがどのように車内外のネットワーク化を可能にしているかをご覧いただこうと思っています。まずは展示企画の内容についてご紹介し、後ほどテスト車両とワークショップで、都市交通の最先端技術とその未来を体験していただく予定です。

  • 私たちはすでに大都市でモビリティサービスを提供しています。その1例が、電動スクーターのシェアリングサービス「Coup」です。ベルリンで始まったこのサービスが、このほどパリでもスタートしました。ボッシュは1,600台の電動スクーターを配備していますが、その数はさらに増える予定です。この電動スクーターは展示会場で実際にご覧いただけます。

  • 来年には、コネクテッドモビリティの柱となるソフトウェアプラットフォーム「 Bosch Automotive Cloud Suite」の運用が始まります。このプラットフォームを介して、走行しながらオンラインパーキングやスマートホームへのアクセスが可能になります。これについてはデモ車両でご体験いただけます。

  • 私たちのプロジェクトによって、駐車スペース探しでかかるストレスが着実に減りつつあります。
    現在、駐車スペースを探して走行する車が都市交通の3分の1を占めています。ネットワーク化と自動化が進んだボッシュの駐車向けのソリューションは、時間と燃料の節約、さらにはイライラの軽減にもつながります。この詳細についてはワークショップでご説明いたします。

  • 私たちはまた、車両のネットワーク化に関して国際的なパートナーと協力関係を構築しています。2020年までに、私たちのレーダーセンサーから提供される測定値を含めた高精度デジタルマップを作成することを目指し、TomTom、中国のプロバイダーであるAutoNavi、百度、NavInfoと協力して取り組んでいます。このレーダーシグネチャーを通じて、自動運転車は今後、正確な位置を割り出せるようになる見込みです。

  • 数年後には、貨物輸送のネットワーク化と自動化も予定されています。現在、集積マイクロメカニカルセンサーが貨物を監視するなど、今までにない物流管理サービスの開発を進めています。私たちは、コストを削減し、物流効率を改善し、インフラにかかる負荷を軽減することを目標に掲げています。これをどのように実現しようとしているかをお知りになりたい場合には、私たちのネットワーク化されたトラックの展示をぜひご覧ください。

  • 今後10年間で、ネットワーク化はクルマそのものの変革とともに進展し、クルマは自宅や職場と並ぶ第3の生活空間となります。将来的には、走行しながら簡単なジェスチャーだけでオンラインショッピングをしたり、電動二輪車を予約できるようになっていくでしょう。これについてはコンセプトカーでご体験いただけます。
ビジョン #2:事故ゼロのモビリティは自動化が進んだモビリティ

車両のネットワーク化と同様に、自動運転は路上でのストレスの軽減につながります。そしてなにより、安全性が向上します。私たちのビジョンは明確です。それは、市街地での交通事故をゼロにすることです。世界では、毎年120万人以上が交通事故で命を落としています。1秒間に25人が亡くなっているという計算ですから、私がプレゼンテーションを始めてから400人以上が亡くなっていることになります。一口に都市と言っても、先進国と新興国との間には大きな違いが見られます。例えばストックホルム、東京やベルリンでは、道路利用者10万人あたりの死亡者数は3~5人ですが、ジャイプル、グアダラハラやクリチバでは15~35人に達します。これを見れば分かるように、インフラの近代化が進み、車両の性能が向上すればするほど、道路交通の安全性が高まることは明らかです。多くの先進国において電子制御による安全システムが義務化されているという事実は、事故統計にもはっきりと反映されています。ただ、交通事故の90%以上は今なお人為的なミスに起因しています。それだけに、自動運転が実現すれば、救われる命は増えるはずです。また、これは「Invented for life」が意味するところを完璧に示す例であると言えます。ボッシュの事故調査によると、運転の自動化により、ドイツ国内だけでも事故件数が3分の1以上減少すると予測されています。これに関連して、大きな経済的変化が姿を見せ始めています。自動運転車や完全無人運転車の数が増えるほど、自家用車のシェアは低下し、2030年までにシェアードカーが車両全体に占める割合が10%に達する可能性があります。 実際、ロンドン、シンガポール、パリなどの大都市はモビリティソリューションとして、「ポッド」や「ロボキャブ」と呼ばれる自動走行シャトルを後押ししています。

私たちはまた、本日のイベントを通してこうした動向をより詳しく見ていきたいと考えています。それでは私の同僚であるホーアイゼル氏が、ドライバーアシスタンスから自動運転までの道筋を詳しくご説明いたします。皆さまにはワークショップ、車両や展示を通じて、この未来への旅にご同伴いただきたいと思っております。

  • まず最初に、緊急時に車両が自動で運転操作することを可能にしたのはボッシュです。電子制御による安全システムであるABS(アンチロック ブレーキシステム)とESCは当社の先駆的な業績で、これらのシステムについて改めてご紹介するまでもないでしょう。しかし、これらのシステムがブレーキやステアリングを瞬時に自動制御し、いつ起こるかもしれない衝突から私たちを守ってきたことは間違いありません。

  • 皆さまに特にご紹介したいのは、技術面でも経済性においても劇的な進歩を遂げているドライバー アシスタンス システムについてです。新車の安全評価基準の厳格化が進んでいることを受け、私たちはこれらのシステムで急速な成長を遂げています。その詳細についてはワークショップでご紹介いたします。

  • 最後に、2020年までの動きについて見ていきたいと思います。私たちはダイムラーと協力し、2020年初頭までに市街地での自動運転を可能にすることを目指しています。これは現在、最も野心的なエンジニアリングプロジェクトの1つであり、都市交通における真の革命でもあります。さらに先を見据えると、これは遠い将来にロボットカーを実現するための基盤となります。私たちは、世界中で自動運転を推進しています。 例えば中国では、百度の自動運転車向けのオープンプラットフォーム「Apollo」の開発プロジェクトにセンサーを提供しています。今後の開発についてご紹介するワークショップにもぜひご参加ください。

ビジョン #3:ストレスゼロのモビリティにつながる様々な道

私たちが何をしようとも、空気が清浄でなければ無駄になってしまいます。だからこそ、私たちは特に都市におけるエミッションフリーなモビリティという目標をひたすら追求しています。清浄な空気は最優先課題です。それは、ボッシュの本社があるシュトゥットガルトだけでなく、世界の大都市でも同じです。2016年にあったように、北京とニューデリーで深刻な大気汚染のために多数の学校が閉鎖を余儀なくされる場合は、明らかに何か問題があります。ですが、パリ、マドリッド、アテネ、メキシコシティが2025年からのディーゼル車の乗り入れを禁止する、と決定するのは、なにが問題なのでしょうか?私たちの見解では、これはエコロジーの観点から見て見当違いであり、せいぜい近視眼的な考えに基づいた環境保護といったところです。このような乗り入れ禁止は、地球温暖化を抑制するためにまだ必要とされているディーゼルの優れた効率を無視しているだけでなく、この技術が秘めているポテンシャルを過小評価しているという点でも近視眼的であると言えます。ディーゼルエンジンやガソリンエンジンの排出ガスは、現行規制の要求よりもさらに削減できる可能性があるからです。政治家は、特定の技術を奨励したり悪者扱いすることによって、エンジニアの創造性を制約するべきではありません。ボッシュは年間約70億ユーロの研究開発予算の半分を、環境保護と資源保護のために投入しています。私たちはすべてのパワートレインを未来にふさわしいものにするために、このような額を投入しているのです。

ですから、将来の都市交通がこれまで以上に電動化されるかと問われれば、私はイエスと答えることができます。ですが、内燃機関と電気モーターは、この先も長く共存するであろうということも付け加えたいと思います。何よりも、電気自動車だけでは非常に野心的なCO2目標を達成することはできません。私たちは持てる技術を総動員する必要があります。つまり、ディーゼルエンジンとガソリンエンジンには改善すべき点がまだあるのです。これは、私たちが多くの都市で問題となっている大気汚染を無視しているというわけではなく、こうした大気汚染もボッシュが技術を最適化する理由の1つとなっています。そして何より、再生可能エネルギーを利用して製造された合成燃料で動作する場合、内燃機関そのものが代替パワートレインとなる可能性があり、これによって資源保護とカーボンニュートラルが実現します。エミッションフリーなモビリティにつながる道は様々です。そして、ボッシュはそれらすべてを探究し続けています。

都市の空気をきれいにするという壮大な野望の実現に向かって私たちが前進していることは、展示している車両からもお分かりいただけると思います。試験場では、これらの車両に体験試乗していただけます。今後導入を予定しているソリューションに関する概要をお伝えしてから、このセクションを終わりにしたいと思います。繰り返しますが、多くの進行中のプロジェクトが示すように、未来はすでに始まっています。

  • 今年は、実際の走行条件に基づくEURO6排出ガス規制に準拠したディーゼルモデルが初めて認証を受ける予定です。このモデルにはボッシュのテクノロジーも寄与しています。私たちは現在、お客様と協力して約300件のRDE(リアルドライビングエミッション)関連プロジェクトを進めています。今年以降も私たちの目標は明確で、ディーゼル車から排出される窒素酸化物を基準値よりさらに削減することを目指す自動車メーカーをサポートしたいと考えています。ただ、それは実質的にこれ以上の労力を必要としません。私たちはすでに市街地での走行試験でこれが可能であることを証明しているからです。ここボクスベルクで皆さまに申し上げられるのは、ご自身の目でご覧になってください、ということだけです。

  • テストトラックで最新のガソリンエンジン車に試乗していただくこともできるようになっています。ここでも、技術面ではっきりとしたお約束ができます。ヨーロッパでは、パティキュレートフィルターを装着していないガソリンエンジンに関するエンジニアリング業務をこれ以上は行いません。パティキュレートフィルターが導入されて以来、ディーゼルエンジンは粒子状物質の問題から解放されたからです。そこで、私たちはガソリンエンジンでも同じ結果を達成することを目指しています。使用されるパワートレインの別なく、私たちはこうして大気の質に真剣に向き合っています。

  • 48Vの車載ネットワークは、エントリーレベルのハイブリッドパワートレインに適しています。この分野でも、私たちはシステムサプライヤーとして、電動モーターからバッテリーまで幅広く提供しています。この事業は順調で、2016年は中国だけで48Vバッテリー技術関連の大型受注を5件獲得しました。この分野の次の技術段階についてご説明するワークショップを企画していますので、そちらもぜひご参加ください。

  • 完全電動式の48Vパワートレインシステムは、都市型パーソナルモビリティに対応した、非常にコンパクトで軽量な新型車両において威力を発揮します。私たちは二輪車の「E-Schwalbe」や四輪車の「e.Go」など、こうした新型車両にも装備を提供しています。私の同僚であるハイン氏が後ほど、この小型eモビリティにおいてボッシュが果たす役割についてご説明いたします。もちろん、この未来の電動車両に試乗していただくチャンスもあります。

  • 大型車でも電動化を実現するために、私たちは高電圧システムの開発を進めています。まずバッテリーについてですが、2020年までにエネルギー密度を倍以上に引き上げ、コストを半分以下に引き下げたいと考えています。次に電動アクスルについては、モーター、パワーエレクトロニクス、トランスミッションを1つのハウジングに統合したことで、標準化を簡単に行えるだけでなく、効率も向上しました。今回、新型アクスルのプロトタイプを初公開する予定です。これら様々な新開発のおかげで、ボッシュの電動パワートレインのコンポーネントはすでに世界で50万台の車両に搭載されています。

  • 実際に、ボッシュのeモビリティはすでに市街地を走行する配送車の分野で存在感を示しています。例えば私たちは、Deusche Post(ドイツ郵便)の「Streetscooter」向けにパワートレインシステムを提供しています。これはヨーロッパで最大の規模となる電気自動フリート車両となる見込みで、ここボクスベルクでご試乗いただけます。
事業の概況:今年以降も成長が続く見込み

ご来場の皆さまにご覧いただいたように、当社では様々な計画が目白押しです。そして、ボッシュには明日の都市交通のためのソリューションを実現する資金力があります。つい先頃、総額10億ユーロを投じて新しいウエハ製造工場を建設すると発表しました。これからの自動車に搭載されるチップの需要増加に対応するためにも、この新しい工場は必要となるからです。モビリティ ソリューションズ セクターの2016年の従業員数は約22万7,000人に達し、全世界で約439億ユーロの売上高を達成しました。今年は好調なスタートを切っており、2017年の成長率は7%と、世界自動車生産の3倍の伸びとなる見通しです。今年はさらに「team future」の強化を予定しており、2017年末までに、モビリティ ソリューションズ セクターで研究開発に携わる従業員数は年初から約4,000人増え、4万8,000人を超える見込みです。こうした開発担当者は、都市交通事業の開拓を可能にする創造力の源とも言える存在です。

この事業は今後数年間、拡大が見込まれます。私がお話しした都市交通の課題は厳しく、こうした課題に対処する地方自治体は大きな圧力にさらされています。私たちのソリューションは、駐車アプリであれ、空気をきれいに保つ方法であれ、これら自治体が求める支援となります。世界のメガシティ10都市うち9都市が、マルチモーダルモビリティへの投資の必要性を認識しています。このモビリティ形態はネットワーク化に大きく依存しますが、ネットワーク化された、あるいはスマートな都市のモビリティとなります。すでに申し上げたように、スマートシティ市場は2020年まで毎年19%成長し、市場規模は7,000億ユーロに達すると見られています。そして、私たちはこの市場に参入していきます。私たちの多様なポートフォリオには、エネルギー、建築関連、産業機器テクノロジーだけでなく、独自のIoTクラウドも含まれているからです。ただ、スマートシティにはスマートな交通手段が欠かせません。 交通の流動性が高まれば高まるほど、都市はよりスマートになる、つまり、前者が後者を実現するカギを握っているのです。私たちのモビリティソリューションが多様化している背景には、こうした課題があります。私たちは、自動車業界の革新的なパートナーである車載システムのサプライヤーであり続けますが、それだけでなく、道路利用者向けのサービスプロバイダーとしても進化を遂げています。モビリティの新しいコンセプトを打ち出すために、私たちはボッシュの構想の見直しも進めています。


このプレスリリースは2017年07月04日に Robert Bosch GmbH より発行されました。
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