シュトゥットガルト(ドイツ) – どんなに優れた人間の目や耳よりも正確で、頭脳よりも迅速な処理能力。AIは、何テラバイトもの膨大なデータを秒単位で瞬時に取得および処理することが可能で、人間が一瞬にして複雑な関係性を把握し、それに応じたアクションを取れるよう支援します。AIセンター(BCAI: Bosch Center for Artificial Intelligence)では、このAIをベースに製造工程の早い段階で異常や不具合を検知し、製品の不良による排除率を低減して品質を向上させるシステムを開発しました。3月3日(水)実施のボッシュのAIに関するオンライン会議「AI CON」で、ロバート・ボッシュGmbH取締役会メンバーであり、チーフデジタルオフィサー兼チーフテクノロジーオフィサーを務めるミヒャエル・ボレは次のように述べています。「AIを活用することで、工場の効率化、生産性の向上、環境へのさらなる配慮が可能になり、製品の品質向上にもつながります。ボッシュの新しいAIソリューションは、数百万ユーロ規模で工場のコスト削減にも貢献します」。すでにこのAIソリューションが稼働しているパイロット工場では、年間100万から200万ユーロのコスト削減を達成しつつあります。たとえば、ヒルデスハイムの工場では、AIを利用してプロセスフローの問題点を特定し、解決できるまでになっており、その結果、生産ラインのサイクルタイムが15%短縮されました。各種の研究でもこのAI効果、特にインダストリー4.0はドイツ国内でのAI普及の恩恵を受けるであろうことが確認されています。さまざまな業界におけるAIの普及により、AIを利用した製造では50%(1,820億ユーロ)を超える大幅なコスト削減の見込みがあります(出典:eco - Association of the Internet Industry and Arthur D. Little, 2019)。2021年、ボッシュは、BCAIが開発したAIソリューションの導入をさらに推進し、手始めとして世界中の約50のパワートレイン工場の800以上の生産ラインにつなげます。これにより、解析プラットフォームには日々10億を超えるデータメッセージが格納されます。これに続き、会社全体で約240の工場にAIソリューションを導入する計画です。ボッシュではまた、これまでに培った経験と技術的ノウハウを、製造業向けの新しいAIテクノロジーの開発に取り入れる予定です。
ボッシュのAIで製造工程のみならず製品の品質も改善
新しいAI解析プラットフォームのパイロットユーザーとなるのは、ボッシュのモビリティ ソリューションズ事業セクターです。ボッシュでは今後数年間で自社工場のデジタル化・ネットワーク化を進めるために、約5億ユーロを投入する予定です。これが実現すれば、抑えられるコストは2倍に上り、その額は2025年までに約10億ユーロに達する見込みです。このプロジェクトと切っても切れないのがAIの活用です。BCAIと同部門の各工場間の協働はひとつのAIソリューションとして実を結びました。これは、ボッシュ・コネクテッド・インダストリーの展開するNexeed製造実行システム(MES)で多様なソースからほぼリアルタイムにデータを収集、処理、分析できる製造業向の標準となるAIソリューションです。機械に組み込まれたセンサーのデータがそのベース、つまり、さまざまな製造工程の変動を判断するための基準の役割を果たします。インダストリー4.0ソフトウェアのNexeedがデータとコードを「変換」して可視化し、AIシステムがそれに応じて取るべきアクションを提案すると、従業員がさらにそれをどのように実行するかを決定します。このプロセスにおいて主なツールとなるのは、各現場の実情に合わせて個別に設定およびカスタマイズされたダッシュボードとAI分析です。この構成により、エラーの原因を従来よりも容易に特定することができます。同様に機械や組立ライン用に自己適応プロセスを統合することも可能です。たとえば、ドリルで開けた穴が所定の位置からずれた場合、AIシステムで個別にそれに必要なステップを開始させるというような具合です。あるいは、生産ラインに沿って設置された製造工程を撮影するカメラがAIシステムをサポートすることもあるでしょう。AIシステムはあらかじめ学習したパターンに基づいて偏差を識別し、直ちに必要なアクションを取ります。さらに、事例ごとに現場と顧客データをプラットフォームに関連付けておけば、現場での製品の挙動をより正確に認識することができ、不具合をいち早く検出してエラーを予測できます。
ボッシュではAIを活用し、製造業の可能性を拡大
製造業において、理論上は現状を把握できたとしても、そのまま対策を実行に移せるかどうかはまた別の話です。ドイツの全企業の半数以上(58%)がAIの破壊的な可能性を認めていますが、一方で実際にインダストリー4.0向けにAIを導入しているのはわずか7社に1社(14%)です(Bitkom, 2020)。明らかにドイツ人の半数(60%)は、自動車や航空機の製造業のような分野にもっと積極的にAIを利用したいと考えています。これは、Bosch AI Future Compass(AIに関するボッシュの未来の羅針盤)の核となった調査結果です。2020年11月に発表されたこの研究では、回答者の3分の2以上が機械の故障診断やその他のハイテク分野へのAIの応用を歓迎すると答えました。ボッシュではすでにAIに全力で取り組んでおり、製造工程で、このテクノロジーを利用して不良品率を低減、機械およびシステムの稼働率を向上させ、生産プロセスを最適化させています。「AIは、活版印刷の発明に匹敵するほど画期的なテクノロジーで、製造業に革命をもたらします。AIの活用によって、機械や製品にスマート化や予測の方法を学習させることができます」と、ボレは述べています。ボッシュは、自社工場でのプロジェクトに加え、AIベースのソリューションの市場投入も進めています。製造業のアプリケーションには、製造過程にある製品の自動化された目視検査、インテリジェントな生産管理用ソフトウェア、高度なエネルギー管理などがあります。各種AIソリューションは、オンライン開催となるハノーバーメッセ2021(4月12日~16日)で展示される予定です。
企業戦略にもAIを採用
ボッシュは、AIをカギとなる重要な技術として捉えています。2025年までにボッシュの全製品にAIを搭載する、または開発や製造にAIを活用することを目指しています。これに向けて、優れた人材、必要なインフラ、適切な環境づくりへの投資を進め、2022年の年末までに2万人の従業員を対象にAIトレーニングを提供する予定です。ここで重要な役割を担うのが、AIの研究開発センター「BCAI」です。BCAIは、設立からわずか3年で初期投資を回収し、今では3億ユーロ近くの利益を出すまでになっています。ボッシュの目的は、「研究を重ねて、安全でロバスト、かつ人の信頼を得ることのできる説明可能なAIを提供することです」とボレは述べています。ボッシュは主に産業AI、言い換えればAIと現実世界のつながりに注力する方針で、この分野にきわめて明るい展望を抱いています。「私たちの工場では、冷蔵庫や電動工具から自動車業界向けのパワートレイン、アシスタンスシステム、工場向けの自動化テクノロジーまで、実に幅広い製品を製造しています。この豊富な専門分野に、今度はAIアルゴリズムが加わろうとしています」と、ボレは説明しています。
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電話: +49 711 811-58178
Twitter:@BoschPresse
このプレスリリースは2021年3月3日に Robert Bosch GmbH より発行されました。
原文をご覧ください。
ボッシュ、AIを活用してゼロディフェクト生産へ
ボッシュの世界中の工場にAIシステムの導入を計画
2021/03/03
世界のボッシュ・グループ概要
ボッシュ・グループは、グローバル規模で革新のテクノロジーとサービスを提供するリーディングカンパニーです。2020年の従業員数は約39万4,500人(2020年12月31日現在)、暫定決算報告での売上高は716億ユーロ(約8.7兆円*)を計上しています。現在、事業はモビリティ ソリューションズ、産業機器テクノロジー、消費財、エネルギー・ビルディングテクノロジーの4事業セクター体制で運営しています。ボッシュはIoTテクノロジーのリーディングプロバイダーとして、スマートホーム、インダストリー4.0さらにコネクテッドモビリティに関する革新的なソリューションを提供しています。ボッシュは、サステイナブル、安全かつ魅力的なモビリティを追求しています。ボッシュはセンサー技術、ソフトウェア、サービスに関する豊富な専門知識と「Bosch IoT cloud」を活かし、さまざまな分野にまたがるネットワークソリューションをワンストップでお客様に提供することができます。ボッシュ・グループは、AI(人工知能)を搭載する、もしくはAIが開発・製造に関わった製品を提供することで、コネクテッドライフを円滑にすることを戦略目標に掲げています。ボッシュは、革新的で人々を魅了する全製品とサービスを通じて生活の質の向上に貢献します。つまり、ボッシュはコーポレートスローガンである「Invented for life」-人と社会に役立つ革新のテクノロジーを生み出していきます。ボッシュ・グループは、ロバート・ボッシュGmbHとその子会社440社、世界約60カ国にあるドイツ国外の現地法人で構成されており、販売/サービスパートナーを含むグローバルな製造・エンジニアリング・販売ネットワークは世界中のほぼすべての国々を網羅しています。ボッシュの未来の成長のための基盤は技術革新力であり、世界126の拠点で約7.3万人の従業員が研究開発に、約3万人がソフトウェアエンジニアリングに携わっています。
ボッシュの起源は、1886年にロバート・ボッシュ(1861~1942年)がシュトゥットガルトに設立した「精密機械と電気技術作業場」に遡ります。ロバート・ボッシュGmbHの独自の株主構造は、ボッシュ・グループの企業としての自立性を保証するものであり、ボッシュは長期的な視野に立った経営を行い、将来の成長を確保する重要な先行投資を積極的に行うことができます。ロバート・ボッシュGmbHの株式資本の94%は慈善団体であるロバート・ボッシュ財団が保有しており、残りの株式は創業家であるボッシュ家、ボッシュ家の運営企業ならびにロバート・ボッシュGmbHが保有しています。議決権の大半はロバート・ボッシュ工業信託合資会社が保有し、株主の事業機能を担っています。
*2020年の為替平均レート、1ユーロ=121.8458円で計算
さらに詳しい情報は 以下を参照してください。
www.bosch.com ボッシュ・グローバル・ウェブサイト(英語)
www.bosch-press.com ボッシュ・メディア・サービス(英語)
https://twitter.com/BoschPresse ボッシュ・メディア 公式ツイッター(ドイツ語)
www.bosch.co.jp ボッシュ・ジャパン 公式ウェブサイト(日本語)
https://twitter.com/Boschjapan ボッシュ・ジャパン 公式ツイッター(日本語)
https://www.facebook.com/bosch.co.jp ボッシュ・ジャパン 公式フェイスブック (日本語)
https://www.youtube.com/boschjp ボッシュ・ジャパン 公式YouTube(日本語)
ボッシュ・グループは、グローバル規模で革新のテクノロジーとサービスを提供するリーディングカンパニーです。2020年の従業員数は約39万4,500人(2020年12月31日現在)、暫定決算報告での売上高は716億ユーロ(約8.7兆円*)を計上しています。現在、事業はモビリティ ソリューションズ、産業機器テクノロジー、消費財、エネルギー・ビルディングテクノロジーの4事業セクター体制で運営しています。ボッシュはIoTテクノロジーのリーディングプロバイダーとして、スマートホーム、インダストリー4.0さらにコネクテッドモビリティに関する革新的なソリューションを提供しています。ボッシュは、サステイナブル、安全かつ魅力的なモビリティを追求しています。ボッシュはセンサー技術、ソフトウェア、サービスに関する豊富な専門知識と「Bosch IoT cloud」を活かし、さまざまな分野にまたがるネットワークソリューションをワンストップでお客様に提供することができます。ボッシュ・グループは、AI(人工知能)を搭載する、もしくはAIが開発・製造に関わった製品を提供することで、コネクテッドライフを円滑にすることを戦略目標に掲げています。ボッシュは、革新的で人々を魅了する全製品とサービスを通じて生活の質の向上に貢献します。つまり、ボッシュはコーポレートスローガンである「Invented for life」-人と社会に役立つ革新のテクノロジーを生み出していきます。ボッシュ・グループは、ロバート・ボッシュGmbHとその子会社440社、世界約60カ国にあるドイツ国外の現地法人で構成されており、販売/サービスパートナーを含むグローバルな製造・エンジニアリング・販売ネットワークは世界中のほぼすべての国々を網羅しています。ボッシュの未来の成長のための基盤は技術革新力であり、世界126の拠点で約7.3万人の従業員が研究開発に、約3万人がソフトウェアエンジニアリングに携わっています。
ボッシュの起源は、1886年にロバート・ボッシュ(1861~1942年)がシュトゥットガルトに設立した「精密機械と電気技術作業場」に遡ります。ロバート・ボッシュGmbHの独自の株主構造は、ボッシュ・グループの企業としての自立性を保証するものであり、ボッシュは長期的な視野に立った経営を行い、将来の成長を確保する重要な先行投資を積極的に行うことができます。ロバート・ボッシュGmbHの株式資本の94%は慈善団体であるロバート・ボッシュ財団が保有しており、残りの株式は創業家であるボッシュ家、ボッシュ家の運営企業ならびにロバート・ボッシュGmbHが保有しています。議決権の大半はロバート・ボッシュ工業信託合資会社が保有し、株主の事業機能を担っています。
*2020年の為替平均レート、1ユーロ=121.8458円で計算
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