JAPAN MOBILITY SHOW 2023

ボッシュ株式会社
代表取締役社長、クラウス・メーダー
取締役副社長、クリスチャン・メッカー
によるスピーチ

2023年10月26日

本稿は実際の内容と異なる場合があります。


代表取締役社長クラウス・メーダーからのご挨拶
ご来場いただきありがとうございます。前回の開催から4年、こうして皆様に直接お会いできることを嬉しく思います。

モビリティ業界は今、急速に変化しています。このJAPAN MOBILITY SHOWを例にとっても、IT、金融、エネルギー分野など、モビリティに関わる幅広い分野の企業が参画し、参加企業数も倍増と大幅に拡大していることが、その変革を象徴しています。多様な分野の企業が参加することで技術革新が促進され、業界全体がこれまで以上に活気づいています。私自身、日本のモビリティ産業に深く関わる企業の一員として、この変革に胸を膨らませています。

ボッシュは、1911年に横浜から日本でのビジネスを開始しました。以来、ボッシュは112年にわたり、電動アシスト自転車から二輪車、四輪車、トラック、そして都市部の移動手段からオフハイウェイ、さらには海上に至るまで、あらゆるモビリティ分野のお客様とともに、日本の産業の発展を支えてきました。私たちはモビリティ・カンパニーであることを誇りに思っています。現在では、10ヶ所の製造拠点と、2つのテストコースを含め、全国32拠点に事業を展開しています。従業員数は6,000人以上にまで成長しました。

日本における第三者連結売上高も、2023年は、前年の3,400億円と比較して20%以上の拡大と、過去最高記録を更新する見込みです。日本の自動車生産台数が前年比10%増であることを考えると、市場より大きく上回るペースで成長しています。

そして日本における事業拡大をさらに後押しするのが、横浜市都筑区における新本社兼研究開発施設の建設です。敷地内には、「ボッシュ ホール」という愛称で都筑区民文化センターも建設しています。これは、ボッシュ・グループ初となる公民連携プロジェクトで、日本進出以来最大の設備投資額となる約3億ユーロを投資しています。来年竣工を迎えるこの新社屋には、東京・横浜エリアの拠点に点在している事業部やグループ企業を集約し、約2,000人の従業員が移転する予定です。ボッシュは新社屋開設により、日本のお客様の多様なニーズに、より迅速に、かつ的確に対応していきます。

ボッシュが110年以上にわたり日本での事業を拡大してきたのは、世界の自動車生産の30%を担う日本の自動車メーカーをローカルでサポートするという責務を果たすためです。電動化や自動化が進み、モビリティを取り巻く環境が大きく変化する中、ハードウェアからソフトウェア、プラットフォームからサービスに至るまで、ボッシュはお客様のニーズの多様化に寄り添い、包括的かつ幅広いソリューションを提供し、大きく発展してきました。

未来の自動車技術は、道路だけで完結せず、クラウドソリューションの世界にも広がっていきます。そしてソフトウェア・ディファインド・ビークルの時代は、すぐ目の前まで来ているのです。そこでボッシュは、長年培ったハードウェアの強みに加えてソフトウェアカンパニーとして発展し続けることで、モビリティの新時代を形づくっていきます。それは、今回のテーマである“Let's shape the new era of mobility, together.”にも現れています。ボッシュはみなさまとともに、持続可能なモビリティ社会を実現していくことを望んでいます。

それでは具体的に、クリスチャン・メッカーより、持続可能な未来のモビリティ社会の実現に向けたボッシュの取り組みについてご説明します。

ボッシュ:ソフトウェアカンパニーとして、急激に変化するモビリティ市場を牽引
いまご説明した通り、ボッシュはすでに、単なるシステムサプライヤーではありません。ハードウェアの強みに加えて、ソフトウェア・ディファインド・ビークルの実現に向け、ソフトウェアを主軸とする自動車開発のトレンドに対応しています。まずは、持続可能なモビリティの具体例であるeモビリティへの取り組みについて説明します。ボッシュはSiC(炭化ケイ素)チップからコンポーネント、アクティブパーツ、ドライブシステム一式に至るまで、多くのeモビリティ製品をカバーしており、電動パワートレイン市場をリードしています。その結果、ボッシュのeモビリティ事業は成長を続け、2026年には60億ユーロの売上達成を目指しています。

また持続可能なモビリティ社会の鍵となるのがソフトウェアです。ボッシュはすでに、モビリティ分野におけるソフトウェア企業としてのポジションを確立しています。例えば現在、モビリティ事業だけで38,000人のソフトウェア開発者が働いています。また運転支援およびインフォテインメント用のコンピューターだけで、2026年に30億ユーロの売上高を見込んでいます。

このようにボッシュは、ハードウェアのみならず、ソフトウェアにも強みを持っており、ソフトウェア・ディファインド・ビークル分野におけるキープレイヤーです。ボッシュはいままでハードウェアとソフトウェアを組み合わせたパッケージの提供をしてきました。しかし、先日のIAAモビリティで発表した動画認識ソフトウェアのように、ひとつのハードウェアに依存せず、さまざまなメーカーの半導体で使用できる、スタンドアローンのソフトウェア製品の提供も開始し、お客様にさらなる柔軟性を提供しています。

そしてボッシュはすでに、ソフトウェアにおける日本のお客様のニーズにも対応しています。ビークル ダイナミクス コントロール2.0は、ドライバーの操作に応じて車両の望ましい挙動を予測し、車両をコントロールするソフトウェアです。例えば横滑りの危険性が予測された場合は、先回りして車両に介入し、制御をかけて車両の動きをサポートします。これにより、日常だけでなく危機的な状況下の運転操作においても、ドライバーの安心感を高めます。ボッシュは近年、日本のお客様とビークル ダイナミクス コントロール2.0を搭載した次世代横滑り防止装置ESCの開発に取り組んできました。そして先日、ボッシュの次世代横滑り防止装置ESCがマツダ ロードスター 商品改良車に採用されました。ボッシュは、ビークル ダイナミクス コントロール2.0をもとに、サーキット走行時にドライバーによる車のコントロールの楽しさを残しつつも、スピンなどの急激な不安定挙動を検知した場合のみ作動し、制御不能となるリスクを下げる制御モード「DSC-TRACK」をマツダと共同開発しました。

またボッシュでは、モビリティ利用者の快適性と安全性を担保するために、ソフトウェアを活用したサービスも提供しています。いままで禁煙車をレンタルしたにも関わらず、ひどい臭いに悩まされた経験はありませんか?RideCare Insightと呼ばれるフリート管理向けのサービスでは、車両に搭載したセンサーボックスとAIを用いたクラウドベースのデータ分析で、車室内の喫煙や車両の損傷を検知します。それらの情報をリアルタイムでフリート管理者に発信することで、修理や清掃に素早く対応できるようになります。そしてボッシュは2023年末までに、日本のお客様が北米で展開するカーリース事業向けに、RideCare Insightの実証実験を共同で実施することになりました。ボッシュは半年以上かけて、RideCare Insightを活用したデータ収集や分析を行っていきます。この実証実験は、将来的に日本国内でRideCare Insightが導入される足掛かりとなるでしょう。

さらにボッシュでは、車両向け、クラウド向けの両方で、ソフトウェア開発をより簡単に、かつ効率的にするためのソリューションも展開しています。ボッシュの子会社であるETASでは、ソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)実現に向けた車載用ベーシックソフトウェア、ミドルウェア、開発ツール、クラウドベースのサービス、サイバーセキュリティソリューションおよびエンドツーエンドのエンジニアリング、コンサルティングサービスを提供しています。

ボッシュはすでに日本のお客様に対して、ソフトウェアカンパニーとしてあらゆるソリューションを提供し、日本のモビリティ市場の発展に貢献しています。

そしてボッシュは、さらにモビリティの新時代を切り開いていくために、来年1月1日付でモビリティ関連事業を再編します。カスタマイズしたテクノロジーとソリューションをワンストップで提供することで、お客様の多様化するニーズに対して、より良く、より迅速に対応することが可能となります。

このようにボッシュは、先進運転支援システム、モーション、エネルギー、ボディ&コンフォート、インフォテインメントの5つの主要領域と、それを横断するソフトウェア、ハードウェア、そして半導体、プラットフォーム、サービスなど、モビリティにまつわる広範囲なテクノロジーとソリューションを提供しています。ボッシュが提供するこれらの多岐にわたるソリューションをより深く理解していただくために、このブースにある展示カーをご覧ください。ソフトウェアに加え、ボッシュがネットワーク化、自動化、電動化、パーソナライズ化をどのように実現しているのかをご覧いただけます。

おわりに
ボッシュは、来年に控えるモビリティ事業の再編と、横浜の新本社兼研究開発施設の開設により、事業部をまたいだ協働を強化していきます。そしてボッシュはこれからも、モビリティにまつわる広範囲なテクノロジーとソリューションをワンストップで提供することで、日本のお客様とともにモビリティの新時代を形成してまいります。

ご清聴ありがとうございました。